Actualités japonaises: ゼレンスキー大統領ダム決壊めぐり国際社会に支援求める

ウクライナ南部なんぶでダムが決壊けっかいし、大だい規模きぼな洪水こうずいが発生はっせいしたことをめぐって、ウクライナのゼレンスキー大統領だいとうりょうは7日にち、国際こくさい社会しゃかいに支援しえんを求もとめました。

FAO＝国連こくれん食糧しょくりょう農業のうぎょう機関きかんは、ダムの決壊けっかいにより農作物のうさくもつにも大おおきな被害ひがいが出でていて、食料しょくりょう安全あんぜん保障ほしょうにも影響えいきょうが出でる可能かのう性せいが高たかいと警告けいこくしています。

動画どうがで公開こうかい「大だい規模きぼな洪水こうずいで2000人にん以上いじょうが救助きゅうじょ」

ウクライナ南部なんぶヘルソン州しゅうにあるカホウカ水力すいりょく発電はつでん所しょのダムが決壊けっかいして大だい規模きぼな洪水こうずいが発生はっせいしたことをめぐり、ゼレンスキー大統領だいとうりょうは7日にち、動画どうがを公開こうかいし、これまでに2000人にん以上いじょうが救助きゅうじょされたと明あきらかにしました。

ただ、ヘルソン州しゅうのロシア側がわの支配しはい地域ちいきについて「状況じょうきょうはまさに壊滅かいめつ的てきだ。救助きゅうじょもなく、飲料いんりょう水すいも食料しょくりょうもない。医療いりょう活動かつどうも行おこなわれておらず、どれだけの人々ひとびとが死しぬかも分わからない」と述のべ、ロシア側がわは民間みんかん人じんを救助きゅうじょしていないなどとして、強つよく非難ひなんしました。

そのうえで「大だい規模きぼな支援しえんが必要ひつようだ。ICRC＝赤十字せきじゅうじ国際こくさい委員いいん会かいのような国際こくさい機関きかんが、すぐに救助きゅうじょ活動かつどうに参加さんかし、ロシア側がわの支配しはい地域ちいきにいる人々ひとびとを助たすけることが必要ひつようだ」と訴うったえました。

【ダム決壊けっかいで被害ひがいの状況じょうきょうは】

国連こくれん報道ほうどう官かん「住民じゅうみんに深刻しんこくな健康けんこう被害ひがいが及およぶおそれ」

ダムが決壊けっかいし大だい規模きぼな洪水こうずいが発生はっせいしたことをめぐって、国連こくれんのデュジャリック報道ほうどう官かんは7日にち、定例ていれいの記者きしゃ会見かいけんで、国連こくれん機関きかんが分析ぶんせきした現地げんちでの影響えいきょうについて明あきらかにしました。それによりますと、水位すいいの上昇じょうしょうが続つづき、浸水しんすいの範囲はんいも広ひろがっているとして安全あんぜんな飲料いんりょう水すいを入手にゅうしゅできないなど、住民じゅうみんに深刻しんこくな健康けんこう被害ひがいが及およぶおそれがあるとしています。

FAO＝国連こくれん食糧しょくりょう農業のうぎょう機関きかん「食料しょくりょう安全あんぜん保障ほしょうに影響えいきょうの可能かのう性せい」

また、FAO＝国連こくれん食糧しょくりょう農業のうぎょう機関きかんは被害ひがい状況じょうきょうについて「数すう千せんヘクタールの農地のうちが浸水しんすいし最近さいきん植うえられた農作物のうさくもつにも大おおきな被害ひがいが出でている」としたうえで「食料しょくりょう安全あんぜん保障ほしょうに影響えいきょうを与あたえる可能かのう性せいが高たかい」と警告けいこくしています。

【支援しえんの動うごき】

仏ふつマクロン大統領だいとうりょうダム決壊けっかいによる被災ひさい者しゃ支援しえん表明ひょうめい

フランスのマクロン大統領だいとうりょうは、ゼレンスキー大統領だいとうりょうと電話でんわ会談かいだんを行おこない、ウクライナ国民こくみんへの連帯れんたいの意向いこうを伝つたえた上うえで被災ひさい者しゃに支援しえんを行おこなう考かんがえを明あきらかにしました。

フランス政府せいふによりますと、浄水じょうすい器きや衛生えいせい用品ようひん、貯水ちょすいタンクなどを緊急きんきゅう支援しえん物資ぶっしとして現地げんちに届とどけるということです。

また、ウクライナ大統領だいとうりょう府ふによりますと会談かいだんで、ゼレンスキー大統領だいとうりょうは、ダムの決壊けっかいは、ロシア軍ぐんの爆破ばくはによる結果けっかだと主張しゅちょうし、両りょう首脳しゅのうは、状況じょうきょうの調査ちょうさに向むけて、国際こくさい的てきな枠組わくぐみを活用かつようする可能かのう性せいを検討けんとうしたということです。

NATO事務じむ総長そうちょう「8日にちに緊急きんきゅう会合かいごうを開ひらく」

NATO＝北大ほくだい西洋せいよう条約じょうやく機構きこうのストルテンベルグ事務じむ総長そうちょうは7日にち、ツイッターへの投稿とうこうで、ウクライナ南部なんぶでダムが決壊けっかいし、大だい規模きぼな洪水こうずいが発生はっせいしたことをめぐり、8日にちに緊急きんきゅう会合かいごうを開ひらくことを明あきらかにしました。

また、ウクライナのクレバ外相がいしょうも7日にち、ストルテンベルグ事務じむ総長そうちょうと電話でんわ会談かいだんしたことを明あきらかにし「ストルテンベルグ氏しはNATOの枠組わくぐみで人道じんどう支援しえんを行おこなうことを約束やくそくした」としています。

【ダム決壊けっかいの原因げんいんについては】

ダムの決壊けっかいをめぐってウクライナ側がわは、ロシア軍ぐんによって内部ないぶから爆破ばくはされたとしているのに対にたいして、ロシア側がわはウクライナ軍ぐんの妨害ぼうがい行為こういによるものだと主張しゅちょうし非難ひなんの応酬おうしゅうが続つづいています。

専門せんもん家か「“ロシア側がわが実行じっこう”見方みかたは成り立なりたつ」

ダムの決壊けっかいの原因げんいんについて、防衛ぼうえい省しょう防衛ぼうえい研究所けんきゅうじょの兵頭ひょうどう慎まき治おさむ研究けんきゅう幹事かんじは、現時点げんじてんでは事故じこの可能かのう性せいも排除はいじょできず、断定だんてい的てきな評価ひょうかはできないとしています。

そしてウクライナとロシアがそれぞれ相手あいて側がわの破壊はかい工作こうさくだと主張しゅちょうしていることについては「どちらにとってメリットがあったのかということや、決壊けっかいのタイミングを考かんがえると、ロシア側がわが実行じっこうしたという見方みかたは成り立なりたつ」と述のべました。

具体ぐたい的てきには▼ドニプロ川下かわしも流りゅうのウクライナ領りょうの住民じゅうみんに被害ひがいが出でるほか▼ダムから冷却れいきゃく水すいの供給きょうきゅうを受うけるザポリージャ原子力げんしりょく発電はつでん所しょでも事故じこの懸念けねんが高たかまることから、ウクライナ側がわにとってメリットは少すくないと分析ぶんせきしました。

一方いっぽう、ロシア側がわにとってはメリットがあると述のべ、その理由りゆうとして▼ドニプロ川がわに架かかる唯一ゆいいつの橋はしがダムに併設へいせつされていたが、破壊はかいされた上うえ、▼下流かりゅう域いきが水没すいぼつして地面じめんがぬかるみ、ウクライナ側がわが戦車せんしゃ部隊ぶたいなどを進すすめることが難むずかしくなったと指摘してきしました。

今後こんごの戦況せんきょうに与あたえる影響えいきょうについては

今後こんごの戦況せんきょうに与あたえる影響えいきょうについては「ウクライナには複数ふくすうのシナリオがあったと思おもうが、ヘルソン州しゅうの奪還だっかん作戦さくせんはやや難むずかしくなった可能かのう性せいがある。ゼレンスキー大統領だいとうりょうが洪水こうずい対策たいさくにも注力ちゅうりょくしないといけなくなり、戦闘せんとうに集中しゅうちゅうできなくなる状況じょうきょうも懸念けねんされる」としています。

ウクライナと国境こっきょうを接せっするロシア西部せいぶの州しゅうでは、ロシア人じんなどの義勇ぎゆう兵へいを名乗なのる「自由じゆうロシア軍ぐん」や「ロシア義勇軍ぎゆうぐん」が攻撃こうげきを繰り返くりかえしています。

2つの組織そしきの役割やくわりについて兵頭ひょうどう研究けんきゅう幹事かんじは「ロシア側がわからするとこれまでの1200キロの戦線せんせんに加くわえて、ロシア領内りょうないの800キロを新あらたに守まもらなくてはならない状況じょうきょうになり、戦線せんせんが大おおきく拡大かくだいすることになる。このため、特とくに南部なんぶと東部とうぶからロシア軍ぐんを引き離ひきはなし、分散ぶんさんさせるねらいがあるとみられる。ウクライナ軍ぐんの反転はんてん攻勢こうせいの動うごきにも何なんらかの形かたちで連動れんどうしていると思おもう」とする見方みかたを示しめしました。

その上うえで、ゼレンスキー大統領だいとうりょうが義勇ぎゆう兵へい組織そしきによるロシア領内りょうないへの攻撃こうげきを把握はあくしていたかどうかは確認かくにんできていないとして「ゼレンスキー大統領だいとうりょうがこれらの組織そしきを100％コントロールできておらず、ロシア領内りょうないへの攻撃こうげきが激化げきかし、戦争せんそうがエスカレートする可能かのう性せいもある」と指摘してきしました。

【仲介ちゅうかいの動うごき】

トルコエルドアン大統領だいとうりょうが調査ちょうさ委い設置せっち提案ていあん

トルコのエルドアン大統領だいとうりょうが7日にち、ロシアのプーチン大統領だいとうりょう、ウクライナのゼレンスキー大統領だいとうりょうと、それぞれ個別こべつに電話でんわ会談かいだんを行おこないました。

トルコ大統領だいとうりょう府ふによりますと、エルドアン大統領だいとうりょうはゼレンスキー大統領だいとうりょうに対にたいして「詳くわしい調査ちょうさを行おこなうために、ロシアとウクライナの専門せんもん家か、それに国連こくれんとトルコなどが加くわわった委員いいん会かいを設置せっちできる」として、原因げんいん究明きゅうめいに向むけた調査ちょうさ委員いいん会かいの設置せっちを提案ていあんしたということです。

一方いっぽう、プーチン大統領だいとうりょうに対にたいしても「包括ほうかつ的てきな捜査そうさが行おこなわれることが重要じゅうようだ」として調査ちょうさ委員いいん会かいの設置せっちに向むけてみずからが調整ちょうせい役やくを担になう考かんがえを伝つたえたということです。

ロシア大統領だいとうりょう府ふによりますと、プーチン大統領だいとうりょうは「ウクライナは西側にしがわの意向いこうをくんで緊張きんちょうを高たかめる危険きけんな賭かけをしている」と主張しゅちょうしたということです。

ゼレンスキー大統領だいとうりょうは「ロシアのテロ行為こういによる人道じんどう面めんや環境かんきょうへの影響えいきょうなどについて伝つたえた」とSNSで明あきらかにしていて、エルドアン大統領だいとうりょうとしては、みずから仲介ちゅうかいに乗り出のりだすことで事態じたいの打開だかいにつなげたい考かんがえとみられます。