Actualités japonaises: 【詳報】きょう米ロ首脳会談双方の思惑は？焦点は？

アメリカのバイデン大統領だいとうりょうとロシアのプーチン大統領だいとうりょうによる初はじめての対面たいめんでの首脳しゅのう会談かいだんが16日にちスイスで行おこなわれます。両りょう首脳しゅのうが「最悪さいあく」と評ひょうする2国こく間かん関係かんけいの修復しゅうふくに向むけたきっかけとなるかに関心かんしんが集あつまっています。

就任しゅうにん後ご、初はじめての外国がいこく訪問ほうもんとしてヨーロッパを歴訪れきほう中ちゅうのバイデン大統領だいとうりょうと、プーチン大統領だいとうりょうによる初はじめての対面たいめんでの首脳しゅのう会談かいだんは16日にちスイスのジュネーブで行おこなわれます。

両国りょうこくの間までは▼ロシアによるクリミアの併合へいごうなどウクライナの主権しゅけんの問題もんだいや▼アメリカの政府せいふ機関きかんをねらった大だい規模きぼなサイバー攻撃こうげき、▼大統領だいとうりょう選挙せんきょへの介入かいにゅう疑惑ぎわくなど課題かだいが山積さんせきしていて、ことしに入はいって双方そうほうとも一部いちぶの外交がいこう官かんを追放ついほうするなど、2国こく間かんの関係かんけいは両りょう首脳しゅのうがそれぞれ「最悪さいあくの状況じょうきょう」と表現ひょうげんするほど悪化あっかしています。

バイデン大統領だいとうりょうは会談かいだんでこうした課題かだいについてロシア側がわに懸念けねんを伝つたえて行動こうどうを促うながしたい一方いっぽう、プーチン大統領だいとうりょうは、アメリカに譲歩じょうほしたと国内こくないで受け止うけとめられないよう、サイバー攻撃こうげきや選挙せんきょ介入かいにゅうについては、政権せいけんとしての関与かんよは否定ひていする構かまえです。

ただ両りょう首脳しゅのうは、軍備ぐんび管理かんりや核かく軍縮ぐんしゅくといった安全あんぜん保障ほしょうの問題もんだいなど、利害りがいが一致いっちする分野ぶんやでは何なんらかの対話たいわの枠組わくぐみを模索もさくする考かんがえも示しめしていて、冷戦れいせん終結しゅうけつ後ご、最悪さいあくと言いわれる水準すいじゅんにまで悪化あっかした両国りょうこく関係かんけいの修復しゅうふくに向むけたきっかけとなるかに関心かんしんが集あつまっています。

会談かいだんの焦点しょうてん：“最悪さいあく”の関係かんけい修復しゅうふくのきっかけとなるか？

今回こんかいの米べいロ首脳しゅのう会談かいだんの焦点しょうてんは冷戦れいせん終結しゅうけつ後ご、最悪さいあくと言いわれる水準すいじゅんにまで悪化あっかした両国りょうこく関係かんけいの修復しゅうふくのきっかけとなるかどうかです。

会談かいだんの議題ぎだいは▼ウクライナの問題もんだい、▼サイバー攻撃こうげき、▼軍備ぐんび管理かんりや核かく軍縮ぐんしゅく、▼さらにプーチン政権せいけんによる反はん体制たいせい派はの弾圧だんあつの問題もんだいなど多岐たきにわたるとみられています。

バイデン大統領だいとうりょうは今週こんしゅう（13日にち）「関係かんけい改善かいぜんに必要ひつような条件じょうけんを明確めいかくに示しめす」と述のべ、会談かいだんではアメリカ側がわの懸念けねんを伝つたえてロシアに行動こうどうを促うながす考かんがえを示しめし、相手あいての出方でかたを慎重しんちょうに見極みきわめるとみられます。

一方いっぽうで両りょう首脳しゅのうは軍備ぐんび管理かんりや核かく軍縮ぐんしゅくといった安全あんぜん保障ほしょうの問題もんだいでは何なんらかの対話たいわの枠組わくぐみを模索もさくする考かんがえも示しめし、プーチン大統領だいとうりょうは「互たがいに利益りえきのある分野ぶんやにおいては機能きのうするメカニズムを構築こうちくしたい」と述のべています。

ただ両国りょうこくのメディアや専門せんもん家かの間までは今回こんかいの会談かいだんで大おおきな前進ぜんしんがあるかについては懐疑かいぎ的てきな見方みかたが広ひろがっています。

プーチン大統領だいとうりょうがアメリカへの強硬きょうこう姿勢しせいを崩くずさないなかバイデン大統領だいとうりょうは「相手あいての態度たいどを変かえられる保証ほしょうはない。専制せんせい主義しゅぎ者しゃは強大きょうだいな力ちからを持もち、国民こくみんに説明せつめい責任せきにんを果はたす必要ひつようもないからだ」と述のべています。

こうした中なかで首脳しゅのう会談かいだんが冷ひえきった両国りょうこく関係かんけいの修復しゅうふくのきっかけとなるかどうかが焦点しょうてんとなります。

バイデン大統領だいとうりょうのねらい

バイデン大統領だいとうりょうは今回こんかいの首脳しゅのう会談かいだんでアメリカ側がわの懸念けねんを伝つたえ、ロシアの出方でかたを慎重しんちょうに見極みきわめたい考かんがえです。

バイデン大統領だいとうりょうはロシアとは「安定あんてい的てきかつ予測よそく可能かのう」な関係かんけいを築きずきたいとしています。

そのうえでトップどうしの会談かいだんを行おこなう目的もくてきについて今週こんしゅう（13日にち）「ロシアとの関係かんけい改善かいぜんに必要ひつような条件じょうけんを私わたしから明確めいかくに示しめすことだ。最善さいぜんの方法ほうほうは私わたしとプーチン大統領だいとうりょうが直接ちょくせつ会あい、議論ぎろんすることだ」と述のべ、アメリカの懸念けねんを直接ちょくせつ伝つたえて議論ぎろんすることが第一歩だいいっぽとなるという見方みかたを示しめしています。

そのうえで「対立たいりつを望のぞんでいるのではなく、国際こくさい規範きはんに反はんする行為こういをめぐる問題もんだいを解決かいけつしたい。協力きょうりょくできる分野ぶんやでは何なんらかの戦略せんりゃく的てきな原則げんそくを打うちだすことができるかもしれない。われわれは準備じゅんびができている」と述のべ、核かく軍縮ぐんしゅくといった安全あんぜん保障ほしょうの分野ぶんやなどで対話たいわの枠組わくぐみや協力きょうりょくも模索もさくしたい考かんがえです。

ただアメリカ議会ぎかいなどからはロシアの行動こうどうに大おおきな変化へんかが見みられないなかで首脳しゅのう会談かいだんに踏み切ふみきることはロシアに対にたいする「譲歩じょうほではないか」との批判ひはんの声こえもあがっています。

これに対にたいしてホワイトハウスは首脳しゅのう会談かいだん後ごの共同きょうどう記者きしゃ会見かいけんを開ひらかない方針ほうしんを示しめしていて、アメリカのメディアは両りょう首脳しゅのうが並ならんで会見かいけんに臨のぞめば、ロシア側がわの主張しゅちょうに正当せいとう性せいを与あたえるおそれもあり、これを避さけるねらいがあると指摘してきしています。

一方いっぽうでバイデン大統領だいとうりょうとしては「最もっとも重大じゅうだいな競争きょうそう相手あいて」と位置いちづける中国ちゅうごくに対抗たいこうしていく上うえでロシアとの関係かんけいをさらに悪化あっかさせることは避さけたい思惑おもわくもあるとみられ、ロシアに対にたいして弱腰よわごしだという批判ひはんをかわしながら、今後こんごの両国りょうこく関係かんけいにどのような道筋みちすじをつけるのか、その手腕しゅわんが問とわれることになりそうです。

プーチン大統領だいとうりょうのねらい

プーチン大統領だいとうりょうとしては、バイデン大統領だいとうりょうの提案ていあんに応おうじる形かたちで首脳しゅのう会談かいだんに臨のぞみ、核かく軍縮ぐんしゅく問題もんだいなど喫緊きっきんの課題かだいに肩かたを並なべて取り組とりくむ姿勢しせいを示しめすことで、国くにの内外ないがいにロシアの存在そんざい感かんを印象いんしょうづけるねらいです。

プーチン大統領だいとうりょうは、今月こんげつ4日にち、首脳しゅのう会談かいだんについて「両国りょうこく関係かんけいの正常せいじょう化かに向むけたさらなる措置そちを講こうじるための条件じょうけんや、直面ちょくめんしている問題もんだいを解決かいけつするための条件じょうけんが作つくられることを願ねがっている」と述のべました。

プーチン大統領だいとうりょうとしては、会談かいだんを通をとおして関係かんけい改善かいぜんに向むけた突破とっぱ口ぐちが開ひらかれるとまでは期待きたいしないものの、ウクライナのクリミア併合へいごうなどを受うけて科かされている経済けいざい制裁せいさいの緩和かんわに向むけた動うごきにつなげたい考かんがえもあるとみられます。

そのためにもロシアは、アメリカと協力きょうりょくできる分野ぶんやについては対話たいわを始はじめたい意向いこうで、プーチン大統領だいとうりょうは13日にちに放送ほうそうされた国営こくえいテレビのインタビューで「互たがいに利益りえきのある分野ぶんやにおいては、実際じっさいに機能きのうするメカニズムを構築こうちくしたい」と述のべ、核軍縮かくぐんしゅくを含ふくむ戦略せんりゃく的てき安定あんていの問題もんだいや気候きこう変動へんどう問題もんだいについて対話たいわの枠組わくぐみを構築こうちくしたいという考かんがえを示しめしました。

一方いっぽう、サイバー攻撃こうげきをはじめ、ウクライナやベラルーシの情勢じょうせい、それに反はん体制たいせい派はの指導しどう者しゃナワリヌイ氏しをめぐる問題もんだいなど、アメリカが批判ひはんしているテーマについては、政権せいけんの関与かんよを否定ひていしたり、内政ないせい干渉かんしょうだと非難ひなんしたりして一いち歩ほも引ひかない構かまえです。

プーチン大統領だいとうりょうとしては、アメリカが中国ちゅうごくを「最もっとも重大じゅうだいな競争きょうそう相手あいて」と位置いちづけるなかで、ロシアに対にたいしては譲歩じょうほも含ふくめたアプローチをとってくる可能かのう性せいもあるとみて、アメリカとの対話たいわを有利ゆうりな形かたちで進すすめたい思惑おもわくもあるとみられます。

米べい専門せんもん家か「長ながく険けわしい道みちのりの始はじまり」

今回こんかいの米べいロ首脳しゅのう会談かいだんについて、アメリカのシンクタンク、ウィルソンセンターでロシア外交がいこうが専門せんもんのマシュー・ロジャンスキー部長ぶちょうは「誰だれもがこの会談かいだんの終おわりに握手あくしゅや署名しょめい式典しきてんがあるとも、両国りょうこくの友好ゆうこうについて宣言せんげんが出だされるとも思おもっていない。これは長ながく険けわしい道みちのりの始はじまりにすぎない」と話はなしています。

そして米べいロ関係かんけいが冷え込ひえこんだままの状態じょうたいで首脳しゅのう会談かいだんを行おこなうねらいについては「バイデン大統領だいとうりょうは両国りょうこく関係かんけいが危険きけんな方向ほうこうにエスカレートしないようガードレールを設置せっちする必要ひつよう性せいを繰り返くりかえし述のべてきた」と指摘してきし、サイバー攻撃こうげきや極きょく超ちょう音速おんそく兵器へいきの開発かいはつなど、アメリカの安全あんぜん保障ほしょうに直結ちょっけつする問題もんだいを外交がいこうを通をつうじて制御せいぎょしていくためだと分析ぶんせきしました。

そのうえで、ロジャンスキー部長ぶちょうはプーチン大統領だいとうりょうにあらゆる権力けんりょくが集中しゅうちゅうしているロシアの現状げんじょうに言及げんきゅうし「バイデン大統領だいとうりょう自身じしんもアメリカ政府せいふ高官こうかんも皆みな、米べいロ関係かんけいは大統領だいとうりょうどうしの直接ちょくせつのやり取やりとりがなければ安定あんてい化かしないと理解りかいしている。同時どうじにそれだけでは不十分ふじゅうぶんで、軍ぐんの制服せいふく組ぐみどうしのチャンネルなどが必要ひつようであることも認識にんしきしている」と述のべ、両国りょうこく関係かんけいの戦略せんりゃく的てき安定あんていのための対話たいわを始はじめることで合意ごういできるかが焦点しょうてんの1つになるとの見方みかたを示しめしました。

さらに両国りょうこくの関係かんけい悪化あっかでお互おたがいの大使館たいしかんの人員じんいんが縮小しゅくしょうされている状況じょうきょうを元もとに戻もどせるかも焦点しょうてんになると指摘してきしました。

ロシア専門せんもん家か「対話たいわ始はじめることが重要じゅうよう」

一方いっぽう、ロシアの国際こくさい政治せいじ学者がくしゃで両国りょうこく関係かんけいに詳くわしいドミトリー・ススロフ氏しは「会談かいだんによる重要じゅうような結果けっかは何なんらかの合意ごういではなく、対話たいわを始はじめることだ」と述のべ、冷戦れいせん終結しゅうけつ後ご、最悪さいあくの関係かんけいとされるアメリカとロシアの首脳しゅのうが、対話たいわのテーブルにつくこと自体じたいに意義いぎがあると指摘してきしました。

ロシア側がわのねらいについてススロフ氏しは「対立たいりつ関係かんけいを操縦そうじゅう可能かのうなものにして一定いっていの枠わくの中なかで関係かんけいを発展はってんさせることにロシアは関心かんしんがある。バイデン政権せいけんに対にたいして、越こえてはならないレッドラインを明確めいかくに示しめすことがロシアにとって重要じゅうようだ」と述のべ、ロシアとしては、ウクライナやベラルーシなど、ロシアが勢力せいりょく圏けんととらえる地域ちいきの情勢じょうせいや国内こくないの政治せいじ問題もんだいなどにアメリカが干渉かんしょうを深ふかめず対立たいりつを決定けってい的てきなものにしないための具体ぐたい的てきな方策ほうさくを話し合はなしあいたい考かんがえだろうと分析ぶんせきしました。

一方いっぽうで「ロシアは、新あらたな軍拡ぐんかく競争きょうそうをすることに関心かんしんはない」と述のべ、核軍縮かくぐんしゅくを含ふくめた戦略せんりゃく的てき安定あんていをめぐる問題もんだいについては、核かく軍縮ぐんしゅく条約じょうやく「新しんSTART」を5年ねん延長えんちょうすることが決きまった猶予ゆうよを生いかして幅広はばひろく意見いけんを交かわすきっかけが生うまれることに期待きたいを示しめしました。

またアメリカが中国ちゅうごくと対立たいりつを深ふかめている状況じょうきょうについて「ロシアにとってかなり好都合こうつごうな状況じょうきょうを作り出つくりだしている。ロシアに新あらたな可能かのう性せいを与あたえている」と述のべ、ロシアが中国ちゅうごくに接近せっきんしていることもてこにアメリカとの交渉こうしょうを有利ゆうりに進すすめられる環境かんきょうにあると指摘してきしました。

両国りょうこくの会談かいだんたびたびジュネーブで

今回こんかいの米べいロ首脳しゅのう会談かいだんの開催かいさい地ち、スイスのジュネーブでは、これまでもロシアの前身ぜんしんの旧きゅうソビエトを含ふくめて両国りょうこくの首脳しゅのう会談かいだんや外相がいしょう会談かいだんが、たびたび行おこなわれてきました。

このうち冷戦れいせん期きの1985年ねん11月つきには当時とうじのレーガン大統領だいとうりょうとゴルバチョフ書記しょき長ちょうによるはじめての首脳しゅのう会談かいだんが行おこなわれました。

このなかで両りょう首脳しゅのうは「核かく戦争せんそうに勝者しょうしゃはなく核かく戦争せんそうは決けっして行おこなわれてはならない」という原則げんそくを盛り込もりこんだ共同きょうどう声明せいめいを発表はっぴょうするなど、その後そのごの核かく軍縮ぐんしゅくに向むけた対話たいわへの機運きうんを高たかめました。

ゴルバチョフ氏しの通訳つうやくをつとめたパベル・パラジチェンコ氏しは「中立ちゅうりつ国こくであり国際こくさい的てきに外交がいこうの舞台ぶたいとして長ながい伝統でんとうのあるジュネーブが当時とうじ、会談かいだん場所ばしょとして選えらばれた」と述のべたうえで、会談かいだんについては「最初さいしょはレーガン大統領だいとうりょうは非常ひじょうに批判ひはん的てきだったが会談かいだんが進すすむにつれて雰囲気ふんいきが変かわっていった」と述のべ双方そうほうの立場たちばに隔へだたりはあったものの、率直そっちょくな話し合はなしあいがもたれたとしています。

また、ジュネーブでは2009年ねん3月つき、当時とうじのクリントン国務こくむ長官ちょうかんとラブロフ外相がいしょうが会談かいだんを行おこないました。

クリントン国務こくむ長官ちょうかんが、ラブロフ外相がいしょうに関係かんけいをやりなおすことを意味いみする「リセット」と書かかれたボタンをプレゼントする一幕ひとまくもあり、両者りょうしゃは関係かんけい改善かいぜんを進すすめることで一致いっちしました。

今回こんかいのバイデン大統領だいとうりょうとプーチン大統領だいとうりょうの首脳しゅのう会談かいだんについてもこうした過去かこの経緯けいいも踏ふまえてジュネーブが会談かいだん場所ばしょとして最もっとも適てきしていると判断はんだんされたとみられます。

一方いっぽう、スイスのパルムラン大統領だいとうりょうは15日にち、ジュネーブ入いりしたバイデン大統領だいとうりょうと会談かいだんしたあと、現地げんちで記者きしゃ会見かいけんし「アメリカとロシアが、両国りょうこくと国際こくさい社会しゃかいにとって有益ゆうえきな結果けっかを得えられることを願ねがっている」と述のべ、ジュネーブで開催かいさいされる会談かいだんの成果せいかに期待きたいを示しめしました。