進行した
大腸がんで、
ほかの
臓器に
転移したがんを
手術で
取り除けないときには、
多くの
場合、
大腸に
ある元のがんを
取り除く手術が
行われてきました。
国立がん
研究センターなどの
臨床試験の
結果、
この手術を
行っても
行わなくても
生存期間が
変わらなかったことが
分かり、
今後は
手術せずに
抗がん
剤のみを
使う治療が
標準に
なるとしています。
国立がん
研究センター中央病院の
金光幸秀科長らの
グループは、
大腸がんが
進行し、
ほかの
臓器に
転移した「
ステージ4」の
患者を
対象に
臨床試験を
行い、
結果を
発表しました。
大腸がんは、国内ではがんの中で最も多い年間15万人以上が診断され、このうちの2割近くを占めるステージ4の患者の治療は、転移したがんを手術で取り除くことができないときには多くの場合、元の大腸がんを取り除く手術をしたあとで抗がん剤の治療が行われています。
グループでおととしまでの7年間に治療を受けたステージ4の大腸がんの患者160人について、大腸にあるがんを切除した人と切除しなかった人で半数が生存していた期間を比べたところ、どちらも2年2か月ほどで差がなかったほか、切除した人の方が抗がん剤を受けたときに重い副作用が出る頻度が高かったことが分かりました。
グループは今後、腸からの出血などがない場合には手術せずに抗がん剤のみを使う治療が標準になるとしています。
金光科長は「がんがあると手術で取り除きたいと患者も医師も思うが、必ずしも手術が良いわけではないと分かったのは、患者の治療にとって意味のある結果だ」と話しています。