Actualités japonaises: センバツ島民の思いも背負って大島高校（鹿児島）の挑戦

センバツ島民とうみんの思おもいも背負せおって大島おおしま高校こうこう（鹿児島かごしま）の挑戦ちょうせん

Mar 22, 2022 22:03

Furigana

センバツ高校こうこう野球やきゅう、23日にちの第だい２に試合しあいで初戦しょせんを迎むかえるのが鹿児島かごしま県けんの離島りとうから出場しゅつじょうする大島おおしま高校こうこうです。“島しまから甲子園こうしえんへ”を合言葉あいことばに、エールを送おくり続つづけた島民とうみんの思おもいも背負せおって、甲子園こうしえん初はつ勝利しょうりを目指めざします。

恵めぐまれた環境かんきょうではなかった

大島おおしま高校こうこうがあるのは、去年きょねん、世界せかい自然しぜん遺産いさんに登録とうろくされた奄美あまみ大島おおしまです。鹿児島かごしま市しから南みなみにおよそ370キロ。野球やきゅう部ぶの選手せんしゅたちは県けん大会たいかいに出場しゅつじょうしたり、練習れんしゅう試合しあいを行おこなったりするときは、フェリーで11時間じかんもかけて移動いどうします。

甲子園こうしえんを夢見ゆめみる球児きゅうじにとって、決けっして恵めぐまれた環境かんきょうでないことから、ここ数すう年ねんは、高校こうこう進学しんがくを機きに島しまを出でて、いわゆる強豪きょうごう校こうに進すすむケースが増ふえていました。

子こどもたちが島しまに残のこるきっかけを

こうした状況じょうきょうを何なんとか変かえたいと思おもっていたのが、奄美あまみ市しの総務そうむ部長ぶちょう、三原みはら裕樹ゆうきさんです。野球やきゅうの審判しんぱんも務つとめ、市民しみん球場きゅうじょうの整備せいびやプロ野球やきゅうのキャンプ誘致ゆうちにも取り組とりくんできました。

三原みはらさんが目めをつけたのが“離はなれ島とう甲子園こうしえん”という大会たいかいです。

マサカリ投とう法ほうで活躍かつやくした元もとプロ野球やきゅう選手せんしゅの村田むらた兆ちょう治おさむさんが提唱ていしょうし、2008年ねんに島根しまね県けんの隠岐おきの島しまで始はじまりました。

全国ぜんこくの離島りとうの中学生ちゅうがくせいの選抜せんばつチームが、毎年まいとしひとつの島しまに集あつまって、優勝ゆうしょうを争あらそいます。

奄美あまみ市しは2017年ねんの第だい10回かい目めとなった大会たいかいから参加さんかしました。

三原みはらさんが「島しまの子こどもたちは全国ぜんこく大会たいかいに出でるチャンスがあまりない。大人おとなが働はたらきかけて環境かんきょうを整ととのえてやらないと」と、遠征えんせい費ひなどを市しで補助ほじょすることを決きめたのです。

“離島りとう”から“リアル”へ

“離はなれ島とう甲子園こうしえん”への参加さんかをきっかけに自信じしんをつけたのが、キャッチャーの西田にしだ心太ところてん朗ろう選手せんしゅとエースの大野おおの稼頭あたま央ひさし投手とうしゅです。

それぞれ別べつのチームで大会たいかいに参加さんかし、ともにベスト4に入はいりました。さらに、西田にしだ選手せんしゅは“離はなれ島とう甲子園こうしえん”を経験けいけんし、島しまの仲間なかまと野球やきゅうをしたい、島しまから甲子園こうしえんに行いきたいと思おもうようになったと言いいます。

そして、甲子園こうしえんの出場しゅつじょう経験けいけんもある強豪きょうごう校こうから誘さそいを断ことわり、大島おおしま高校こうこうへの進学しんがくを決断けつだんしました。

そのうえで西田にしだ選手せんしゅは、島しまから甲子園こうしえんを目指めざすためには、大野おおの投手とうしゅが必要ひつよう不可欠ふかけつだと考かんがえました。進路しんろを決きめかねていた大野おおの投手とうしゅに「一緒いっしょに甲子園こうしえんへ行いこう」と猛烈もうれつにアタックし、2人にんはバッテリーを組くむことになりました。

さらに、この2人にんの決断けつだんに続つづくように、“離はなれ島とう甲子園こうしえん”を経験けいけんした仲間なかまが、「島しまから全国ぜんこくに挑いどみたい」と集結しゅうけつしたのです。

実力じつりょくでつかんだセンバツ切符きっぷ

三原みはらさんの思おもいが結実けつじつして、多おおくの子こどもたちが島しまに残のこり、大島おおしま高校こうこうは、去年きょねん秋あきの九州きゅうしゅう大会たいかいで準じゅん優勝ゆうしょうし、センバツ出場しゅつじょうを決きめました。

8年ねん前まえは、困難こんなんな状況じょうきょうを克服こくふくした学校がっこうなどが対象たいしょうになる「21世紀せいき枠わく」での選出せんしゅつでしたが、今回こんかいは実力じつりょくでつかんだ切符きっぷでした。

三原みはらさんは「島しまの昔むかしからの言い伝いいつたえで『子こは宝たから』ということばがあります。子こどもは島しまの宝たからという意識いしきがある地域ちいきなので、島しまぐるみで支ささえてきました。島しまに残のこって甲子園こうしえんに行いってくれればとひそかに願ねがっていたことが、ほんとうにかなったのでうれしいです」と話はなしています。

一方いっぽう、西田にしだ選手せんしゅは「離はなれ島とう甲子園こうしえんがなかったら、いま大島おおしま高校こうこうに来きてなかったかもしれないですし、島しまの昔むかしから一緒いっしょの仲間なかまといま野球やきゅうをやっていなかったかもしれない。ああいう機会きかいがあってよかったです」と三原みはらさんへの感謝かんしゃを口くちにしていました。

エールを送おくり続つづけた島民とうみんの思おもいも背負せおって、大島おおしま高校こうこうの選手せんしゅたちは甲子園こうしえん初はつ勝利しょうりを目指めざします。