Japanese News: 「資本論」への関心高まるコロナ禍で“経済格差”など意識か

「資本しほん論ろん」への関心かんしん高たかまるコロナ禍かで“経済けいざい格差かくさ”など意識いしきか

May 30, 2021 06:05

Furigana

およそ150年ねん前まえに資本しほん主義しゅぎのメカニズムを分析ぶんせきした思想家しそうか、カール・マルクスの「資本しほん論ろん」への関心かんしんが高たかまり、関連かんれんする書籍しょせきが人気にんきを集あつめています。

出版しゅっぱん社しゃなどは経済けいざい格差かくさや環境かんきょう破壊はかいなどの社会しゃかい問題もんだいがコロナ禍かの中なかでより意識いしきされていることが、背景はいけいにあるのではないかとしています。

「資本しほん論ろん」は、ドイツの思想家しそうか、カール・マルクスが1867年ねんに発表はっぴょうした著作ちょさくで、資本しほん主義しゅぎのメカニズムをひも解とき内包ないほうする問題もんだい点てんなどを鋭するどく分析ぶんせきしたもので、その後そのごの経済けいざい体制たいせいのあり方ありかたなどに影響えいきょうを与あたえました。

出版しゅっぱん社しゃなどによりますとコロナ禍かの中なか、この「資本しほん論ろん」への関心かんしんが高たかまり、内容ないようを解説かいせつした本ほんや資本しほん主義しゅぎ社会しゃかいをテーマにした関連かんれん書籍しょせきに注目ちゅうもくが集あつまっています。

このうち、去年きょねん9月つきに出版しゅっぱんされた大阪おおさか市立しりつ大学だいがくの斎藤さいとう幸平こうへい准じゅん教授きょうじゅの「人ひと新しん世よの『資本しほん論ろん』」は、地球ちきゅう環境かんきょうに負荷ふかをかけて経済けいざい成長せいちょうを追い求おいもとめる資本しほん主義しゅぎでは温暖おんだん化かや経済けいざい的てき格差かくさの解決かいけつは難むずかしいなどと論ろんじていて、30万まん部ぶの異例いれいのベストセラーとなっています。

斎藤さいとう准じゅん教授きょうじゅは「資本しほん主義しゅぎが豊ゆたかさをもたらした一方いっぽうで、その弊害へいがいがよりあらわになり、持続じぞく可能かのうな社会しゃかいを求もとめる動うごきが世界せかい的てきに出でてきている。コロナ禍かの中なかでグローバルな資本しほん主義しゅぎの問題もんだいを自分じぶん事ごととして受け止うけとめる人ひとが増ふえているのではないか」と話はなしています。

このほかにも「資本しほん論ろん」の内容ないようを丁寧ていねいに解説かいせつした「武器ぶきとしての『資本しほん論ろん』」や、現代げんだい社会しゃかいの労働ろうどうのあり方ありかたを批判ひはん的てきに分析ぶんせきした、「ブルシット・ジョブ」など、関連かんれん書籍しょせきが相次あいついで出版しゅっぱんされ、書店しょてんでは特集とくしゅうコーナーが設もうけられるなど人気にんきを集あつめています。

都内とないの大手おおて書店しょてんの担当たんとう者しゃは「若わかい人ひとたちを中心ちゅうしんに反響はんきょうが大おおきく驚おどろいている。格差かくさや環境かんきょう悪化あっかは差し迫さしせまった問題もんだいで、このままの社会しゃかいでいいのかという思おもいや意識いしきがあるのではないか」と話はなしていました。

注目ちゅうもくの背景はいけいに「温暖おんだん化か」「格差かくさ」

地球ちきゅう温暖おんだん化かは、大だい規模きぼな森林しんりん火災かさいや異常いじょうな高温こうおん、ハリケーンの大型おおがた化かなど世界せかい各地かくちでさまざまな影響えいきょうを及およぼしていると指摘してきされています。

ロシアのシベリアでは去年きょねん、北極ほっきょく圏けんで過去かこ最高さいこうとみられる38度どを観測かんそくするなど異常いじょうな高温こうおんとなり、こうした高温こうおんが続つづけば永久えいきゅう凍土とうどが溶とけて、地中ちちゅうのメタンが放出ほうしゅつされるなどしてさらに多おおくの温室おんしつ効果こうかガスが排出はいしゅつされるおそれがあるとされています。

オーストラリアでは、おととし9月つきから去年きょねん2月つきごろにかけて発生はっせいした大だい規模きぼな森林しんりん火災かさいで33人にんが死亡しぼうしたほか、コアラが焼やけて死しぬなど30億おく匹ひきの野生やせい動物どうぶつが被害ひがいを受うけたと推計すいけいされています。

国連こくれんは温暖おんだん化かの深刻しんこくな被害ひがいを防ふせぐためには、二に酸化さんか炭素たんそなどの温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつを抑おさえ、世界せかいの平均へいきん気温きおんの上昇じょうしょうを1.5度ど以内いないに抑おさえる必要ひつようがあると呼よびかけています。

国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうは、「世界せかいは今世紀こんせいき中ちゅうに3度どから5度どという壊滅かいめつ的てきな気温きおん上昇じょうしょうに向むかっている。自然しぜんとの融和ゆうわを図はかることはすべての人ひと、すべての場所ばしょにおいて優先ゆうせん課題かだいでなければならない」と述のべて、対策たいさくの強化きょうかを訴うったえています。

また、世界せかい的てきな経済けいざい格差かくさの問題もんだいも深刻しんこくです。

世界せかいの貧困ひんこん問題もんだいに取り組とりくむ国際こくさい的てきなNGOの「オックスファム」は、2019年ねんの時点じてんで、10億おくドル以上いじょうの資産しさんを持もつ富裕ふゆう層そう2100人にん余あまりの資産しさんの合計ごうけいは、世界せかいの総そう人口じんこうのおよそ6割わりにあたる46億おく人にんの資産しさんの合計ごうけいを上回うわまわっていたとする報告ほうこく書しょをまとめています。

2011年ねんには経済けいざい格差かくさの解消かいしょうなどを訴うったえるアメリカの若者わかものたちの抗議こうぎ行動こうどうが全米ぜんべい各地かくちで行おこなわれ、世界せかい各地かくちでも抗議こうぎの声こえが上あがるなど格差かくさの拡大かくだいは世界せかい的てきな社会しゃかい問題もんだいとなっています。