このため韓国では、岸田総理大臣が韓国滞在中に歴史認識についてどのような発言をするかに注目が集まっています。
また、複数の韓国メディアは、東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画をめぐり、韓国国内で懸念が出ていることを受け、首脳会談で議論される見通しだと伝えています。
その上で、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で韓国政府が日本側に「誠意ある呼応」を求めていることに関連して、「植民地支配の時代に苦しんだ人々の痛みに共感し当時は大変だったということをわかってほしいと、韓国の国民は考えている。岸田総理大臣が心からの共感や慰めを伝えることが必要だ」と話しています。
この中では、歴史問題に関連して「いま日本との過去を乗り越えなければならない。関係正常化と発展の妨げとなるものを韓国が先に取り除けば、日本も応じてくるだろう」と述べ、日本との関係改善を着実に進める意向を強調しました。 その上で「日本はすでに数十回、過去の歴史について反省と謝罪を表明している」とも述べました。 ユン大統領は、先月、アメリカの有力紙のインタビューでも、「日本が100年前の歴史のためにひざまずいて謝罪しなければならないという考えは受け入れられない」と述べ、未来志向で日本との関係構築を進めていく姿勢を示しています。 こうしたユン大統領の対日姿勢について、韓国の国会で過半数を占める最大野党「共に民主党」は「屈辱外交だ」などと批判し、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で韓国政府が打ち出した解決策の撤回を求めるなど、反発を強めています。
これについて、韓国国内では、「歴史問題に関する日本側の誠意ある呼応措置が足りなかった」とか、「ユン大統領は、日本側から進展した立場を引き出せなかった」などとする声が出ていて、今回の首脳会談での岸田総理大臣の対応に関心が集まっていました。
先月に入ってからは、輸出手続きを簡略化できる優遇措置の対象国に日本を再指定することを決めています。
ユン・ソンニョル大統領としては北朝鮮による軍事挑発が相次ぐ中で、4月下旬にアメリカを訪問して、バイデン大統領と会談した内容も踏まえ、日本やアメリカとの連携をさらに強化していく意思を、今回の首脳会談で改めて示すものとみられます。 一方、5年前の韓国軍による自衛隊機へのレーダー照射問題については、3月、韓国の国会でイ・ジョンソプ(李鐘燮)国防相が、「われわれの立場は、レーダーを照射しなかったというものだ」などと、従来の主張を繰り返しています。
