「サハリン1」には、日本からも、政府が50%を出資する「SODECO・サハリン石油ガス開発」に大手商社の伊藤忠商事と丸紅、それに「石油資源開発」などが参加し、この会社を通じてプロジェクトの30%の権益を保有しています。
サハリン沖の石油・天然ガス開発プロジェクトをめぐっては、大手商社の三井物産と三菱商事が参画する「サハリン2」でもイギリスの石油大手シェルが事業からの撤退を発表したあと、ロシア政府がことし8月、事業を引き継ぐ新たなロシア企業を設立し、日本の商社2社とも新会社の株式を取得して権益を維持しています。
総事業費は120億ドル、日本円で1兆7000億円を超え、アメリカ、ロシア、インド、日本が参加しています。 権益の比率は、 ▽アメリカの石油大手「エクソンモービル」が30%。 それに、 ▽ロシアの国営石油会社が20%、 ▽インドの国営石油会社が20%となっています。 ▽日本勢は「SODECO・サハリン石油ガス開発」が30%の権益を保有していて、この会社には政府が50%出資するほか、大手商社の「伊藤忠商事」と「丸紅」、それに政府が出資する「石油資源開発」などが出資しています。 日本にとってサハリン1は、サハリン2に比べて政府の関与が強いのが特徴で、官民をあげて開発を進めてきました。 2005年以降、3つの油田で原油の生産が行われていて、200キロ余り離れた極東ハバロフスク地方の沿岸にある出荷ターミナルまでパイプラインで輸送したあと、タンカーで輸出しています。 また、天然ガスについてもLNG=液化天然ガスとして日本などへ輸出することなどが検討されています。 サハリン1をめぐっては、事業の中心となってきた「エクソンモービル」がことし3月、ロシアによるウクライナ侵攻を受けてプロジェクトからの撤退を表明しました。 一方、ことし8月にはロシアのプーチン大統領が、アメリカや日本を含む非友好国と位置づける国の企業などに、ロシア企業の株式を売却することなどをことし12月末まで禁止する大統領令に署名したことで、事業の先行きに不透明感が出ていました。
このため、経済産業省によりますとサハリン1から現在原油は輸入されていないということです。 ただ日本は原油の輸入の90%以上を中東に依存していて、エネルギー調達の多角化を進めることが課題となっています。 ロシアからの原油の輸入量は2021年、全体の3.6%と決して多くありませんが、経済産業省は「中東以外の重要な調達先であり、日本のエネルギー安全保障上、サハリン1の権益の重要性は変わらない」としていて、今後情報収集を進め、日本への影響の有無などを見極めることにしています。
サハリン1とは
経済産業省「中東以外の重要な調達先」