政治せいじ資金しきん問題もんだいであす参院さんいん政せい倫りん審しん 世よ耕こう氏し 西田にしだ氏し 橋本はしもと氏し出席しゅっせきへ

《注目ちゅうもく点てん1》 参院さんいん選せんの年としの全額ぜんがくキックバックは

安倍あべ派はでは、少すくなくとも参議院さんぎいん選挙せんきょがあった2019年ねんと2022年ねんに開ひらいた政治せいじ資金しきんパーティーについて、改選かいせんとなる参議院さんぎいん議員ぎいんにパーティー券けんの販売はんばいノルマを設もうけず、集あつめた収入しゅうにゅうを全額ぜんがくキックバックする運用うんようが行おこなわれていたことが、関係かんけい者しゃへの取材しゅざいでわかっています。

こうした運用うんようについて、野党やとう側がわは、「選挙せんきょ活動かつどうに使つかわれたのではないか」などと指摘してきしていて、審査しんさ会かいに出席しゅっせきする議員ぎいんがどのような説明せつめいをするのかが焦点しょうてんの1つです。

《注目ちゅうもく点てん2》 キックバック継続けいぞくの経緯けいいは

焦点しょうてんの2つめは、衆議院しゅうぎいんの政治せいじ倫理りんり審査しんさ会かいで明あきらかにならなかった派閥はばつの議員ぎいん側がわへのキックバックが始はじまった経緯けいい、そして安倍あべ・元もと総理そうり大臣だいじんが、中止ちゅうしを指示しじしたとされる議員ぎいん側がわへのキックバックがなぜ、その後そのごも継続けいぞくしたのかです。

審査しんさ会かいには安倍あべ派はの幹部かんぶだった世よ耕こう前ぜん参議院さんぎいん幹事かんじ長ちょうが出席しゅっせきすることになっています。

世よ耕こう氏しは議員ぎいん側がわへのキックバックを中止ちゅうしするよう、当時とうじの派閥はばつ会長かいちょうの安倍あべ氏しが指示しじしたとされるおととし4月つきの会合かいごう、銃撃じゅうげき事件じけんで亡なくなった安倍あべ氏しを除のぞく派閥はばつの幹部かんぶらが集あつまり、キックバックの継続けいぞくについても話し合はなしあいが行おこなわれたとされるおととし8月つきの会合かいごう、どちらの場ばにも参加さんかしていたと、西村にしむら氏し、塩谷しおや氏しが、衆議院しゅうぎいん政治せいじ倫理りんり審査しんさ会かいで発言はつげんしています。

野党やとう側がわが、衆議院しゅうぎいんの審査しんさ会かいでの安倍あべ派は幹部かんぶらの説明せつめいに「食い違くいちがいがある」と指摘してきしている派閥はばつ内ないの意思いし決定けっていの経緯けいいについて世よ耕こう氏しが、どのような発言はつげんをするのかが注目ちゅうもくされます。

出席しゅっせきする3氏しの「不ふ記載きさいの内容ないよう」

世よ耕こう弘ひろ成なる 前ぜん参院さんいん幹事かんじ長ちょう

安倍あべ派は「5人にん衆しゅう」と呼よばれた議員ぎいんの1人にんで、派閥はばつの意思いし決定けっていにあたる常任じょうにん幹事かんじ会かいのメンバーだった世よ耕こう弘ひろ成なる前ぜん参議院さんぎいん幹事かんじ長ちょうは、自民党じみんとうが行おこなったアンケートで、2021年ねんまでの4年間ねんかんに不ふ記載きさいなどの金額きんがくが、あわせて1542万まん円えんあったとしていて、年としごとの内訳うちわけは2018年ねんが102万まん円えん、2019年ねんが604万まん円えん、2020年ねんが360万まん円えん、2021年ねんが476万まん円えんとなっています。

自身じしんが代表だいひょうを務つとめる政治せいじ団体だんたい「紀きの成しげる会かい」の2020年ねんと2021年ねんの政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょに派閥はばつからの収入しゅうにゅう、あわせて836万まん円えんを記載きさいしていなかったとして2月つき29日にちに収支しゅうし報告ほうこく書しょを訂正ていせいしています。

また、支出ししゅつとして新あらたに“贈答ぞうとう品ひん代だい”や“宿泊しゅくはく代だい”などが記載きさいされていましたが、支出ししゅつの総額そうがくや、内容ないようの一部いちぶが「不明ふめい」となっていました。

世よ耕こう氏しは1月つきの記者きしゃ会見かいけんで「政治せいじ資金しきんの管理かんりについては秘書ひしょに任まかせきりだった」などと話はなしていました。

西田にしだ昌司しょうじ議員ぎいん

また、安倍あべ派はの西田にしだ昌司しょうじ議員ぎいんは、自民党じみんとうが行おこなったアンケートで2022年ねんまでの5年間ねんかんに不ふ記載きさいなどの金額きんがくが、あわせて411万まん円えんあったとしていて、年としごとの内訳うちわけは2018年ねんが35万まん円えん、2019年ねんが142万まん円えん、2020年ねんが126万まん円えん、2021年ねんが68万まん円えん、2022年ねんが40万まん円えんとなっています。

自身じしんが代表だいひょうを務つとめる政治せいじ団体だんたい「一いち粒つぶ会かい」の2022年ねんまでの3年ねん分ぶんの政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょに派閥はばつからの収入しゅうにゅうあわせて234万まん円えんを記載きさいしていなかったとして1月つき31日にちに収支しゅうし報告ほうこく書しょを訂正ていせいしています。

西田にしだ氏しの事務所じむしょは収入しゅうにゅうは翌年よくねん以降いこうの「清和せいわ政策せいさく研究けんきゅう会かい」のパーティー券けんの購入こうにゅう費用ひように全額ぜんがく充あてていたと説明せつめいしていて、西田にしだ氏しは「秘書ひしょが独自どくじの判断はんだんで行おこなったことだが、監督かんとく不行き届ふゆきとどきだったことを痛感つうかんし、道義どうぎ的てき責任せきにんを強つよく感かんじている」などとしています。

橋本はしもと聖子せいこ 元もと五輪ごりん担当たんとう相しょう

安倍あべ派はの常任じょうにん幹事かんじ会かいのメンバーだった橋本はしもと聖子せいこ元もとオリンピック・パラリンピック担当たんとう大臣だいじんは、自民党じみんとうが行おこなったアンケートで2020年ねんまでの3年間ねんかんに不ふ記載きさいなどの金額きんがくが、あわせて2057万まん円えんあったとしていて、年としごとの内訳うちわけは2018年ねんが202万まん円えん、2019年ねんが1566万まん円えん、2020年ねんが289万まん円えんとなっています。

自身じしんが代表だいひょうを務つとめる政治せいじ団体だんたい「自民党じみんとう北海道ほっかいどう参議院さんぎいん比例ひれい区く第だい八はち十じゅう三さん支部しぶ」の2020年ねんの政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょに派閥はばつ側がわからの収入しゅうにゅう289万まん円えんを記載きさいしていなかったとして3月つき1日にちに収支しゅうし報告ほうこく書しょを訂正ていせいしています。

自身じしんのホームページに「還付かんぷ金きんは本来ほんらい寄付きふ金きんとして取り扱とりあつかうべきであり、皆様みなさまにご心配しんぱいをおかけしましたことを心こころよりおわびいたします」と記載きさいしています。

衆院しゅういん政せい倫りん審しんでの安倍あべ派は歴代れきだい事務じむ総長そうちょう4人にんの発言はつげんは

衆議院しゅうぎいん政治せいじ倫理りんり審査しんさ会かいには、安倍あべ派はの歴代れきだいの事務じむ総長そうちょうを務つとめた西村にしむら前ぜん経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじん、松野まつの前ぜん官房かんぼう長官ちょうかん、塩谷しおや元もと文部もんぶ科学かがく大臣だいじん、高木たかぎ前ぜん国会こっかい対策たいさく委員いいん長ちょうの4人にんが出席しゅっせきしました。

1 違法いほう性せいの認識にんしきは

審査しんさ会かいで4人にんは、違法いほう性せいの認識にんしきについて、いずれも派閥はばつの会計かいけい処理しょりには一切いっさい関かかわらず、収支しゅうし報告ほうこく書しょへの記載きさいについても報告ほうこくを受うけていない。不ふ記載きさいは知しらなかったなどと否定ひていしました。

2 キックバックの始はじまりは

キックバックが始はじまった経緯けいいについても、明あきらかにはなりませんでした。

塩谷しおや氏しは「20数すう年ねん前まえから始はじまったのではないかと思おもうが、明確めいかくな経緯けいいは承知しょうちしていない」と述のべました。

西村にしむら氏しは「自前じまえで政治せいじ資金しきんを調達ちょうたつすることが困難こんなんな若手わかてや中堅ちゅうけん議員ぎいんの政治せいじ活動かつどうを支援しえんする趣旨しゅしから始はじまったのではないかとされているが、いつから行おこなわれていたかは承知しょうちしていない。派閥はばつの歴代れきだい会長かいちょうと事務職じむしょくの事務じむ局長きょくちょうとの間まで長年ながねん慣行かんこう的てきに扱あつかってきたことで会長かいちょう以外いがいの幹部かんぶが関与かんよすることはなかった」と述のべました。

西村にしむら氏しは、森元もりもと総理そうり大臣だいじん以外いがいの歴代れきだいの安倍あべ派はの会長かいちょうがすでに死去しきょしている中なか、森もり氏しに確認かくにんしないのかと問とわれたのに対にたいし「森元もりもと総理そうりが関与かんよしていたという話はなしは聞きいたことがないのでしていないが、疑念ぎねんが生しょうじるのであれば、わたしどもが確認かくにんしても口裏くちうらを合あわせたんじゃないかと言いわれかねないので、第だい三さん者しゃの方ほうが確認かくにんするのがよいのではないか」と答こたえました。

3 キックバック再開さいかいの経緯けいいは

衆議院しゅうぎいん政治せいじ倫理りんり審査しんさ会かいで質問しつもんが集あつまったのが、銃撃じゅうげき事件じけんで亡なくなる前まえの安倍あべ・元もと総理そうり大臣だいじんが、中止ちゅうしを指示しじしたとされる議員ぎいん側がわへのキックバックがなぜ継続けいぞくされたのかです。

西村にしむら氏しの説明せつめいによると、おととし4月つき、安倍あべ派はの幹部かんぶ5人にんと、会計かいけい責任せきにん者しゃである事務じむ局長きょくちょうが集あつまった会合かいごうで、当時とうじ派閥はばつの会長かいちょうだった安倍あべ氏しが「現金げんきんでのキックバックが不透明ふとうめいである」という考かんがえなどから、議員ぎいん側がわへのキックバックを中止ちゅうしするよう指示しじしたということです。

しかし、議員ぎいん側がわからキックバックの継続けいぞくを求もとめる声こえが出でたことから、安倍あべ氏しが死去しきょした翌月よくげつのおととし8月つき上旬じょうじゅん、安倍あべ氏し以外いがいの5人にんで再ふたたび集あつまった会合かいごうで、キックバックの継続けいぞくについて協議きょうぎしたということです。

このときの協議きょうぎについて、西村にしむら氏しが「結論けつろんは出でなかった」と説明せつめいした一方いっぽう、塩谷しおや氏しは「還付かんぷをどうするか、困こまっている人ひとがたくさんいるから『しょうがないかな』というくらいの話し合はなしあいで、継続けいぞくになったと理解りかいしている」などと説明せつめいしました。

また、この会合かいごうよりも後ごのおととし8月つきに事務じむ総長そうちょうに就任しゅうにんした高木たかぎ氏しは、「おととしの11月つき、派閥はばつの事務じむ担当たんとう者しゃから、前年ぜんねんまでと同様どうよう、還付かんぷがされると連絡れんらくを受うけた。それまでの間ま、どのような検討けんとうがなされたか、まったく認識にんしきしていないし、一切いっさい関与かんよしていない」などと述のべました。

こうした安倍あべ派はの幹部かんぶらの発言はつげんについて、野党やとう側がわは「食い違くいちがいがある」などと指摘してきしています。

専門せんもん家か「国民こくみんの厳きびしい目線めせんを肝きもに銘めいじて」

政治せいじ過程かてい論ろんが専門せんもんの神奈川かながわ大学だいがくの大川おおかわ千寿せんじゅ教授きょうじゅは、衆議しゅうぎ院いんで開ひらかれた政治せいじ倫理りんり審査しんさ会かいについて次つぎのように指摘してきしました。

「緊張きんちょう感かんのある公開こうかいの場ばで出席しゅっせき者しゃの発言はつげんの矛盾むじゅんなどが浮き彫うきぼりになった点てんでは評価ひょうかはできるが、一連いちれんの政治せいじ資金しきんの問題もんだいで、政治せいじ的てきな責任せきにん、道義どうぎ的てきな責任せきにんの所在しょざいがどこにあるのかが見みえない残念ざんねんな質疑しつぎだったといわざるを得えず、真相しんそうを知しりたい国民こくみんが求もとめたものと、説明せつめいさえすれば責任せきにんを果はたせていると考かんがえる議員ぎいんとの間まで、中身なかみがまったくかみ合かみあっていなかった」

「衆議院しゅうぎいんの政せい倫りん審しんでの質疑しつぎが、相当そうとう消化しょうか不良ふりょうだったことで、国民こくみんの不満ふまんはますます高たかまっていて、参議院さんぎいんの政せい倫りん審しんには、鋭するどい目線めせんが注そそがれていることを弁明べんめいする議員ぎいんも、質問しつもんをする議員ぎいんも、肝きもに銘めいじてほしい。『良識りょうしきの府ふ』らしく、衆議しゅうぎ院いんで明あきらかにならなかった疑問ぎもん点てんについて、なるべく要点ようてんを絞しぼって深ふかく掘り下ほりさげることを期待きたいしたい」

政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょを相次あいついで訂正ていせい

政治せいじ資金しきんパーティーをめぐる事件じけんを受うけて、自民党じみんとうの派閥はばつと、派閥はばつに所属しょぞくしていた国会こっかい議員ぎいんらが、政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょを相次あいついで訂正ていせいしています。

安倍あべ派は「清和せいわ政策せいさく研究けんきゅう会かい」は、収支しゅうし報告ほうこく書しょの保存ほぞんが法律ほうりつで義務ぎむづけられているおととしまでの3年間ねんかんに記載きさいしていないパーティー収入しゅうにゅうが4億おく3588万まん円えんあったとして、政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょを訂正ていせいしました。

さらに、記載きさいされていなかった当時とうじの所属しょぞく議員ぎいんや元もと議員ぎいんらの政治せいじ団体だんたいへの派閥はばつからの寄付きふ、4億おく2726万まん円えんも書かき加くわえられました。

二に階かい派は「志こころざし帥そち会かい」は、おととしまでの3年間ねんかんに記載きさいしていないパーティー収入しゅうにゅうが1億おく3614万まん円えんあまりあり、当時とうじの所属しょぞく議員ぎいん側がわへの寄付きふが6533万まん円えんあったとして、政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょを訂正ていせいしています。

岸田きしだ派は「宏ひろし池いけ政策せいさく研究けんきゅう会かい」もおととしまでの3年ねん分ぶんの政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょを訂正ていせいし、このうち2020年ねんには記載きさいしていないパーティー収入しゅうにゅうが896万まん円えんあったなどとしています。

一方いっぽう、派閥はばつからの支出ししゅつが確認かくにんされた国会こっかい議員ぎいんや元もと議員ぎいんら、98人にんの政治せいじ団体だんたいの収支しゅうし報告ほうこく書しょの訂正ていせいについて、NHKが総務そうむ省しょうや各かく都道とどう府県ふけんの選挙せんきょ管理かんり委員いいん会かいのホームページで確認かくにんしたところ、12日にちの時点じてんで、少すくなくとも88人にんの団体だんたいが訂正ていせいを行おこなっていました。