“夫婦ふうふ同姓どうせい”定さだめた民法みんぽう 日本にっぽん政府せいふに改正かいせい求もとめる勧告かんこく 国連こくれん委員いいん会かい

女性じょせい差別さべつ撤廃てっぱい条約じょうやくを批准ひじゅんしている各国かっこくの取り組とりくみを定期ていき的てきに審査しんさしている国連こくれんの委員いいん会かいは今月こんげつ、日本にっぽんへの審査しんさを8年ねんぶりに行おこない、29日にち、日本にっぽん政府せいふの取り組とりくみに対にたいして見解けんかいを公表こうひょうしました。

それによりますと、結婚けっこんした夫婦ふうふが同おなじ名字みょうじになることを定さだめた民法みんぽうの規定きていについて、「女性じょせいが夫おっとの姓せいを名乗なのることを余儀よぎなくされることが多おおい」と指摘してきし、差別さべつ的てきだとしたうえで、夫婦ふうふが希望きぼうすれば結婚けっこん前まえの姓せいを名乗なのりれる「選択せんたく的てき夫婦ふうふ別姓べっせい」を可能かのうにする法ほう改正かいせいを行おこなうよう日本にっぽん政府せいふに勧告かんこくを出だしました。

国連こくれんの委員いいん会かいは、夫婦ふうふの同姓どうせいを定さだめた日本にっぽんの民法みんぽうの規定きていについてこれまでに3回かい、改正かいせいを求もとめる勧告かんこくを出だしていて、今回こんかいで4回かい目めです。

また、委員いいん会かいは、皇位こうい継承けいしょうにおける男女だんじょ平等びょうどうを保障ほしょうする必要ひつようがあるとして、皇位こういは男系だんけいの男子だんしが継承けいしょうすると定さだめている皇室こうしつ典範てんぱんを改正かいせいするよう勧告かんこくしました。

このほか、個人こじんが国連こくれんに対にたいして人権じんけんの救済きゅうさいを申し立もうしたてられる制度せいどを定さだめた国連こくれんの「選択せんたく議定ぎてい書しょ」に批准ひじゅんするよう求もとめる勧告かんこくなどを出だしました。

委員いいんの1人にん「平等びょうどうの問題もんだいであり女性じょせいの選択せんたくの問題もんだい」

国連こくれんの女性じょせい差別さべつ撤廃てっぱい委員いいん会かいの委員いいんの1人にんで、日本にっぽん政府せいふの取り組とりくみの審査しんさにあたったバンダナ・ラナ委員いいんが29日にち、NHKの取材しゅざいに応おうじました。

委員いいんは、はじめに「今回こんかいの審査しんさまでに、日本にっぽんはいくつかの大おおきな進歩しんぽを遂とげた。女性じょせいの再婚さいこん禁止きんし期間きかんの廃止はいしや男女だんじょの婚姻こんいん年齢ねんれいが18歳さいとなったことなど、肯定こうてい的てきな変化へんかがあったといえる」と評価ひょうかしました。

一方いっぽうで、「まだ取り組とりくむべき課題かだいが残のこされている」と述のべ、重要じゅうような課題かだいの1つに選択せんたく的てき夫婦ふうふ別姓べっせいを可能かのうにする法ほう改正かいせいをあげました。

委員いいんは「日本にっぽん政府せいふは、夫婦ふうふの姓せいについて国民こくみんの議論ぎろんを進すすめてきたと主張しゅちょうしてきたが、これは平等びょうどうの問題もんだいであり女性じょせいの選択せんたくの問題もんだいだ。女性じょせい自身じしんのアイデンティティーへの影響えいきょうを考かんがえなければならない」と指摘してきしました。

そのうえで、「日本にっぽんが国際こくさい社会しゃかいにおける力ちからとイメージを保たもち続つづけるためには、変化へんかを受け入うけいれていくことが非常ひじょうに重要じゅうようだ」と話はなしました。

20年ねん以上いじょう前まえから過去かこ3回かいにわたり是正ぜせい求もとめる勧告かんこく

国連こくれんの女性じょせい差別さべつ撤廃てっぱい委員いいん会かいではこれまで、夫婦ふうふ同姓どうせいを義務ぎむづける日本にっぽんの民法みんぽうについて、20年ねん以上いじょう前まえから過去かこ3回かいにわたり是正ぜせいを求もとめる勧告かんこくを出だしてきました。

法務省ほうむしょうによりますと、把握はあくするかぎり、結婚けっこん後ごに夫婦ふうふいずれかの姓せいを選択せんたくしなければならない制度せいどを採用さいようしている国くには、日本にっぽんだけだということです。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの去年きょねんの調査ちょうさでは、夫おっとの名字みょうじを選択せんたくした夫婦ふうふの割合わりあいは94.5％となっていて、9割わりを超こえる状態じょうたいが続つづいています。

委員いいん会かいではこうした状況じょうきょうをふまえ、2003年ねんと2009年ねんに行おこなわれた審査しんさで、差別さべつ的てきな法律ほうりつだと指摘してきしてきました。

さらに、直近ちょっきんの2016年ねんには「勧告かんこくへの対応たいおうがなく遺憾いかんだ」として、早期そうきに対応たいおうを図はかるよう重かさねて指摘してきしています。

国内こくないの世論せろんの状況じょうきょうは

今月こんげつ17日にち、国連こくれんの女性じょせい差別さべつ撤廃てっぱい委員いいん会かいの審査しんさで日本にっぽん政府せいふの代表だいひょう団だんは、「夫婦ふうふが別べつの姓せいを名乗なのることを認みとめるかどうかは国民こくみんの意見いけんが分わかれている。日本にっぽん社会しゃかいの家族かぞくのあり方ありかたに関かかわる重要じゅうような問題もんだいで国民こくみんの理解りかいが必要ひつようだ」と述のべました。

夫婦ふうふが希望きぼうすれば結婚けっこん前まえの姓せいを名乗なのりれる「選択せんたく的てき夫婦ふうふ別姓べっせい」の導入どうにゅうをめぐっては、27日にちに行おこなわれた衆議院しゅうぎいん議員ぎいん選挙せんきょでも争点そうてんの1つとして注目ちゅうもくを集あつめました。

制度せいどに反対はんたいする立場たちばの人ひとからは「家族かぞくの一体いったい感かんや絆きずなが弱よわまる」とか、「旧姓きゅうせいを通称つうしょう使用しようできる機会きかいは増ふえている」といった意見いけんがあります。

一方いっぽう、賛成さんせいの立場たちばの人ひとからは「姓せいを変かえることで仕事しごとや生活せいかつで支障ししょうがでる」、「女性じょせいが姓せいを変かえるケースが多おおく不ふ平等びょうどうだ」といった声こえが出でています。

NHKが今月こんげつ18日にちから3日間にちかん、全国ぜんこくの18歳さい以上いじょうを対象たいしょうに行いった世論せろん調査ちょうさでは、「選択せんたく的てき夫婦ふうふ別姓べっせい」の導入どうにゅうについて賛否さんぴを尋たずねたところ「賛成さんせい」が53％、「反対はんたい」が26％、「わからない、無む回答かいとう」が21％となっています。