Báo tiếng Nhật: 黒田前総裁の“2％の招待状” 再注目のワケは？【経済コラム】

日経にっけい平均へいきん株価かぶかが33年ねんぶりの高値たかねを更新こうしんするなど今月こんげつの東京とうきょう株式かぶしき市場しじょうでは株価かぶかの上昇じょうしょうが続つづいています。その背景はいけいにあるのが海外かいがい投資とうし家かの間まで高たかまる日本にっぽん企業きぎょうの改革かいかく、そして日本にっぽん経済けいざい成長せいちょうへの期待きたい。経済けいざいの好こう循環じゅんかんがいよいよ始はじまるのではないかと熱あつい視線しせんが注そそがれています。こうした中なか、再ふたたび注目ちゅうもくされているのが日銀にちぎんの黒田くろだ前ぜん総裁そうさいが9年ねん前まえに行いった「2％への招待しょうたい状じょう」という講演こうえんです。企業きぎょうに対にたいし、変化へんかを先取さきどりして行動こうどうするよう促うながしたこの講演こうえん。今いまに通つうじるものとは。（経済けいざい部ぶ記者きしゃ古市ふるいち啓一けいいち朗ろう）

「2％の招待しょうたい状じょう」に込こめたメッセージとは

2014年ねん12月つき25日にちのクリスマス。当時とうじの日銀にちぎん・黒田くろだ総裁そうさいは経団連けいだんれんで企業きぎょう関係かんけい者しゃに対にたいし、「2％への招待しょうたい状じょう」と題だいした講演こうえんを行おこないました。

黒田くろだ総裁そうさいは当時とうじの経済けいざい情勢じょうせいについて、企業きぎょう収益しゅうえきが大幅おおはばに改善かいぜんし、企業きぎょうの設備せつび投資とうしや雇用こようスタンスは積極せっきょく化かしていると説明せつめい。「日本にっぽん経済けいざいがよい方向ほうこうに向むかっていることに疑問ぎもんの余地よちはありません」と述のべました。

黒田くろだ総裁そうさいのもとで日銀にちぎん「異い次元じげん」と称しょうした大だい規模きぼ緩和かんわを始はじめてから1年ねん8か月かげつ、当時とうじ日銀にちぎんは、2％の物価ぶっか安定あんてい目標もくひょうが実現じつげんできるかどうかの岐路きろに立たたされていました。

この年としの春闘しゅんとうでは10数すう年ねんぶりにベースアップが復活ふっかつし、企業きぎょうがデフレのもとで続つづけていた低てい価格かかく戦略せんりゃくを転換てんかんする動うごきも見みられました。

しかし、一時いちじ、1.5％まで上昇じょうしょうした消費しょうひ者しゃ物価ぶっかの伸のび率りつは、消費しょうひ税率ぜいりつ引き上ひきあげの影響えいきょうや原油げんゆ価格かかくの下落げらくによってプラス幅はばを縮小しゅくしょう。さらに落ち込おちこむ事態じたいを防ふせごうと、この講演こうえんの2か月かげつ前まえに日銀にちぎんはバズーカ2と呼よばれた追加ついか緩和かんわに踏み切ふみきりました。

黒田くろだ総裁そうさいは「2％の招待しょうたい状じょう」という講演こうえんにどのようなメッセージを込こめたのか。

それは、日本にっぽん経済けいざいがデフレから大おおきく転換てんかんしようとするこのタイミングにこそ、企業きぎょうは2％の物価ぶっか上昇じょうしょうを前提ぜんていに意思いし決定けっていし、行動こうどうすべきだという考え方かんがえかたです。

黒田くろだ総裁そうさい（当時とうじ）

「高たかい収益しゅうえきをあげている企業きぎょうが積極せっきょく的てきに『収益しゅうえきを使つかっていく』ことが求もとめられています。2％の物価ぶっか安定あんていの目標もくひょうが実現じつげんすると考かんがえる人々ひとびとにとっては、現在げんざいの実質じっしつ金利きんりは極きわめて低ひくく、実物じつぶつ投資とうしの採算さいさんは良よいはずです。逆ぎゃくにデフレ脱却だっきゃくを信しんじない人ひとにとっては、引き続ひきつづき実質じっしつ金利きんりは高たかく、積極せっきょく的てきな行動こうどうは抑制よくせいされます。デフレを脱却だっきゃくしたあとは、こうした人々ひとびとも参入さんにゅうしてきますので、例たとえば人手ひとでの確保かくほの競争きょうそうは激はげしくなるでしょう。要ようするに今いまの過渡かと期き的てきな状況じょうきょうを利用りようするかどうかは、早はやい者しゃ勝がちの面めんがあるということです」

生き残いきのこる企業きぎょう、競争きょうそうの勝者しょうしゃの条件じょうけんとは

黒田くろだ総裁そうさいはさらにダーウィンの進化しんか論ろんを引き合ひきあいに出だして、企業きぎょう関係かんけい者しゃに対にたいし、変化へんかを意識いしきして行動こうどうするよう促うながします。

黒田くろだ総裁そうさい（当時とうじ）

「進化しんか論ろんを唱となえたダーウィンは『生き残いきのこるのは、強つよい生き物いきものではなく、変化へんかに対応たいおうできる生き物いきものだ』と言いったと伝つたえられています。いち早いちはやく環境かんきょう変化へんかを先取さきどりし、『拡大かくだい均衡きんこう』の経済けいざいに対応たいおうできた企業きぎょうこそが『競争きょうそうの勝者しょうしゃ』となり、新あたらしい時代じだいにおける繁栄はんえいを享受きょうじゅできることになるのだと思おもいます」

日銀にちぎん関係かんけい者しゃの間までもこの講演こうえんの内容ないようが注目ちゅうもくされています。それはいま再ふたたび、企業きぎょうの改革かいかくに向むけた具体ぐたい的てきな行動こうどうに注目ちゅうもくが集あつまっているからです。

9年ねん前まえの講演こうえんで黒田くろだ総裁そうさいが企業きぎょう関係かんけい者しゃに賃上ちんあげの継続けいぞくを強つよく求もとめるということはありませんでしたが、講演こうえんで発はっした「積極せっきょく的てきに収益しゅうえきを使つかっていくことが求もとめられる」「人手ひとでの確保かくほなどは早はやい者しゃ勝がち」ということばは、今いま、この局面きょくめんにも通つうじるメッセージではないかと複数ふくすうの日銀にちぎん関係かんけい者しゃが話はなしていました。

日銀にちぎん金融きんゆう政策せいさく決定けってい会合かいごう（4月つき28日にち）

日銀にちぎんは、ことし4月つき27日にちと28日にちに実施じっしした金融きんゆう政策せいさく決定けってい会合かいごうで、金融きんゆう政策せいさくの先行さきゆきの指針ししんとなるフォワードガイダンスを「賃金ちんぎんの上昇じょうしょうを伴ともなう形かたちで」2％の物価ぶっか安定あんていの目標もくひょうを持続じぞく的てき・安定あんてい的てきに実現じつげんすることを目指めざすという表現ひょうげんに改あらため、「賃金ちんぎんの上昇じょうしょうを伴ともなう形かたちで」ということばを明記めいきしました。

物価ぶっか目標もくひょうの実現じつげんには、企業きぎょうの賃上ちんあげの動うごきが続つづくことが不可欠ふかけつだという認識にんしきを示しめしたものです。

ただ、この会合かいごうでは複数ふくすうの委員いいんが「賃上ちんあげの持続じぞく性せいについての評価ひょうかはまだ難むずかしい」と発言はつげん。

植田うえだ総裁そうさいも会見かいけんで、「賃上ちんあげの動うごきがどの程度ていど維持いじするかについては非常ひじょうに不ふ確実かくじつ性せいが高たかく、長期ちょうき的てきに続つづく動うごきなのかどうか認識にんしきを深ふかめたい」と述のべています。

賃上ちんあげを伴ともなう物価ぶっかの安定あんてい的てきな上昇じょうしょうによって、経済けいざいの好こう循環じゅんかんを生み出うみだすという日銀にちぎんのシナリオ。

日銀にちぎんはその実現じつげんについてどこまで確信かくしんをもっているのか。

ある日銀にちぎんの幹部かんぶは、「好こう循環じゅんかんが生み出うみだされるという確信かくしんは強つよくなってきているが、シナリオはまだガラスのようだ。ガラスが壊こわれないように見みきわめている」と述のべました。

また日銀にちぎんの元もと幹部かんぶは、慎重しんちょうに物価ぶっかや賃金ちんぎんの動うごきを見極みきわめる日銀にちぎんの今いまの状況じょうきょうを「ほふく前進ぜんしんのように進すすんでいるようだ」と話はなしていました。

9年ねん前まえの「招待しょうたい状じょう」実現じつげんするか

マーケットもそして日銀にちぎんも今こん注目ちゅうもくするのは企業きぎょうの具体ぐたい的てきな行動こうどうです。

市場しじょうでの評価ひょうかが低ひくい企業きぎょうに対にたいして東証とうしょうが改善かいぜんを促うながしたことに加くわえ、株主かぶぬしからの要求ようきゅうもあって、日本にっぽん企業きぎょうの間までは資本しほんをより有効ゆうこうに活用かつようしようという機運きうんが高たかまっています。

環境かんきょうの変化へんかに対応たいおうするための設備せつび投資とうしや株主かぶぬしへの還元かんげん策さくの強化きょうかに加くわえて、最近さいきんではいわゆる「人ひとへの投資とうし」を重視じゅうしし、賃金ちんぎんアップや人材じんざい育成いくせいの強化きょうかをはかる企業きぎょうが増ふえています。

これが日本にっぽん経済けいざいの好こう循環じゅんかんを生み出うみだすダイナミックな変化へんかに発展はってんするのか、あるいは一過いっか性せいの動うごきにとどまるのか。

黒田くろだ前ぜん総裁そうさいが「招待しょうたい状じょう」で発はっしたメッセージが9年ねん越ごしに実現じつげんするのかどうか、日本にっぽん経済けいざいはその分水嶺ぶんすいれいに立たっています。

注目ちゅうもく予定よてい

全国ぜんこくの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうの先行せんこう指標しひょうとして注目ちゅうもくされる東京とうきょう都区とく部ぶの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすう（6月つき）が公表こうひょうされます。物価ぶっかが上うえ振ふれしているという見方みかたが広ひろがる中なか、先月せんげつの3.2％の上昇じょうしょうからどの程度ていど変動へんどうがあるのかが焦点しょうてんです。

また、同おなじ30日にちにはロンドンの金融きんゆう街がい・シティで日本にっぽん取引とりひき所しょグループの山道さんどう社長しゃちょうが投資とうし家かを前まえに講演こうえんします。株価かぶかの上昇じょうしょうが続つづく中なか、海外かいがいの投資とうし家かに対にたいして日本にっぽん株かぶの魅力みりょくをどうアピールするのか注目ちゅうもくされます。