福島第一原発では、事故で溶け落ちた核燃料デブリを冷却している水や原子炉建屋へ流れ込む雨水や地下水などが高い濃度で放射性物質を含む汚染水となり、ここから放射性物質の大半を取り除いたあとに残るトリチウムなどを含む処理水が増え続けています。
敷地内の1000基余りのタンクで保管していますが、その量は、今月15日時点で容量の98%にあたるおよそ134万トンに達しています。
政府はおととし、東京電力が翌年の夏ごろにはタンクが満杯になる見通しを示していたことを踏まえ、基準を大きく下回る濃度に薄めて海に放出する方針を決定しました。その後、汚染水の発生量を抑える対策が進んだことや、降水量が見込みを下回ったことなどから、現在は、タンクが満杯になる時期は、来年2月から6月ごろと見直されています。
また、福島第一原発では、森林などを伐採すれば活用できるスペースがあり、東京電力は、処理水を保管するタンクをさらに増やすことは不可能ではないとしています。
ただ、こうしたスペースについては、今後、取り出しを予定している核燃料デブリや廃炉作業で出る放射性廃棄物を保管するエリアとして活用する方針を示しています。
このため政府は、限られた敷地で廃炉作業を進めていくためにも、タンクを増やし続けるわけにはいかず、処理水の処分を先送りすることはできないと説明しています。