また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は6.13人で前の週の1.09倍となりました(※前週:5.6)。
前の週から増加が続くのは12週連続となります。
都道府県別では多い順に
▽沖縄県が39.48人
▽鹿児島県が11.71人
▽熊本県が8.75人
▽愛知県が8.03人
▽千葉県が7.77人などとなっていて、39の都府県で前の週より増加しています。
このほか、今月25日までの1週間に新たに入院した人は全国で4567人で、前の週と比べて29人の増加となりました。
厚生労働省は全国の流行状況について「全国ではゆるやかな増加傾向が続いているほか、5類移行の前後で単純に比較はできないものの、沖縄県ではことし1月の第8波のピークを超える水準になっている。去年は夏に全国的に感染が拡大したので引き続き注視したい」としています。
6月に入り10歳未満や10代の間で新型コロナの感染が急速に広がっているほか、かぜに似た症状を引き起こすRSウイルス感染症や、ヒトメタニューモウイルス感染症も流行しています。 このため小児専門の病院では対応に追われていて、このうち沖縄本島南部の南風原町にある「県立南部医療センター・こども医療センター」では子ども向けの集中治療室=PICUが8床ありますが、6月29日時点で満床となっています。 病院に務める小児感染症内科の張慶哲 医師によりますと、6月25日には190人近くの患者が救急外来を利用し、このうちおよそ7割が子どもでその多くが発熱の症状を訴え、5人程度が入院したということです。 張医師は「子どものウイルス性感染症は時期に応じて主要な流行が決まっていて同時に流行することは珍しいがこの1か月ほどは新型コロナとともにRSウイルス感染症などが流行している。3年間行われてきた感染対策が解除され、感染症が広がりやすくなっていることが原因の1つだと思う」と指摘しました。 そのうえで、張医師は新型コロナとRSウイルス感染症に同時に感染したケースも出ていることを明らかにし「新型コロナは全く収束の気配を見せずRSウイルス感染症の勢いも収まっておらず、まだ感染状況は折り返しがみえていない」と話していました。
また、医療の現状については「5類への移行に伴って軽症患者の診療体制は拡充されたが、行政による入院調整機能が無くなったことで、規模の大きな救急病院に患者が集中する傾向が強まり、一部の医療機関がひっ迫してしまっている状況だ。また、入院した高齢患者の症状が落ち着いても、転院先がなかなか見つからないため、新たな急性期の患者の受け入れが難しくなってしまっている」と指摘していました。 そのうえで「院内感染で使用できる病床が減ってしまうことや、コロナ以外の感染症で子どもが重症化する例が増えていることも大きな課題となっている。今後、さらに感染が拡大した際やインフルエンザの流行期と重なるとさらに厳しい状況になることも予想され、高齢者や子どもの重症患者など個別の入院調整のあり方を議論しておく必要があるのではないか」と訴えていました。
ただ、新型コロナの5類移行後、検査の費用は自己負担となっていて、検査を希望しない患者もいるということで、実際にはさらに多くの患者が感染している懸念もあるということです。
また、ヘルパンギーナや手足口病などほかの感染症が確認されるケースも増えていることから、のどの痛みを鎮める薬や解熱剤などが入手しにくい状況になっているということで、新型コロナの感染がさらに拡大した場合の影響を懸念しています。 宮田理事長は「患者さんが処方箋を持って薬局を回るような状況も発生している。周囲に感染を広げないためにも、まずはしっかりと検査を受けてほしい」と呼びかけています。
新型コロナ対策にあたる政府分科会の尾身茂会長は、6月26日「全国的には感染者数が微増傾向で、第9波が始まっている可能性がある」と述べました。 小池知事は6月30日の定例会見で、都内の感染者数は前の週に比べてほぼ横ばいであることなどから、医療提供体制への大きな負荷にはなっていないという認識を示しました。 そして「コロナの教訓は、急に増える時は一気に増えることであり、もしそのような状況に陥った時でも、機動的に対応するための体制は確保している」と述べたうえで、手洗いなどの基本的な感染防止対策を行うよう呼びかけました。
その上で「沖縄県ではコロナ病床がほぼ埋まったと報告されているが、東京をはじめ、全国では病床がひっ迫しているという状況はまだ聞かれていない。ただ、RSウイルスやヘルパンギーナなど子どもの感染症が全国的に広がり、私が所属する大学病院も含め小児病棟に入院する子どもの患者が増えていて、これがコロナの拡大と重なれば病床がひっ迫することも考えられる。コロナが5類となり、専用病床を確保する医療機関が少なくなる中で、感染レベルが最悪の水準になるリスクに備え、自治体や保健所など行政が入院調整を支援する取り組みを進めることが重要だ」と話しています。 また、感染拡大への備えとして「現在、主流となっているXBB系統に対応するワクチンが、この秋以降に接種できる見込みだが、従来のワクチンでも十分な効果が期待できるので、高齢者や基礎疾患がある人で、ワクチンを最後に接種してから4か月から半年が経過している人は、早めの追加接種を検討して欲しい。また、重症化するリスクの低い人も、かぜを引いたと思ったらコロナへの感染を疑い、外出や会食を控えるなど、慎重な行動を取ることが大事だ」と話しています。
また、沖縄県の状況ついて「入院者の増加や院内クラスターの発生により医療に一定の負荷がかかっている。沖縄県では県民への基本的な感染対策などの呼びかけに加え、医療提供体制の確保に向けた取り組みを進めており、引き続き県と密接に連携をとりつつ適切に対応していく」と述べました。
そして、岸田総理大臣は、去年、夏の間に全国で感染が拡大したことも踏まえ、沖縄県と連携しながら感染状況を注視し、必要な対策を取るよう、加藤大臣らに指示しました。
▼鹿児島県は11.71人 ▼熊本県は8.75人 ▼愛知県は8.03人 ▼千葉県は7.77人 ▼岐阜県は7.45人 ▼宮崎県は7.22人 ▼埼玉県は7.18人 ▼佐賀県は7.0人 ▼山梨県は6.61人 ▼茨城県は6.48人 ▼三重県は6.32人 ▼東京都は6.22人 ▼神奈川県は6.07人 ▼石川県は5.85人 ▼静岡県は5.81人 ▼福岡県は5.76人 ▼岩手県は5.59人 ▼奈良県は5.58人 ▼長崎県は5.29人 ▼北海道は5.23人 ▼和歌山県は5.18人 ▼大阪府は5.16人 ▼福島県は5.1人 ▼高知県は5.09人 ▼京都府は4.92人 ▼兵庫県は4.82人 ▼鳥取県は4.76人 ▼長野県は4.75人 ▼広島県は4.71人 ▼宮城県は4.67人 ▼徳島県は4.57人 ▼山口県は4.55人 ▼香川県は4.47人 ▼滋賀県は4.3人 ▼青森県は4.22人 ▼大分県は4.14人 ▼新潟県は4.14人 ▼愛媛県は4.13人 ▼富山県は4.02人 ▼栃木県は3.96人 ▼群馬県は3.85人 ▼山形県は3.72人 ▼福井県は3.72人 ▼岡山県は3.68人 ▼島根県は3.42人 ▼秋田県は3.1人
コロナ急拡大の沖縄 別の感染症も流行で小児専門病院ひっ迫
沖縄の医師「5類への移行で大規模な救急病院に患者集中」
都内クリニック「コロナ検査を希望しない患者も」
小池都知事「感染者急増でも対応する体制は確保」
政府分科会 舘田教授「第9波となる可能性」
松野官房長官「先手先手で必要な対応行う」
岸田首相 必要な対策取るよう指示
1医療機関当たりの平均患者数(都道府県別)