研究を行ったのは、東京医科歯科大学の武部貴則教授らのグループです。
グループは、魚のドジョウは酸素が少ない環境では、えら呼吸だけでなく腸でも呼吸できることに注目し、哺乳類でも腸から酸素が吸収できるか調べました。
実験では酸素が少ない環境で重篤な呼吸不全になったマウスやブタなどに、高濃度の酸素を溶け込ませた特殊な液体をお尻から腸に送り込んで反応を調べました。
その結果、マウスでもブタでも血液中の酸素の量が大幅に増えることが確認され、このうちブタでは1回400ミリリットルの液体で、20分間、呼吸不全の症状が改善したということです。
グループによりますと、酸素を液体に溶け込ませたことで、腸の粘膜から吸収できた可能性があるということです。

東京医科歯科大学の武部貴則教授は「新型コロナウイルスでは、人工呼吸器などが足りずに命を落とす人がいる。この方法が人にも応用できるように研究を進め、肺に負担をかけずに患者の呼吸を補助する腸呼吸の治療法の開発につなげたい」と話しています。
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