新潟にいがた 小２しょうに女児じょじ殺害さつがい事件じけん 被告ひこくに無期むき懲役ちょうえき判決はんけつ 新潟にいがた地裁ちさい

新潟にいがた市し西にし区くの小林こばやし遼りょう被告ひこく（25）は、去年きょねん５月ごがつ、小学しょうがく２に年生ねんせいの女の子おんなのこ（当時とうじ７なな）を車くるまではねて連れ去つれさりわいせつな行為こういをしたうえ、首くびを絞しめて殺害さつがいし、線路せんろに遺体いたいを遺棄いきしたとして殺人さつじんなどの罪つみに問とわれました。

裁判さいばんでは被告ひこくに殺意さついがあったかなどが争点そうてんとなり、検察けんさつが「被告ひこくは捜査そうさ段階だんかいで５ご分ふん以上いじょう首くびを絞しめたことを認みとめている。まれにみる非道ひどうな犯行はんこうで結果けっかは重大じゅうだいであり生命せいめい軽視けいしの度合どあいは甚はなはだしい」として、死刑しけいを求刑きゅうけいしたのに対にたいし、弁護べんご側がわは「女の子おんなのこを気絶きぜつさせる目的もくてきで殺害さつがいは意図いとしておらず、犯行はんこうはずさんで計画けいかく性せいはなかった」などと述のべ、殺人さつじん罪ざいではなく傷害しょうがい致死ちし罪ざいに当あたるとして、重おもくても懲役ちょうえき10年ねんの刑けいが妥当だとうだと主張しゅちょうしていました。

４よん日にちの判決はんけつで新潟にいがた地方ちほう裁判所さいばんしょの山崎やまざき威たけし裁判さいばん長ちょうは「女の子おんなのこを気絶きぜつさせる目的もくてきだったとしても首くびを絞しめる行為こういは人ひとが死しぬ危険きけん性せいが高たかいと認識にんしきしていた」と指摘してきし、被告ひこくに殺意さついはあったと認定にんていしました。

そのうえで「抵抗ていこうできない弱者じゃくしゃを狙ねらった無む差別さべつ的てきな事件じけんで結果けっかは重大じゅうだいだが殺害さつがいの計画けいかく性せいは認みとめられない。同様どうようの事件じけんと比くらべて際立きわだって残虐ざんぎゃくとは言いえず死刑しけいを選択せんたくするのにやむをえないとは言いえない」として、無期むき懲役ちょうえきを言い渡いいわたしました。

小林こばやし被告ひこくはこれまでの裁判さいばんと同様どうように黒くろのスーツに青あおいネクタイ姿すがたで法廷ほうていに入はいり、判決はんけつを言い渡いいわたされたときは裁判さいばん長ちょうのほうを見みたまま表情ひょうじょうを変かえることなく、淡々たんたんとした様子ようすで判決はんけつの言い渡いいわたしを聞きいていました。

傍聴ぼうちょう席せきの倍率ばいりつは20倍ばい余よ

裁判所さいばんしょによりますと傍聴ぼうちょう席せき33席せきに対にたいし傍聴ぼうちょうを希望きぼうした人ひとは675人にんに上のぼり、倍率ばいりつは20倍ばい余あまりでした。多数たすうの希望きぼう者しゃが見込みこまれたことから整理せいり券けんの配布はいふは裁判所さいばんしょではなく、近ちかくにある新潟にいがた市し陸上りくじょう競技きょうぎ場じょうで行おこなわれました。

きょうの現場げんばは

女の子おんなのこの遺体いたいが遺棄いきされた新潟にいがた市し西にし区くのＪＲじぇいあ-る越後えちご線せんの線路せんろ沿ぞいでは４よん日にち朝あさ、散歩さんぽする人ひとや小しょう学校がっこうへ登校とうこうする親子おやこ連づれのなどの姿すがたが見みられ日常にちじょうと変かわらない様子ようすでした。

近所きんじょに住すむ男性だんせいは、毎回まいかい亡なくなった女の子おんなのこのことを思おもいながら現場げんば近ちかくを通とおっているということで「不幸ふこうな事件じけんだと思おもうし、こういうことは二度にどとあってはならないと思おもう。被告ひこくには反省はんせいして罪つみを償つぐなってもらいたい。死刑しけいについては難むずかしい問題もんだいだと思おもうし裁判さいばん員いんに選えらばれた人ひとたちも苦労くろうすると思おもう」と話はなしていました。

被害ひがい者しゃ１いち人にん 多おおくが無期むき懲役ちょうえきの判決はんけつ

殺人さつじん事件じけんで被害ひがい者しゃが１いち人にんの場合ばあい、無期むき懲役ちょうえきの判決はんけつが多おおく、10年ねん前まえに裁判さいばん員いん裁判さいばんが始はじまってから幼おさない子こども１いち人にんが殺害さつがいされた事件じけんで死刑しけいが言い渡いいわたされたのは１いち件けんだけで、この判決はんけつも２に審しんで無期むき懲役ちょうえきとなったため、死刑しけいが確定かくていした例れいはありません。

平成へいせい26年ねんに神戸こうべ市しで小学しょうがく１いち年生ねんせいの女の子おんなのこが誘拐ゆうかいされ殺害さつがいされた事件じけんで、裁判さいばん員いん裁判さいばんの１いち審しんは「生命せいめい軽視けいしの姿勢しせいは甚はなはだしく顕著けんちょだ」として被告ひこくに死刑しけいを言い渡いいわたしました。

10年ねん前まえに裁判さいばん員いん裁判さいばんが始はじまってから、幼おさない子こどもが殺害さつがいされ被害ひがい者しゃが１いち人にんの事件じけんで、死刑しけい判決はんけつが出でたのはこの１いち件けんだけで、この事件じけんでは２に審しんで「生命せいめい軽視けいしの姿勢しせいが必かならずしも顕著けんちょとはいえない」として死刑しけいが取り消とりけされて無期むき懲役ちょうえきとなり、その後そのご、最高裁さいこうさいで確定かくていしています。

ほかの判決はんけつでは、平成へいせい27年ねんに福岡ふくおか県けん豊前とよまえ市しで小学しょうがく５ご年生ねんせいの女の子おんなのこが殺害さつがいされた事件じけんは、１いち審しんで「計画けいかく性せいがない」などとして無期むき懲役ちょうえきとされ、その後そのご、確定かくていしています。

また、平成へいせい29年ねんに千葉ちば県けん松戸まつど市しのベトナム国籍こくせきの小学しょうがく３さん年生ねんせいの女の子おんなのこが殺害さつがいされた事件じけんも、１いち審しんは無期むき懲役ちょうえきで２に審しんで審理しんりされています。

裁判さいばん員いん裁判さいばんが始はじまる前まえでは、平成へいせい16年ねんに奈良なら市しで小学しょうがく１いち年生ねんせいの女の子おんなのこが連れ去つれさられて殺害さつがいされた事件じけんで、１いち審しんの死刑しけい判決はんけつのあとに被告ひこくが控訴こうそを取り下とりさげて確定かくていした例れいがあります。

死刑しけいの判断はんだんをめぐっては、最高さいこう裁判所さいばんしょが昭和しょうわ58年ねんの判決はんけつで示しめしたいわゆる「永山ながやま基準きじゅん」にそって検討けんとうされます。

殺害さつがいされた被害ひがい者しゃの人数にんずうや犯行はんこうの悪質あくしつさ、動機どうき、計画けいかく性せい、立ち直たちなおりの可能かのう性せいなどを考慮こうりょしたうえで、やむをえない場合ばあいに死刑しけいの選択せんたくが許ゆるされるとされています。

また、最高裁さいこうさいは平成へいせい27年ねんに、裁判さいばん員いん裁判さいばんでも死刑しけいを選択せんたくするには過去かこの裁判さいばん例れいを踏ふまえて判断はんだんしなければならないとする決定けっていを出だしています。