一方、輸出額は、自動車や半導体などの電子部品が伸びて、99兆2265億円とこちらも過去最大に。
しかし、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、21兆7285億円と過去最大の赤字となりました。
赤字額は2021年度の3.9倍、過去最大だった2013年度の赤字額と比べても7兆9000億円余り多くなっています。
何が課題なのか? 第一生命経済研究所の副主任エコノミスト、大柴千智さんに聞きました。
東京 墨田区に本社があるアパレルメーカーも仕入れ価格の上昇に頭を悩ませています。
売り上げの9割は大手ブランドを手がける企業からの受注が占めていますが、生地は自前で調達しなければなりません。 主に使っている生地の仕入れ価格は、この1年で2割ほど上昇したということです。
新型コロナの感染拡大で落ち込んでいた受注はこのところ回復しているものの、コストの増加分すべてを価格に転嫁することは難しく、会社の利益率はコロナ禍前と比べて1割ほど下がったということです。
和紙をより合わせた糸を使った繊維100%のTシャツなどを自前のブランドで製造・販売する事業に力を入れています。 湿度を調整する機能にすぐれているとして、安いものでも1万円近くしますが、環境意識の高まりもあって注文が増えているということです。 請け負いの製品に比べて利益率が高く、会社は、この事業を新たな収益の柱にすることを目指しています。
2022年度の「光熱費」は前の年度と比べておよそ1.3倍になり、このうち「電気代」は700万円から900万円にふくらんだということです。 こうした中、会社では、お茶の国内市場が縮小傾向にあるとして海外への販路拡大に活路を見いだそうと、ヨーロッパなどへの売り込みを図っています。
フランスの飲料メーカーの担当者は「日本茶は最近、フランスで人気があり、特に抹茶がSNSで話題になっています。数年後にはさらに人気が出ると思います」と話していました。 「丸善製茶」の古橋克俊社長は「光熱費の負担増は利益を圧迫していて厳しい状況だ。海外ではお茶の市場が年々拡大しているので、ヨーロッパや中東の市場に積極的に挑戦したい」と話していました。
昨年度の貿易収支 21兆7285億円の赤字 1979年度以降で最大
【専門家の分析】日本の貿易赤字の理由 この先は?
Q.貿易赤字がここまで拡大したのはなぜ?
Q.日本経済が交易条件の悪化に弱いことが浮き彫りに?
Q.貿易赤字はこの先も続く?
Q.企業には何が求められる?
Q.日本経済は貿易赤字に陥りやすい構造 どう対応?
原材料費高騰 自社ブランドで打開へ
光熱費に苦しむ製茶企業 海外販路拡大に活路