この中でバイデン大統領は「個人の自由はアメリカ人の根幹をなすものだ。極端な考え方を持つトランプ氏の支持者は、国の礎とも言える自由を奪おうとしている」と述べ、トランプ氏の考え方を批判し、対抗しなければならないと訴えました。
具体的には民主主義や社会保障、人工妊娠中絶、それに性的マイノリティーなどのテーマを挙げたうえで「これは民主党か共和党かという問題ではない。誰もが平等であり、公正な機会を与えられるべきだ」と述べました。
そして「4年前、大統領選挙に立候補した際に私はアメリカの魂をめぐる戦いの中にいると言ったが、今もその戦いの中にある」と述べ「仕事をやり遂げよう」と訴えました。
ビデオ声明では、民主主義が脅威にさらされたともされるトランプ氏の支持者らが連邦議会に乱入した事件や、連邦最高裁判所が中絶は憲法で認められた権利だとした判断を覆した際の市民の抗議活動などの映像を使って、アメリカの価値観を守らなければならないと訴えています。
そして「すべての世代が民主主義を守らなければならない局面に直面してきた。今こそが私たちにとってのその時だ」と述べ、支持を呼びかけました。
バイデン大統領は去年秋の中間選挙でも、政権の成果をアピールするだけでなく、トランプ氏との対立軸を打ち出すことで国民の支持を得て、大方の予想を上回る議席の獲得につなげています。
ビデオ声明では中間選挙で実証されたいわば「勝利の方程式」を、来年の大統領選挙でも再現しようとするねらいも透けて見えます。
この中でトランプ氏はバイデン大統領について、この50年で最悪のインフレをもたらしたと述べたほか、国際社会の場ではウクライナへのロシアの侵攻を許し、第3次世界大戦を引き起こす寸前となっているなどと訴え「大統領としての任務が破滅的で失敗している中、再選に向けて立候補を考えることすらありえないことだ」と批判しました。 そのうえで「あなたたちの支援を受けて2024年にジョー・バイデンを打ち負かす。ともにアメリカを再び偉大な国にしよう」と述べて支持を呼びかけました。
首都ワシントンにあるアメリカン大学の歴史学者、アラン・リクトマン教授は25日、NHKのインタビューに応じました。 リクトマン氏は、選挙の勝敗を左右する「13の指標」を設定する独自の分析方法で、1984年以降、ほとんどの大統領選挙の結果を正しく予測してきたことで知られています。 リクトマン氏は、バイデン氏が80歳と、現職大統領として最高齢であることについて「大きなスキャンダルもなく、トランプ政権からの大幅な政策転換も成し遂げた。高齢であることが問題になるとすれば、身体的、精神的に様子が明らかにおかしいとなった時だけだ」と述べ、現状では問題にならないという見方を示しました。 また、来年秋の大統領選挙をどう予測するかを尋ねると「まだ多くの指標が固まっていないため、予測するには早すぎる」としながらも、「バイデン氏はすでに、『現職大統領である』という指標と『党内で激しい争いがない』という指標の2つを獲得した。民主党に勝利をもたらす可能性が突出して高いのがバイデン氏だ」と指摘しました。 一方の野党・共和党側の候補者選びについてリクトマン氏は「1にも2にも3にもトランプ氏だ。彼は共和党の候補者選びで独走している」とし、党内で支持率が2番目に高いフロリダ州のデサンティス知事については「彼のスター性はやや色あせつつある」と述べ、トランプ氏が党の指名を獲得する可能性が高いという見方を示しました。
トランプ前大統領「破滅的で失敗している」と批判
バイデン大統領 “年齢は問題なし” 歴史学者