品目別では、和牛を中心とする「牛肉」が29%、贈答用として需要がある「りんご」が27%それぞれ前の年より増加しています。
このほか、「日本酒」や「いちご」それに「卵」なども高い伸びを示しています。
一方、輸出先の国や地域別では、「香港」が2115億円と最も多く、次いで「中国」が1338億円、「アメリカ」が1177億円でいずれも前の年より増加しました。
農林水産省は、背景に世界各地に日本食のレストランが増えているほか、訪日外国人観光客の増加で日本食に触れる機会が多くなるなど、世界的に日本食の普及が進んでいることがあると見ています。
政府は、農林水産物や食品の年間の輸出額をことし1兆円に増やす目標を掲げており、TPP=環太平洋パートナーシップ協定やEU=ヨーロッパ連合とのEPA=経済連携協定の発効も追い風に、目標の達成を目指すことにしています。
卵の輸出49%増
輸出額が増えた農林水産物の中には、ニワトリの「卵」もあります。
農林水産省によりますと、去年1年間の卵の輸出額は前の年より49%増えて15億円余りに上りました。輸出先はほとんどは香港だということです。
農林水産省では、輸出が増えた要因として、香港で親子丼やラーメンの煮卵など、半熟が多い日本食での卵の食べ方が広がったことがあるとみています。
卵は世界的に生産されていますが、業界団体によりますと、生や半熟で卵を食べられるようにするには厳しい衛生管理が必要で、こうした管理を行っている国は日本以外にほとんどないということです。
日本産の卵は、去年10月にアメリカや台湾向けの輸出が可能になったほか、早ければ今月中にEU=ヨーロッパ連合への輸出も解禁されることから、輸出増加への期待が高まっています。
日本の卵 香港でなぜ人気?
日本の卵をもっとも多く輸入している香港では、街の普通のスーパーや商店にも日本産が出回り人気が高まっています。
多くの食品を輸入に頼る香港では世界各国の食品がスーパーに並びます。
香港中心部の繁華街にあるスーパーを取材すると卵のコーナーには、マレーシアやタイ、それにアメリカ産とともに日本の卵が並んでいました。
日本の卵は1パック、350円から480円程度で売られています。
ほかの国の卵と比べるとすこし高い程度で、香港の人たちはそれほど割高とは感じていないということです。
また住宅街近くの商店街にある日本の野菜や果物を扱う店は、5年前から、北海道産の卵を1パック450円ほどで販売しています。
日本産は人気が高いため、来月からは新たに福岡県産の卵も仕入れて販売する予定だということです。
いつも日本産の卵を買うという買い物客は「ゆで卵にして食べます。日本の卵は清潔な感じがするし、他の国の卵より黄身が濃い味がしておいしいです。値段もほかと比べて少し高いだけなのでいいと思います」と話していました。
店を経営する陳錦輝さんは「最近はほかの大規模スーパーなどでも日本産の卵が売られて種類も増えています。宣伝も盛んに行われるようになっているので、ますます日本産を選ぶ客が増えています。他の国のものに比べて安全で衛生状態もよいと客の反応もよく、よく売れていますよ」と話していました。
農相 目標の輸出額1兆円 ことし実現させる
これについて吉川農林水産大臣は閣議のあと記者団に対し「6年連続で過去最高を更新し、特に牛肉やりんご、さばなどで輸出が大きく伸びた」と評価しました。
そのうえで「TPPや日・EUのEPA発効で関税が下がることを生かし、生産者と輸出業者を結ぶ支援や海外向けのプロモーションの促進などに気を緩めることなく取り組んでいきたい」と述べ、目標に掲げる1兆円の輸出額をことし実現させる考えを強調しました。