「アマゾン」の荷物にもつ配送はいそう フリーランスのドライバーら労組ろうそ結成けっせい

フリーランスになれば、働はたらく日ひや時間じかんを自分じぶんで選えらぶことができ、2人にんの子こどもと過すごす時間じかんを確保かくほできると考かんがえ、正せい社員しゃいんの時ときよりも収入しゅうにゅうは減少げんしょうしてもかまわないと考かんがえたと話はなします。

男性だんせいによりますと、働はたらき始はじめたおととし1月つきごろは、報酬ほうしゅうは荷物にもつ1個こ当あたり170円えんで、一いち日にちに配くばる荷物にもつは70個こほどで午後ごご8時じ頃ごろには帰宅きたくできていたといいます。

しかし、半年はんとしほどたったころ、契約けいやくを結むすぶ下請したうけ会社かいしゃから報酬ほうしゅうを荷物にもつ1個こ当あたりから1日にち1万まん8000円えんの契約けいやくに変更へんこうしてほしいと相談そうだんがあり、応おうじたといいます。

その後そのご、荷物にもつの数かずは増ふえ続つづけ、現在げんざいは一いち日にちに200個こ近ちかい荷物にもつを配くばらなくてはいけないため連日れんじつ、13時間じかん勤務きんむの状況じょうきょうが続つづいているといいます。

荷物にもつをどれだけ運はこんでも報酬ほうしゅうは変かわらないため、ガソリン代だいなどの経費けいひを差し引さしひくと、手取てどりの収入しゅうにゅうを1時間じかん当あたりに換算かんさんすると最低さいてい賃金ちんぎんを下回したまわるといいます。

転職てんしょくをしようと思おもいましたが、ほとんど貯蓄ちょちくがないうえ、失業しつぎょう手当てあてを受け取うけとることができないため、簡単かんたんに次つぎの仕事しごとを見みつけることができないと話はなします。

男性だんせいは、「1人にんだけでは待遇たいぐうの改善かいぜんを求もとめることは難むずかしいですが、労働ろうどう組合くみあいを結成けっせいすれば、それもできるかもしれないと考かんがえました。同おなじように苦くるしんでいるフリーランスのドライバーはいると思おもうので、組合くみあいへの参加さんかを呼よびかけたいです」と話はなしていました。

ドライバーから「荷物にもつが多おおすぎて、運転うんてん席せきから車くるまの後方こうほうがみえないことがあり事故じこの危険きけんを感かんじている」、「一いち日にちのうちに配くばらないといけない荷物にもつは、およそ200個こもあり、早はやく配くばり終おえないといけないという思おもいからトイレにすら行いくことができない」などという声こえが出だされました。

38歳さいの男性だんせいは、「拘束こうそく時間じかんも長ながくなり、フリーランスの自由じゆうな働はたらき方かたではありません。疲労ひろうで休やすみの日ひは何なにもできません」と話はなしていました。

労働ろうどう組合くみあいの代表だいひょうをつとめる男性だんせいは、「1人にんで会社かいしゃに話し合はなしあいを求もとめても、聞きいてもらうことはできません。安定あんていして働はたらき続つづけることができる仕事しごとになるようにしたいと思おもいます」と話はなしていました。

このため、労働ろうどう団体だんたいの「連合れんごう」と、労働ろうどう組合くみあいの「全国ぜんこくユニオン」がフリーランスとして働はたらくドライバーを対象たいしょうに、無料むりょうで相談そうだんを受け付うけつける電話でんわ相談そうだんを今月こんげつ26日にちの午前ごぜん10時じから午後ごご8時じまで行おこないます。

電話でんわ番号ばんごうは「050-5808-9835」です。

「フリーランス」は、正せい社員しゃいんやアルバイトなどと違ちがい、企業きぎょうや団体だんたいに所属しょぞくせず自由じゆうに契約けいやくを結むすぶ働はたらき方かたで、内閣ないかく官房かんぼうの調査ちょうさでは、おととしの時点じてんでおよそ462万まん人にんに上のぼるとされています。

企業きぎょうと雇用こよう関係かんけいにはないため、業務ぎょうむの指揮しきや命令めいれいは受うけず、独立どくりつした個人こじんの事業じぎょう主ぬしとみなされます。

労働ろうどう時間じかんの規制きせいや、最低さいてい賃金ちんぎんの適用てきようなどを受うける労働ろうどう基準きじゅん法ほうや最低さいてい賃金ちんぎん法ほうなどの対象たいしょうではありません。

一方いっぽうで、労働ろうどう基準きじゅん法ほうでは雇用こよう契約けいやくを結むすんで働はたらく正せい社員しゃいんやアルバイトなどの「労働ろうどう者しゃ」について、企業きぎょうなどに使用しようされ賃金ちんぎんを支払しはらわれる人ひとと定義ていぎし、業務ぎょうむの指揮しき命令めいれいを受うけるなどの要件ようけんを定さだめています。

これに対にたいして労働ろうどう組合くみあい法ほうでは「労働ろうどう者しゃ」について、「賃金ちんぎんなどに近ちかい収入しゅうにゅうで生活せいかつする者もの」と定さだめられ、労働ろうどう基準きじゅん法ほうよりも「労働ろうどう者しゃ」と認みとめられる範囲はんいは広ひろいと一般いっぱん的てきに解釈かいしゃくされています。

フリーランスとして働はたらく人ひとの業務ぎょうむの専門せんもん性せいが必かならずしも高たかくない場合ばあいは、弱よわい立場たちばになることも少すくなくなく、個人こじんで改善かいぜんを求もとめても難むずかしいとして労働ろうどう組合くみあいを結成けっせいする動うごきが出でています。

専門せんもん家かなどによりますと、フリーランスが労働ろうどう組合くみあいを結成けっせいし、団体だんたい交渉こうしょうを申し込もうしこんでも、「労働ろうどう者しゃではない」などとして企業きぎょうが拒こばんだため、労働ろうどう委員いいん会かいが労働ろうどう組合くみあい法ほう上じょうの労働ろうどう者しゃにあたるかどうかなどの審理しんりを行おこなうケースも出でています。

大手おおて楽器がっきメーカーの子会社こがいしゃが運営うんえいする英語えいご教室きょうしつで、講師こうしとして働はたらく清水しみずひとみさん（57）は、4年ねん前まえに10人にんあまりの講師こうしとともに労働ろうどう組合くみあいを結成けっせいしました。

毎月まいつきの報酬ほうしゅうは担当たんとうする生徒せいとの数かずなどによって決きめられていましたが、授業じゅぎょうのカリキュラムや教材きょうざいは会社かいしゃがすべて決きめていてマニュアル通どおりに教おしえる必要ひつようがあったといいます。

また、研修けんしゅう会かいへの参加さんかも求もとめられましたが報酬ほうしゅうはなかったといいます。

会社かいしゃの指揮しきのもとで働はたらくなど、実態じったいは雇用こよう契約けいやくと同おなじだとして、労働ろうどう組合くみあいは会社かいしゃ側がわに委任いにん契約けいやくから雇用こよう契約けいやくに見直みなおすことなどを求もとめました。

清水しみずさんは、「会社かいしゃときちんと話はなしをして実態じったいをわかってもらい、お互おたがいが納得なっとくしていい方向ほうこうに行いきたいという思おもいが強つよかったです」と話はなしています。

清水しみずさんたちは、子こどもたちに英語えいごを教おしえるという仕事しごとのやりがいを訴うったえ、講師こうしが安心あんしんして働はたらけることは授業じゅぎょう内容ないようの充実じゅうじつにつながると伝つたえました。

労使ろうしで20回かい以上いじょう話し合はなしあいをした結果けっか、会社かいしゃはおととし9月つきに一部いちぶの見直みなおしを決きめました。

講師こうしは、勤務きんむの実態じったいや本人ほんにんの希望きぼうに応おうじてフリーランスか雇用こよう契約けいやくのいずれかを選択せんたくして働はたらき続つづけることができるようになり、清水しみずさんは去年きょねん7月つきから雇用こよう契約けいやくで働はたらくことを選えらびました。

雇用こよう契約けいやくになったことで有給ゆうきゅう休暇きゅうかを取得しゅとくでき、仕事しごとでけがなどをした時ときに労災ろうさいの対象たいしょうになったことなどから一定いっていの安心あんしん感かんを得えられたといいます。

また新あらたに講師こうしとして働はたらく人ひとは全員ぜんいん、雇用こよう契約けいやくを結むすぶことになりました。

「ヤマハ英語えいご講師こうしユニオン」の清水しみずひとみ執行しっこう委員いいん長ちょうは、「個人こじん事業じぎょう主ぬしが労働ろうどう組合くみあいを結成けっせいできると会社かいしゃと話し合はなしあう場ばができると思おもいます。やっぱり働はたらく人ひとがいての会社かいしゃなので、個人こじん事業じぎょう主おもであっても会社かいしゃには働はたらく人ひとの方向ほうこうをきちんと見みて判断はんだんしてほしい」と話はなしていました。

会社かいしゃや労働ろうどう組合くみあいによりますと、現在げんざいは英語えいご講師こうしとして働はたらくおよそ800人にんのうち、80人にんほどが雇用こよう契約けいやくを結むすんでいるといいます。

フリーランスとして働はたらく講師こうしも、研修けんしゅうや会議かいぎへの参加さんかには新あらたに報酬ほうしゅうが支払しはらわれるようになったほか、子こどもたちの発表はっぴょう会かいなどの拘束こうそく時間じかんが長ながくなる場合ばあいには報酬ほうしゅうが上乗うわのせされるなど待遇たいぐうが改善かいぜんされたといいます。

沼田ぬまた教授きょうじゅは、「フリーランスとして働はたらく人ひとの中なかには、特定とくていの企業きぎょうとしか契約けいやくを結むすぶことができず、経済けいざい的てきに依存いぞん状態じょうたいにあるため、仕事しごとの依頼いらいを断ことわったら収入しゅうにゅう自体じたいが途絶とだえてしまうケースがあり、なかなか1人にんでは声こえを上あげられない状況じょうきょうになっている。とくにプラットホームを通をつうじて働はたらいていると同おなじように働はたらく人ひとが互たがいに悩なやみについてコミュニケーションをとることが難むずかしいので労働ろうどう組合くみあいや団体だんたいを作つくるということは自然しぜんな流ながれだと思おもう」と指摘してきします。

そのうえで、「フリーランスについてこれまでは1人にんの経営けいえい者しゃとして契約けいやくを結むすんでいるので低ひくい報酬ほうしゅうや長時間ちょうじかん労働ろうどう、業務ぎょうむの安全あんぜん性せいなどは個人こじんの責任せきにんの問題もんだいとして捉とらえられてきた。しかし、そうではなくて自由じゆうな働はたらき方かたとされるフリーランスが広ひろがる中なかで、その課題かだいや制度せいど上じょうあいまいな部分ぶぶんにどのような保護ほごが必要ひつようなのかも含ふくめて議論ぎろんを喚起かんきするという点てんで、大おおきな意義いぎがあると思おもう」と話はなしています。