Actualités japonaises: 子どもの近視 “深刻に” 初の実態調査対策は？

子こどもの近視きんし “深刻しんこくに” 初はつの実態じったい調査ちょうさ対策たいさくは？

Jun 23, 2022 18:06

Furigana

遠とおくのものが見みえにくくなる近視きんしの進すすみ具合ぐあいを示しめす「目めの奥行おくゆき」の長ながさについて、小中こなか学生がくせいを対象たいしょうに初はじめて調査ちょうさした結果けっかを文部もんぶ科学かがく省しょうが発表はっぴょうしました。

長たければ長ながいほど近視きんしが進すすんでいるとされますが、小学しょうがく6年生ねんせいの平均へいきんの長ながさが成人せいじんの平均へいきんに達たっしていることがわかり、専門せんもん家かは近視きんしの進行しんこうが深刻しんこくになっていると指摘してきしています。

調査ちょうさは、子こどもの視力しりょく低下ていかの実態じったいを把握はあくしようと、文部もんぶ科学かがく省しょうが昨年度さくねんど、各地かくちの小しょう中学生ちゅうがくせいおよそ8600人にんを対象たいしょうに行おこないました。

近視きんしは、多おおくの場合ばあい、眼球がんきゅうの長ながさが延のび、明あかるさや色いろ、形かたちなどを感じ取かんじとる網膜もうまくの手前てまえでピントが合あってしまうことで起おきます。

一般いっぱん的てきには視力しりょく検査けんさの値ねが低下ていかすると近視きんしの疑うたがいがあるとされますが、今回こんかいの調査ちょうさでは初はじめて、正確せいかくに調しらべるために必要ひつような、目めの表面ひょうめんの角膜かくまくから最もっとも奥おくにある網膜もうまくまでの眼球がんきゅうの奥行おくゆき、「眼め軸じく」の長ながさを調しらべました。

「眼め軸じく」の長ながさ小しょう6で成人せいじんと同おなじ程度ていどに

眼め軸じくの長ながさは成人せいじんの平均へいきんで24ミリ前後ぜんごとされていますが、調査ちょうさの結果けっか、

▼小学しょうがく6年生ねんせいの平均へいきんでは

▽男子だんしが24.22ミリ、▽女子じょしが23.75ミリと大人おとなと同おなじ程度ていどに達たっし、

▼中学ちゅうがく3年生ねんせいでは、

▽男子だんしが24.61ミリ、▽女子じょしが24.18ミリとさらに長ながくなっていました。

また、視力しりょく検査けんさでも裸眼らがんの視力しりょくが1.0未満みまんだったのは▽小学しょうがく1年生ねんせいでおよそ2割わりだったのが、▽中学ちゅうがく3年生ねんせいではおよそ6割わりに増加ぞうかし、およそ3割わりは0.3未満みまんになっていました。

調査ちょうさをまとめた東京とうきょう医科いか歯科しか大学だいがくの大野おおの京子きょうこ教授きょうじゅは、「小学校しょうがっこう高だか学年がくねんの時点じてんで大人おとなの平均へいきんに達たっしていて、早はやい年齢ねんれいで近視きんしが進行しんこうしていると見受みうけられる。眼め軸じくの長ながさは体からだの成長せいちょうにあわせてさらに延のびる危険きけん性せいもあると考かんがえられる。コロナ禍かでスマートフォンやタブレット端末たんまつを見みる機会きかいが増ふえていることがどう影響えいきょうしているか、今後こんご、さらに分析ぶんせきしたい」と話はなしています。

医療いりょう現場げんばでは近視きんしの低てい年齢ねんれい化か指摘してきする声こえも

「小児しょうに眼科がんか外来がいらい」がある東京とうきょう千代田ちよだ区くの眼科がんかの診療しんりょう所しょ、「お茶の水おちゃのみず・井上いのうえ眼科がんかクリニック」には、多おおい日ひでは1日にちに100人にんの子こどもたちが診療しんりょうに訪おとずれます。

受診じゅしんする子こどもは年々ねんねん増ふえ、昨年度さくねんどは4割わり近ちかくが近視きんしやその疑うたがいを理由りゆうに受診じゅしんしていたということです。

近視きんしは、30センチ以内いないの近ちかいところを見みる時間じかんが長ながくなると進行しんこうするため、視み能のう訓練くんれん士しが子こどもや保護ほご者しゃに対にたいし、▽スマートフォンやタブレット端末たんまつなどを見みるときは、姿勢しせいを正ただして、30センチ以上いじょう離はなすこと、▽30分ふんに1回かいは20秒びょう以上いじょう、遠とおくを見みて、目めを休やすめてほしいと伝つたえていました。

受診じゅしんに訪おとずれた小学しょうがく3年生ねんせいの女の子おんなのこの母親ははおやは「学校がっこうの授業じゅぎょうでタブレット端末たんまつが使つかわれ、家いえでもスマートフォンで動画どうがばかり見みています。小ちいさいときからスマホが身近みぢかにあり、目めを使つかいすぎていると感かんじます」と話はなしていました。

この診療しんりょう所しょの永野ながの雅子まさこ医師いしは「いまの親おやの世代せだいよりも低ひくい年齢ねんれいで近視きんしになるケースが増ふえていて、中なかには近視きんしになる幼稚園ようちえん児じもいる。近視きんしが進行しんこうすると網膜もうまく剥離はくりや緑内障りょくないしょうなど別べつの病気びょうきを引き起ひきおこすリスクもあるので、画面がめんから目めを離はなし、目めを休やすめることを習慣しゅうかんにしてほしい」と話はなしていました。

子こどもの視力しりょく 40年ねん余あまり低下ていか傾向けいこう続つづく

子こどもの視力しりょくは、1979年ねんに統計とうけいを取とり始はじめて以降いこう、40年ねん余あまりにわたって低下ていか傾向けいこうが続つづいています。

文部もんぶ科学かがく省しょうが全国ぜんこくの国公私立こっこうしりつの幼稚園ようちえんや小中こなか学校がっこうや高校こうこうを対象たいしょうに毎年まいとし、行おこなっている、「学校がっこう保健ほけん統計とうけい調査ちょうさ」によりますと、視力しりょく検査けんさで裸眼らがんの視力しりょくが1.0未満みまんだった子こどもの割合わりあいは、統計とうけいを取とり始はじめた▽1979年度ねんどは

小学生しょうがくせいで17.91％、中学生ちゅうがくせいで35.19％、高校生こうこうせいで53.02％でした。

しかし、10年ねん後ごの▽1989年度ねんどには

小学生しょうがくせいで20.60％、中学生ちゅうがくせいで40.90％、高校生こうこうせいで55.81％となり、

20年ねん後ごの▽1999年度ねんどには

小学生しょうがくせいで25.77％、中学生ちゅうがくせいで49.69％、高校生こうこうせいで63.31％となるなど視力しりょくの低下ていかが続つづきました。

さらに、▽2009年度ねんどには

小学生しょうがくせいで29.71％、中学生ちゅうがくせいで52.54％、高校生こうこうせいで59.37％となっていて、

最もっとも新あたらしい▽2020年度ねんどのデータでは

小学生しょうがくせいで37.52％、中学生ちゅうがくせいで58.29％と過去かこ最多さいたになったほか、

高校生こうこうせいが63.17％となっています。

2050年ねん世界せかいの人口じんこう約やく半数はんすうが近視きんしの予想よそうも各国かっこくの対策たいさくは？

近視きんしはアジアを中心ちゅうしんに世界せかいで急増きゅうぞうしていて、オーストラリアなどの研究けんきゅうグループが2016年ねんに出だした試算しさんでは、2050年ねんには世界せかいの人口じんこうのおよそ半数はんすうにあたるおよそ48億おく人にんが近視きんしになると予想よそうされています。

WHO＝世界せかい保健ほけん機関きかんも深刻しんこくな公衆こうしゅう衛生えいせい上じょうの懸念けねんがあるとしていて、世界せかい各地かくちで様々さまざまな対策たいさくが取とられています。

眼め軸じくの長ながさが延のびることで起おきる近視きんしは、30センチ以内いないの近ちかいところを見みる時間じかんが長ながくなると進行しんこうするとされ、アメリカ眼科がんか学会がっかいは▽20分間ふんかん継続けいぞくして近ちかくを見みたあとは▽20フィート、およそ6メートル以上いじょう離はなれたものを▽20秒間びょうかん眺ながめるという「20ー20ー20」ルールを推奨すいしょうしています。

さらに近年きんねんでは、1日にちおよそ2時間じかん、屋外おくがいで活動かつどうし、十分じゅうぶんな光ひかりを浴あびることで近視きんしの進行しんこうを抑おさえられることが分わかってきていて、台湾たいわんではおよそ10年ねん前まえから小学校しょうがっこうで1日にちに2時間じかん以上いじょう、屋外おくがいで光ひかりを浴あびるようにした結果けっか、視力しりょく0.8未満みまんの小学生しょうがくせいの割合わりあいが5％以上いじょう減へったということです。

専門せんもん家か「窓まどの外そとを見みて休憩きゅうけい外そとに出でて太陽光たいようこうを浴あびて」

東京とうきょう医科いか歯科しか大学だいがくの大野おおの京子きょうこ教授きょうじゅは、「近視きんしがより進行しんこうすると、緑内障りょくないしょうや眼底がんてい出血しゅっけつなどの目めの病気びょうきが引き起ひきおこされるリスクが高たかまり、失明しつめいにつながる恐おそれもある。近年きんねん、スマートフォンや携帯けいたいゲームが普及ふきゅうし、コロナ禍かで外出がいしゅつの機会きかいが減へったことで、世界中せかいじゅうで子こどもの近視きんしが進すすんでいると指摘してきされている。学校がっこうでもタブレット端末たんまつを使つかう機会きかいが増ふえているが、20分ふんぐらい使つかったら窓まどの外そとを見みて休憩きゅうけいすること、昼休ひるやすみや体育たいいくの時間じかんに外そとに出でて太陽光たいようこうを浴あびることが大事だいじだ。また、自宅じたくで宿題しゅくだいをするときにも目めと本ほんの間まの距離きょりには気きをつけ、特とくに夜よるに寝転ねころがってスマホを見みるのをやめるといった対策たいさくを子こども自身じしんに意識いしきして取り組とりくんでもらうことが重要じゅうようだ」と話はなしています。