岡山市の40代の男性は、「経営への意見や総会の進め方について質問が飛び交い総会は紛糾した。説明を聞いて現経営陣に任せて1年間、様子を見ようと思い、会社側の提案に賛同した。同業他社が黒字経営の中で赤字が続いており、再任された経営陣には業績を立て直してほしい」と話していました。
岩渕氏は、「正史氏が社長になってから会社がおかしくなり、周りの助言にも聞く耳を持たない」などとして、創業者で父の治山正次氏らとともにおととしから正史氏の再任に反対し退陣を求めていました。 しかし、おととしの株主総会は賛成51.59%と、わずか1ポイントあまりの差で正史氏の再任が認められ、去年は57.55%と7ポイント余りの差で正史氏が再任されていました。 そして、ことし。 岩渕氏は、「創業以来、最大の危機だ。今やるべきことは会社の実情を知ったものが取締役となり、スピードをもって会社を改革することだ」として、すべての取締役の入れ替えを求める株主提案を行い、退任していた元幹部など4人を新たな取締役として推挙しました。 さらに岩渕氏は、3万人以上いるという株主全員に手紙を送り、「はるやまの実情をよく知る元幹部らが、はるやまを救おうと名乗りを上げてくれた。現経営陣がいては自由な改革はできない」などと、みずからの提案に賛成するよう呼びかけました。 こうした岩渕氏の提案に対し、はるやまホールディングスは、「当社は改革に取り組んでいる途上であり、その効果は今期、具現化されてくると確信している。会社側が提案している取締役体制が最も適切で十分な体制だ」として反対しています。
その後、本社を岡山市に移し、1978年、倉敷市の幹線道路沿いに初めて郊外型の店舗を出店。 さらに1988年には、岡山市内に郊外型の大型店をオープンしました。 その後も郊外の主要幹線道路沿いに大型店を次々と出店していき、2018年には全国各地に470店舗を展開しました。 こうしたなか、はるやまのスーツは、2008年の北京オリンピックで、日本選手団が移動する際や、式典に出席する際に着用する公式ウエアにも採用されました。 しかし、ここ数年は、新型コロナウイルスの影響による在宅勤務の広がりや、外出機会の減少でスーツの需要が落ち込み、2020年度の決算は最終的な損益が48億円の赤字に。 昨年度も78億円の最終赤字で、はるやまでは、不採算店の整理を進め5月末時点でピーク時から60店舗以上を閉鎖しています。 ただ、紳士服業界をみると、青山商事やAOKIホールディングスが雑貨販売や飲食店、それにインターネットカフェなど、多角的な経営によって昨年度の決算で最終損益を黒字に転換している中、はるやまは回復の遅れが目立っています。
経営陣刷新を提案 岩渕典子氏「社員のことを思うと気の毒」
おととしから会長らの退陣求める
「はるやまホールディングス」 スーツ需要落ち込み赤字に
岡山市に本社のある「はるやまホールディングス」は、新型コロナウイルスの影響から昨年度の決算で最終的な損益が過去最大の78億円の赤字になるなど、同業他社と比べて業績の回復が遅れています。
こうした中、治山正史会長の姉で大株主の岩渕典子氏が、会長の退任を含む経営陣の刷新を株主総会に提案しました。
関係者によりますと、この提案には創業者で正史氏や岩渕氏の父である治山正次氏も賛同したということです。
この提案について29日、岡山市の本社で開かれた株主総会で採決が行われた結果、過半数の支持を得られず否決され、現在の治山正史会長の再任が承認されたということです。
これにより、今後も引き続き、正史会長らが経営を担っていくことになります。
新型コロナの影響による在宅勤務の広がりや、外出機会の減少でスーツの需要が落ち込む中、正史会長らが業績をどう回復させられるか注目されます。
出席した株主「経営陣は業績を立て直して」
