内裏だいりびな

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Jan 14, 2025 10:01 1
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むかし安芸あきくに和泉屋いずみやさんというおおきなみせがあった。このみせには、うたにもうたわれたきくといううつくしいむすめがいた。その和泉屋いずみやさんには、先祖せんぞからつたわる立派りっぱ内裏だいりびながあって、あるときこの内裏だいりびなをりにはなしがあったが、きくいてのこしてくれといったので、りやめになったのだった。

あるとき岩国いわくに白銀屋はくぎんやから、きく息子むすこ孫三郎まごさぶろうよめにしたいともうがあり、和泉屋いずみやさんこれれた。きく父親ちちおやたのみ、内裏だいりびなって嫁入よめいをした。きくてからというもの、白銀屋はくぎんやいままで以上いじょうにぎわうようになった。

ところがあれほど元気げんきだったきくが、ふとしたことから病気びょうきになり、あっというんでしまった。かなしみくれる孫三郎まごさぶろうは、きく嫁入よめい道具どうぐさとかえことにした。内裏だいりびなどうするかでまよったが、結局残けっきょくのこすことになった。だが孫三郎まごさぶろうは、きく大事だいじにしていた内裏だいりびなたびにかなしくなるので、ひな人形にんぎょうを、生前せいぜん、おきく可愛かわいがってくれた長谷屋ながたにやさんのおばあさんにもらってもらうことにした。

長谷屋ながたにやさんばあさんは、おきくはなしかけるようにひな人形にんぎょう相手あいてをした。それから長谷屋ながたにやさんみせでは不思議ふしぎなことがおこるようになった。主人しゅじんしょう間違まちがっていると、内裏だいりびなかなしそうかおをし、ただしいしょうをすると、あかるいかおになった。こうして長谷屋ながたにやさん繁盛はんじょうした。

そんなおり、長谷屋ながたにやさんのおばあさんは内裏だいりびなって孫三郎まごさぶろうたずねた。そしてこれまでの不思議ふしぎはなしをした。「この内裏だいりびなには、きくさんがのりうつっているんじゃよ。」「そうきくかなしんでばかりいるわしがわるかった・・・。」こうしてなおした孫三郎まごさぶろうは、しょうはげみ、内裏だいりびなその表情ひょうじょうで、孫三郎まごさぶろうたすけ、商売しょうばい大繁盛だいはんじょうした。

それからも内裏だいりびなは、孫三郎まごさぶろうもと大事だいじにされたそうだ。ふる商家しょうかつたわった、不思議ふしぎ内裏だいりびなはなだった。

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またくまおそひと

またひとくまおそわれたようです

N4 Source: NHK 284 Oct 17, 2025 19:10