鬼婆おにばば羽織はおり

Easy Japanese news
Jan 17, 2025 07:01 73
Furigana
Journal japonais

むかしあるところに、それはそれはうつくしいむすめがいました。このむすめのいいなずけである弥九郎やくろうは、金持かねもでしたので、むすめ不自由ふじゆうのないらしをおくっていました。

ある山仕事やましごとかけたむすめ村人むらびとたちとはぐれてしまい、一人ひとりやまなかをさまよっていました。ゆきなか、どうにか一軒屋いっけんやつけて戸口とぐちたたと、なんとそこ鬼婆おにばばいえでした。

へとへとにつかれていたむすめは、それでも鬼婆おにばばいえめてもらうことにしました。170年間生ねんかんいきてきたという鬼婆おにばばは、これまでこんなにうつくしいむすめことがありませんでした。すやすやとているむすめ寝顔ねがおながら、鬼婆おにばばおそろしいかんがおもいつきました。

翌朝よくあさむすめいのちたすけてやるかわりにうつくしい羽織はおりようにといつけました。羽織はおりむすめは、あっというにしわくちゃの老婆ろうば姿すがたになってしまいました。どうしても羽織はおりげないむすめは「こんな姿すがたなるならいっそころしてください」と懇願こんがんしましたが、鬼婆おにばばその姿すがたのままでむらかえようにいつけました。

みにく老婆ろうばになったむすめは、きながらやまをおりました。途中とちゅう炭焼すみや小屋こや親父おやじからははらわれ、いいなずけの弥九郎やくろうも「こんなきたなババアはもんか」とせせらわらい、誰一人だれひとりたすけてくれるひとはいませんでした。老婆ろうばむすめ絶望ぜつぼうし、いっそかわげてのうとしていると、村一番貧乏むらいちばんびんぼう若者わかもの八吉やきち自分じぶんいえかえってくれました。

八吉やきちあたたかい芋粥いもがゆと、不思議ふしぎこと鬼婆おにばば羽織はおりげ、老婆ろうばもとのようなうつくしいむすめもどりました。むすめやさしい八吉やきちよめになり、二人ふたり一生懸命働いっしょうけんめいはたらいたのでたちまち村一番むらいちばん長者ちょうじゃになりました。やがて可愛かわいあかぼうまれ、鬼婆おにばばからもらった羽織はおり宝物ほうもつとし、末永すえながしあわらしたということです。

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