ノーベル賞しょう 7日にちから発表はっぴょう 日本人にっぽんじん3年ねんぶりの受賞じゅしょうなるか 注目ちゅうもくは？

ノーベル賞しょうは、ダイナマイトを発明はつめいしたスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言ゆいごんに基もとづいて、「人類じんるいに最大さいだいの貢献こうけんをもたらした人々ひとびと」に贈おくるとされています。

ことしの受賞じゅしょう者しゃの発表はっぴょうは、7日にちが生理学せいりがく・医学いがく賞しょう、8日にちが物理ぶつり学賞がくしょう、9日にちが化学かがく賞しょう、10日にちが文学ぶんがく賞しょう、11日にちが平和へいわ賞しょう、14日にちが経済けいざい学賞がくしょうとなっています。

日本人にっぽんじんの受賞じゅしょうはこれまでアメリカ国籍こくせきを取得しゅとくした人ひとを含ふくめて28人にんですが、このうち今世紀こんせいきに入はいってから受賞じゅしょうした19人にんは、生理学せいりがく・医学いがく賞しょう、物理ぶつり学賞がくしょう、化学かがく賞しょうの自然しぜん科学かがく系けいの3賞しょういずれかで、この期間きかんではアメリカに次つぐ2番目ばんめの多おおさとなっています。

一方いっぽう、文学ぶんがく賞しょうは1994年ねんの大江おおえ健三郎けんざぶろうさん、平和へいわ賞しょうは1974年ねんの佐藤さとう栄作えいさく元もと総理そうり大臣だいじん以来いらい受賞じゅしょうがなく経済けいざい学賞がくしょうを受賞じゅしょうした人ひとはいません。

2021年ねんに物理ぶつり学賞がくしょうに輝かがやいた真鍋まなべ淑郎よしろうさん以来いらい、3年ねんぶりに日本人にっぽんじんの受賞じゅしょうがあるのか注目ちゅうもくされます。

ノーベル賞しょうの授賞じゅしょう式しきや晩ばんさん会かいはことし12月つきにスウェーデンのストックホルムで開ひらかれます。

【注目ちゅうもくの日本人にっぽんじんは】

《生理学せいりがく・医学いがく賞しょう》

初日しょにちに発表はっぴょうされる生理学せいりがく・医学いがく賞しょうでは、これまでに5人にんの日本人にっぽんじんが受賞じゅしょうしています。

毎年まいとし、注目ちゅうもくされているのは、日本にっぽんに有力ゆうりょくな研究けんきゅう者しゃが多おおい免疫めんえき学がくの分野ぶんやで、

▼過剰かじょうな免疫めんえき反応はんのうを抑おさえる「制御せいぎょ性せいT細胞さいぼう」を発見はっけんした大阪おおさか大学だいがく特とく任にん教授きょうじゅの坂口さかぐち志文しぶんさんや

▼免疫めんえきの働はたらきを強つよめる「インターロイキン6」というたんぱく質たんぱくしつを発見はっけんした大阪おおさか大学だいがく特とく任にん教授きょうじゅの岸本きしもと忠三ちゅうぞうさんがこれまでに国際こくさい的てきな賞しょうを受賞じゅしょうするなどしています。

また、病気びょうきの治療ちりょうに貢献こうけんしている研究けんきゅう者しゃでは、▼エイズの治療ちりょう薬やくを世界せかいで初はじめて開発かいはつした国立こくりつ国際こくさい医療いりょう研究けんきゅうセンター研究所けんきゅうじょ長ちょうの満屋みつや裕明ひろあきさんが注目ちゅうもくされています。

このほかの分野ぶんやでは▼細胞さいぼうどうしを結むすびつけて臓器ぞうきなどを形かたちづくる分子ぶんし、「カドヘリン」を発見はっけんした理化りか学がく研究所けんきゅうじょ名誉めいよ研究けんきゅう員いんの竹たけ市し雅俊まさとしさんや、

▼「小しょう胞体たい」と呼よばれる細胞さいぼうの器官きかんが、不ふ良品りょうひんのたんぱく質たんぱくしつを修復しゅうふくしたり分解ぶんかいしたりする仕組しくみを解明かいめいした京都大きょうとだい学がく特別とくべつ教授きょうじゅの森もり和俊かずとしさんも国際こくさい的てきな学術がくじゅつ賞しょうを受賞じゅしょうしていて注目ちゅうもくされています。

このほか、▼運動うんどうや学習がくしゅうなどをつかさどる「大脳だいのう基底きてい核かく」の生理学せいりがく的てきな研究けんきゅうに貢献こうけんした、アメリカの国立こくりつ衛生えいせい研究所けんきゅうじょに所属しょぞくする彦坂ひこさか興きょう秀しげるさんは9月つきにイギリスの学術がくじゅつ情報じょうほうサービス会社かいしゃが今後こんご、受賞じゅしょうが有力ゆうりょく視しされる研究けんきゅう者しゃとして発表はっぴょうしています。

《物理ぶつり学賞がくしょう》

2日にち目めの物理ぶつり学賞がくしょうは、アメリカ国籍こくせきを取得しゅとくした人ひとを含ふくめ、これまで日本にっぽんから12人にんが受賞じゅしょうしています。

3年ねん前まえは、愛媛えひめ県けん出身しゅっしんでアメリカ国籍こくせきを取得しゅとくしている真鍋まなべ淑郎よしろうさんが受賞じゅしょう。

気候きこうをシミュレーションするモデルの基礎きそを開発かいはつし、地球ちきゅう温暖おんだん化かの研究けんきゅうを切り開きりひらいた功績こうせきが評価ひょうかされました。

当時とうじ、この分野ぶんやの研究けんきゅうは物理ぶつり学がくの対象たいしょうではないと見みられていたことから、関係かんけい者しゃには驚おどろきが広ひろがりました。

注目ちゅうもくされている研究けんきゅう者しゃとしては、▼消費しょうひ電力でんりょくが極きわめて少すくないコンピューター用ようのメモリーの実現じつげんにつながる「マルチフェロイック物質ぶっしつ」の特徴とくちょうを解き明ときあかした理化りか学がく研究所けんきゅうじょ理事りじ長ちょう特別とくべつ補佐ほさの十倉とくら好こう紀おさむさんや、

▼電力でんりょくロスが少すくない次世代じせだいの送電そうでん線せんなどへの応用おうようも期待きたいされる「鉄てつ系けい超ちょう電導でんどう物質ぶっしつ」を発見はっけんした東京とうきょう科学かがく大学だいがく栄誉えいよ教授きょうじゅの細野ほその秀雄ひでおさんが、論文ろんぶんの引用いんよう回数かいすうの多おおさなどから注目ちゅうもくされているほか、

▼100億おく年ねんで1秒びょうも狂くるわない極きわめて正確せいかくな「光ひかり格子こうし時計とけい」と呼よばれる時計とけいを開発かいはつした、東京とうきょう大学だいがく教授きょうじゅの香取かとり秀俊ひでとしさんなどが注目ちゅうもくされています。

《化学かがく賞しょう》

3日にち目めの化学かがく賞しょうは、これまで日本にっぽんから8人にんが受賞じゅしょうしていて、ほかにも「ノーベル賞しょう級きゅう」とされる成果せいかを挙あげている日本にっぽんの研究けんきゅう者しゃが多おおくいます。

このうち、▼水中すいちゅうの「酸化さんかチタン」に紫外線しがいせんを当あてると、水みずが水素すいそと酸素さんそに分解ぶんかいされる現象げんしょうを世界せかいで初はじめて発見はっけんし、有害ゆうがい物質ぶっしつの分解ぶんかいなどに利用りようされる「光ひかり触媒しょくばい」の実用じつよう化かの道みちを開ひらいた東京とうきょう理科りか大学だいがく栄誉えいよ教授きょうじゅの藤嶋ふじしま昭あきらさんや、

▼藤嶋ふじしまさんとともに「光ひかり触媒しょくばい」の研究けんきゅうに取り組とりくみ、汚よごれや有害ゆうがい物質ぶっしつのほか、細菌さいきんやウイルスを分解ぶんかいする力ちからがあることを明あきらかにした科学かがく技術ぎじゅつ振興しんこう機構きこう理事りじ長ちょうの橋本はしもと和仁かずひとさんは毎年まいとし、受賞じゅしょうが期待きたいされています。

また、▼東京とうきょう大学だいがく卓越たくえつ教授きょうじゅの藤田ふじた誠まことさんは、分子ぶんしどうしがひとりでに結むすびつく「自己じこ組織そしき化か」と呼よばれる現象げんしょうの研究けんきゅうで国内こくない外がいで高たかく評価ひょうかされているほか、

▼京都きょうと大学だいがく理事りじの北川きたがわ進すすむさんは「多孔たこう性せい金属きんぞく錯体さくたい」という特定とくていの気体きたいを貯蔵ちょぞうできる材料ざいりょうの合成ごうせいで世界せかい的てきに注目ちゅうもくされています。

このほか、▼「光ひかり触媒しょくばい」を使つかい、植物しょくぶつのように太陽たいようの光ひかりを利用りようしてエネルギーを生み出うみだす「人工じんこう光合成こうごうせい」の研究けんきゅうで、効率こうりつ的てきに水素すいそを取り出とりだす手法しゅほうを開発かいはつした信州しんしゅう大学だいがく特別とくべつ特とく任にん教授きょうじゅで東京とうきょう大学だいがく特別とくべつ教授きょうじゅの堂どう免めん一いち成せいさんはことし、イギリスの学術がくじゅつ情報じょうほうサービス会社かいしゃからノーベル化学かがく賞しょう受賞じゅしょうの有力ゆうりょく候補こうほにあげられました。

《文学ぶんがく賞しょう》

例年れいねん注目ちゅうもくされるのは、▼作品さくひんが50以上いじょうの言語げんごに翻訳ほんやくされ世界中せかいじゅうで読よまれている村上むらかみ春樹はるきさんです。

チェコの「フランツ・カフカ賞しょう」やイスラエルの「エルサレム賞しょう」など、海外かいがいの賞しょうを複数ふくすう受賞じゅしょうしていて、毎年まいとし、イギリスの「ブックメーカー」が行おこなっている受賞じゅしょう者しゃを予想よそうする賭かけでは“有力ゆうりょく候補こうほ”の1人にんとなっています。

また、▼長年ながねんドイツで暮くらし、日本語にほんごとドイツ語ごで小説しょうせつを執筆しっぴつしている多和田たわだ葉子ようこさんも、ドイツの「クライスト賞しょう」や、アメリカの「全米ぜんべい図書としょ賞しょう」の翻訳ほんやく文学ぶんがく部門ぶもんに選えらばれるなど、注目ちゅうもくされています。

発表はっぴょう前まえに期待きたいの声こえ 日本にっぽん科学かがく未み来館らいかん 東京とうきょう・江東こうとう区く

東京とうきょう・江東こうとう区くの日本にっぽん科学かがく未み来館らいかんでは、7日にちからのノーベル賞しょうの発表はっぴょうを前まえに来館らいかん者しゃから期待きたいの声こえが聞きかれました。

中学ちゅうがく2年生ねんせいの男子だんし生徒せいとは「日本人にっぽんじんがいっぱい賞しょうをとってくれるとうれしい」と話はなしていたほか、20代だいの女性じょせいは「日本人にっぽんじんが受賞じゅしょうすると親近しんきん感かんや興味きょうみが持もてるので受賞じゅしょうするといいなと思おもう」と話はなしていました。

さらに小学しょうがく3年ねんの女子じょし児童じどうは、「将来しょうらい、科学かがく者しゃになろうと思おもっています。絶対ぜったいノーベル賞しょうをとって世界せかいを平和へいわや豊ゆたかにしたい」と話はなしていました。

また、日本にっぽん科学かがく未み来館らいかんでは7日にちから受賞じゅしょう者しゃの研究けんきゅう内容ないようを解説かいせつするイベントを予定よていしています。

6日にちは科学かがくコミュニケーターと呼よばれる職員しょくいんたちが集あつまり、過去かこの受賞じゅしょう歴れきや受賞じゅしょうが予想よそうされる研究けんきゅう者しゃのリストを作成さくせいするなど準備じゅんびを進すすめていました。

物理ぶつり学賞がくしょうを担当たんとうする出沢すざわ良樹よしきさんは、「個人こじん的てきにはぜひ日本人にっぽんじんに賞しょうをとってほしい。日本にっぽんの国際こくさい競争きょうそう力りょくや研究けんきゅうが厳きびしい環境かんきょうに置おかれていることもあるのでこれをきっかけに改あらためて科学かがくに関心かんしんを持もってほしい」と話はなしていました。

【過去かこの日本人にっぽんじん受賞じゅしょう者しゃ】

ノーベル賞しょうを受賞じゅしょうした日本人にっぽんじんは、アメリカ国籍こくせきを取得しゅとくした人ひとも含ふくめて28人にんいます。

日本人にっぽんじんが初はじめてノーベル賞しょうを受賞じゅしょうしたのはいまから75年ねん前まえ、戦後せんごまもない▼1949年ねんで、湯川ゆかわ秀樹ひできさんが、物理ぶつり学賞がくしょうを受賞じゅしょうしました。

その後そのご、

▼1965年ねんに朝永ともなが振一郎しんいちろうさんが物理ぶつり学賞がくしょう、

▼1968年ねんに川端かわばた康成やすなりさんが日本人にっぽんじん初はつの文学ぶんがく賞しょう、

▼1973年ねんに江崎えざき玲於奈れおなさんが物理ぶつり学賞がくしょう、

▼1974年ねんに佐藤さとう栄作えいさく元もと総理そうり大臣だいじんが日本人にっぽんじんで初はじめての平和へいわ賞しょうを受賞じゅしょうしました。

▼日本人にっぽんじん初はつの化学かがく賞しょうは1981年ねん、福井ふくい謙一けんいちさんが受賞じゅしょう。

▼初はつの生理学せいりがく・医学いがく賞しょうは1987年ねんに利根川とねがわ進すすむさんが受賞じゅしょうしました。

▼1994年ねんには大江おおえ健三郎けんざぶろうさんが、文学ぶんがく賞しょうを受賞じゅしょうしています。

2000年ねん以降いこう、受賞じゅしょう者しゃは急増きゅうぞうします。

▼2000年ねんに白川しらかわ英樹ひできさんが受賞じゅしょうしたのを始はじまりに

▼2001年ねんに野依のより良治よしはるさん、

▼2002年ねんに田中たなか耕一こういちさんと3年ねん連続れんぞくで日本人にっぽんじんが化学かがく賞しょうを受賞じゅしょうします。

田中たなかさんが化学かがく賞しょうを受賞じゅしょうした2002年ねんには、小柴こしば昌俊まさとしさんが物理ぶつり学賞がくしょうを受賞じゅしょうし、初はじめて同おなじ年としに2人にんが受賞じゅしょうしました。

▼2008年ねんには、物理ぶつり学賞がくしょうで南部なんぶ陽一郎よういちろうさん、小林こばやし誠まことさん、益えき川がわ敏英としひでさんの3人にんが同時どうじに受賞じゅしょうしたほか、下村しもむら脩おさむさんが化学かがく賞しょうを受賞じゅしょうし、この年としだけで4人にんが受賞じゅしょうしました。

また、▼2010年ねんには化学かがく賞しょうで鈴木すずき章あきらさんと根岸ねぎし英一ひでかずさんがダブル受賞じゅしょうし、▼2012年ねんには山中やまなか伸しん弥わたるさんが生理学せいりがく・医学いがく賞しょうを受賞じゅしょうしました。

▼2014年ねんには、赤崎あかさき勇いさむさん、天野あまの浩ひろしさん、中村なかむら修二しゅうじさんの3人にんが物理ぶつり学賞がくしょうを受賞じゅしょうしました。

そして、▼2015年ねんには生理学せいりがく・医学いがく賞しょうで大村おおむら智さとしさん、物理ぶつり学賞がくしょうで梶田かじた隆章たかあきさんが受賞じゅしょうし、この年としも2つの賞しょうで受賞じゅしょう者しゃが出でました。

さらに、▼2016年ねんに大隅おおすみ良典よしのりさんが生理学せいりがく・医学いがく賞しょうを受賞じゅしょうし、2回かい目めとなる日本人にっぽんじんの3年ねん連続れんぞく受賞じゅしょうとなりました。

続つづいて、▼2018年ねんに本ほん庶佑たすくさんが生理学せいりがく・医学いがく賞しょう、

▼2019年ねんに吉野よしの彰あきらさんが化学かがく賞しょうを受賞じゅしょうし2年ねん連続れんぞくで日本人にっぽんじんが受賞じゅしょう。

直近ちょっきんでは、2021年ねんに真鍋まなべ淑郎よしろうさんが物理ぶつり学賞がくしょうを受賞じゅしょうしました。

文部もんぶ科学かがく省しょうによりますと、去年きょねんまでの受賞じゅしょう者しゃ数すうの28人にんはスイスに次ついで世界せかいで7番目ばんめとなっています。

また、今世紀こんせいきに入はいってから去年きょねんまでに自然しぜん科学かがく系けいの3賞しょうでの日本人にっぽんじんの受賞じゅしょう者しゃ数すうは19人にんで、アメリカに次ついで2番目ばんめの多おおさとなっています。

一方いっぽう、ノーベル賞しょうの6つの部門ぶもんのうち経済けいざい学賞がくしょうだけは、日本人にっぽんじん受賞じゅしょう者しゃはいません。

※受賞じゅしょう当時とうじ、アメリカ国籍こくせき取得しゅとく者しゃは、南部なんぶ陽一郎よういちろうさん、中村なかむら修二しゅうじさん、真鍋まなべ淑郎よしろうさんの3人にん。