日にち米べい韓かんの首脳しゅのう会談かいだん 安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょくを新あらたな高たかみに引き上ひきあげへ

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんとアメリカのバイデン大統領だいとうりょう、韓国かんこくのユン・ソンニョル大統領だいとうりょうによる日にち米べい韓かん首脳しゅのう会談かいだんは、日本にっぽん時間じかんのきょう未明みめい、ワシントン郊外こうがいにあるキャンプ・デービッド山荘さんそうで、昼食ちゅうしょくもともにしながら行おこなわれました。

会談かいだんでは北朝鮮きたちょうせんや中国ちゅうごくの動向どうこうを踏ふまえ、日にち米べい韓かん3か国かこくの安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょくを新あらたな高たかみに引き上ひきあげることで一致いっちしました。

具体ぐたい的てきには、3か国かこくの首脳しゅのうや外務がいむ防衛ぼうえいの閣僚かくりょう級きゅうなどの会談かいだんをそれぞれ年ねんに1度どは行おこなって定例ていれい化かするほか、緊急きんきゅう時じに首脳しゅのう間かんを含ふくめ情報じょうほう共有きょうゆうを行おこなう仕組しくみを強化きょうかすることで合意ごういしました。

また、3か国かこくの部隊ぶたいによる共同きょうどう訓練くんれんを毎年まいとし開催かいさいすることに加くわえ、北朝鮮きたちょうせんによる資金しきん獲得かくとくのためのサイバー活動かつどうに対処たいしょする作業さぎょうチームを設もうけることや、ミサイル発射はっしゃ情報じょうほうの即時そくじ共有きょうゆうの年内ねんない開始かいしに向むけて対応たいおうしていくことを確認かくにんしました。

さらに「自由じゆうで開ひらかれたインド太平洋たいへいよう」の実現じつげんに向むけ、日にち米べい韓かんで連携れんけいして東南アジアとうなんあじあや太平洋たいへいよう島とうしょ国こくの海洋かいよう安全あんぜん保障ほしょう分野ぶんやの能力のうりょく構築こうちく支援しえんを行おこなっていくことでも一致いっちしました。

このほか北朝鮮きたちょうせんによる拉致らち問題もんだいについて、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんが「時間じかん的てき制約せいやくのある人道じんどう問題もんだいだ」と伝つたえ、即時そくじ解決かいけつの重要じゅうよう性せいを訴うったえたのに対にたいし、バイデン大統領だいとうりょうとユン大統領だいとうりょうは支持しじする考かんがえを示しめしました。

一方いっぽう、経済けいざい安全あんぜん保障ほしょう分野ぶんやでは半導体はんどうたいなどのサプライチェーンの強きょうじん化かのほか、AIなどの重要じゅうよう技術ぎじゅつでの連携れんけいを広ひろげていくことを確認かくにんしました。

そして一連いちれんの会談かいだんの成果せいかを「キャンプ・デービッド原則げんそく」や「共同きょうどう声明せいめい」などとして成果せいか文書ぶんしょにまとめました。

「キャンプ・デービッド原則げんそく」の位置いちづけ

「キャンプ・デービッド原則げんそく」は、3か国かこくが中なか・長期ちょうき的てきな視野しやに立たって協力きょうりょくを進すすめていく際さいの指針ししんとして位置いちづけられました。

この中なかでは

▽日にち米べい韓かん3か国かこくが価値かち観かんを共有きょうゆうする国くにとして国際こくさい法ほうを尊重そんちょうし、「自由じゆうで開ひらかれたインド太平洋たいへいよう」の実現じつげんに向むけて引き続ひきつづき協力きょうりょくしていくとしています。

また、ロシアや中国ちゅうごくなどの動向どうこうを念頭ねんとうに

▽力ちからによる一方いっぽう的てきな現状げんじょう変更へんこうの試こころみに強つよく反対はんたいするとともに、

▽台湾たいわん海峡かいきょうの平和へいわと安定あんていの重要じゅうよう性せいが国際こくさい社会しゃかいの安全あんぜんと繁栄はんえいにとって不可欠ふかけつな要素ようそであることを再さい確認かくにんし、両りょう岸きし問題もんだいの平和へいわ的てき解決かいけつを促うながすとしています。

そして、

▽主権しゅけんと領土りょうどの一体いったい性せいなど国連こくれん憲章けんしょうの原則げんそくを尊重そんちょうし、紛争ふんそうの平和へいわ的てき解決かいけつに取り組とりくむことが明記めいきされています。

さらに

▽核兵器かくへいきの不ふ拡散かくさん、さらには核兵器かくへいきのない世界せかいは、国際こくさい社会しゃかいの共通きょうつう目標もくひょうだと強調きょうちょうし、NPT＝核かく拡散かくさん防止ぼうし条約じょうやくの締約ていやく国こくの立場たちばとしても、実現じつげんに取り組とりくんでいくことなどが盛り込もりこまれています。

別べつの成果せいか文書ぶんしょである共同きょうどう声明せいめいは「キャンプ・デービッド原則げんそく」に基もとづき、3か国かこくが進すすめていく具体ぐたい的てきな協力きょうりょくなどがまとめられ「キャンプ・デービッドの精神せいしん」と称しょうしています。

声明せいめいの冒頭ぼうとう「3首脳しゅのうは日にち米べい韓かんパートナーシップの新しん時代じだいの幕まくを開あけるために集あつまった」と宣言せんげんし、連携れんけいして世界せかい全体ぜんたいの安全あんぜんと繁栄はんえいを推進すいしんしていくことを目標もくひょうに掲かかげています。

また「日にち米べい同盟どうめいと米べい韓かん同盟どうめいの戦略せんりゃく的てき連携れんけいを強化きょうかし、日にち米べい韓かん3か国かこくの安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょくを新あらたな高たかみに引き上ひきあげる」と強調きょうちょうし、部隊ぶたいの共同きょうどう訓練くんれんを定期ていき的てきに行いっていくことなどを盛り込もりこんでいます。

そして首脳しゅのう間かんに加くわえ、外務がいむ・防衛ぼうえい、それに財務ざいむなど閣僚かくりょう級きゅうの会談かいだんを少すくなくとも年としに1度ど行おこない、定例ていれい化かするとともに、安全あんぜん保障ほしょうに影響えいきょうを与あたえるような緊急きんきゅう時じの情報じょうほう共有きょうゆうを強化きょうかしていくことを明記めいきしています。

さらに「海洋かいよう安全あんぜん保障ほしょう」に関にかんする新あらたな枠組わくぐみの設置せっちのほか、宇宙うちゅう分野ぶんやでの協力きょうりょくも進すすめていくとしています。

このほか北朝鮮きたちょうせん対応たいおうでは、ミサイル発射はっしゃ情報じょうほうの即時そくじ共有きょうゆうを進すすめるとともに、サイバー分野ぶんやの脅威きょういに対処たいしょするため、新あらたに3か国かこくの作業さぎょうグループを立たち上あげるなどとしています。

韓国かんこく専門せんもん家か “中国ちゅうごくとの関係かんけい構築こうちくが今後こんご大おおきな課題かだいに”

日にち米べい韓かん首脳しゅのう会談かいだんについて、韓国かんこくの保守ほしゅ系けいの有力ゆうりょく紙し・朝鮮ちょうせん日にち報ほうは「北東ほくとうアジアの安全あんぜん保障ほしょう体制たいせいができてからこの70年ねんで最もっとも大おおきな変化へんかであり、世界せかい経済けいざいの32％を占しめる強力きょうりょくな経済けいざい安全あんぜん保障ほしょうブロックが誕生たんじょうした」などと会談かいだんの意義いぎを伝つたえています。

これに対にたいして、革新かくしん系けいのキョンヒャン（京きょう郷さと）新聞しんぶんは「韓国かんこくの世論せろんは日本にっぽんとの関係かんけいがここまで進すすむのには否定ひてい的てきだ」などとして3か国かこくの連携れんけいに否定ひてい的てきな見方みかたを伝つたえています。

一方いっぽう、専門せんもん家かは韓国かんこくが日にち米べいとの連携れんけいを強化きょうかしながら経済けいざい的てきな結び付むすびつきが強つよい中国ちゅうごくとの関係かんけいをどう構築こうちくするかが今後こんご大おおきな課題かだいになると指摘してきしています。

東アジアひがしあじあの安全あんぜん保障ほしょうに詳くわしいキョンナム（慶けい南みなみ）大学だいがく極東きょくとう問題もんだい研究所けんきゅうじょのチョ・ジング（趙ちょう真ま九きゅう）教授きょうじゅは、ユン・ソンニョル政権せいけんは過去かこの政権せいけんよりも中国ちゅうごくに対にたいする立場たちばは強硬きょうこうだとした上うえで、「日本にっぽんは中国ちゅうごくとの平和へいわ友好ゆうこう条約じょうやくから45年ねんで岸田きしだ総理そうり大臣だいじんの中国ちゅうごく訪問ほうもんが水面すいめん下かで議論ぎろんされる可能かのう性せいがある。またアメリカは中国ちゅうごくと対立たいりつはしているが対話たいわは続つづけていて、日にち米べい韓かんの中なかで中国ちゅうごくとの関係かんけいが最もっとも冷え込ひえこんでいるのは韓国かんこくだ。日にち米べい韓かんの安全あんぜん保障ほしょうの協力きょうりょくが強化きょうかされればされるほど、中国ちゅうごくとの関係かんけいにおいて選択せんたくの幅はばが狭せばまるのではないか」と述のべています。