日経にっけい平均へいきん株価かぶか バブル景気けいき後ごの最さい高値たかねを更新こうしん 要因よういんは？

国内こくないの経済けいざい活動かつどうの正常せいじょう化かに加くわえ、アメリカの利上りあげが加速かそくするという懸念けねんが後退こうたいしたこと。

日銀にちぎん総裁そうさいに就任しゅうにんする前まえに植田うえだ和男かずお氏しが国会こっかいなどで金融きんゆう緩和かんわを継続けいぞくする姿勢しせいを示しめしたことで投資とうし家かの間まに安心あんしん感かんが広ひろがり、日経にっけい平均へいきん株価かぶかは3月つき6日にちに終値おわりねで2万まん8000円えん台だいを回復かいふくしました。

しかし、3月つき中旬ちゅうじゅんにアメリカで銀行ぎんこうの破綻はたんが相次あいついだことに加くわえ、スイスの大手おおて金融きんゆうグループ「クレディ・スイス」の経営けいえい危機ききをきっかけに金融きんゆう不安ふあんが広ひろがり、株価かぶかはいったん2万まん6000円えん台だいまで下落げらくしました。

ただ、海外かいがいの投資とうし家かを中心ちゅうしんに利上りあげを続つづける欧米おうべいに比くらべて日本にっぽんは景気けいきが底堅そこがたいという見方みかたが広ひろがりました。

また東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょが市場しじょうの評価ひょうかが低ひくい企業きぎょうに対にたいして株価かぶか上昇じょうしょうにつながる具体ぐたい策さくを示しめすよう求もとめたことなどから、4月つき18日にち、日経にっけい平均へいきん株価かぶかは8営業えいぎょう日び連続れんぞくで値上ねあがりして2万まん8600円えん台だいに上昇じょうしょう。

終値おわりねとして3月つきにつけた高値たかねを更新こうしんしました。

そして、4月つき28日にちに、日銀にちぎんが植田うえだ総裁そうさいのもとで初はじめてとなる金融きんゆう政策せいさく決定けってい会合かいごうで金融きんゆう緩和かんわ策さくの維持いじを決きめたことも追い風おいかぜとなりました。

5月つきになって企業きぎょうの決算けっさん発表はっぴょうが本格ほんかく化かすると業績ぎょうせきが好調こうちょうな企業きぎょうを中心ちゅうしんに買かい注文ちゅうもんが集あつまる展開てんかいとなり、17日にちに日経にっけい平均へいきん株価かぶかは、おととしの9月つき以来いらい、1年ねん8か月かげつぶりに3万まん円えん台だいを回復かいふく。

そして19日にちに、一時いちじ、「バブル景気けいき」の時期じきの1990年ねん8月つき以来いらい32年ねん9か月かげつぶりの高値たかねをつけました。

欧米おうべいの金融きんゆう引き締ひきしめで景気けいきの減速げんそくが懸念けねんされる一方いっぽうで、日本にっぽんは新型しんがたコロナからの経済けいざい活動かつどうの再開さいかいやインバウンドの回復かいふくなどで、まだ先行さきゆきが期待きたいできると見みる投資とうし家かが増ふえているからです。

3月つき下旬げじゅん以降いこう、海外かいがいの投資とうし家かが株式かぶしきを買かった金額きんがくは7週しゅう連続れんぞくで、売うった金額きんがくを上回うわまわる「買い越かいこし」となっています。

東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょによりますと東証とうしょうと名古屋なごや証券しょうけん取引とりひき所しょでは4月つきは、2兆ちょう1510億おく円えんあまり上回うわまわる大幅おおはばな「買い越かいこし」となりました。

海外かいがいの投資とうし家かの買い越かいこし額がくが月間げっかんで2兆ちょう円えんを超こえるのは2017年ねん10月つき以来いらいです。

5月つきの2週しゅう目めも海外かいがいの投資とうし家かは5658億おく円えんあまりの買い越かいこしでした。

3月つき最終さいしゅう週しゅうからの買い越かいこし額がくをあわせると2兆ちょう8842億おく円えんあまりとなり、

「日本にっぽん株かぶを持もたないことが今いまはリスクだ」との声こえも聞きかれます。

日本にっぽん企業きぎょうの業績ぎょうせきが全体ぜんたい的てきに堅調けんちょうで先行さきゆきへの期待きたい感かんが高たかまっていることに加くわえ、欧米おうべいの利上りあげによる海外かいがい経済けいざいの減速げんそくを懸念けねんして東京とうきょう市場しじょうに資金しきんを振り向ふりむける海外かいがい投資とうし家かが増ふえていることが背景はいけいです。

市場しじょう関係かんけい者しゃは、「外国がいこく為替かわせ市場しじょうで円えん安やすドル高だかが進すすみ、海外かいがい投資とうし家かが買かいやすい状況じょうきょうが続つづいていることも追い風おいかぜとなっている」と話はなしています。

日経にっけい平均へいきん株価かぶかのことし3月つき31日にちの終値おわりねと5月つき18日にちの終値おわりねを比くらべると上昇じょうしょう率りつは9％になります。

世界せかいの主要しゅような証券しょうけん取引とりひき所しょの代表だいひょう的てきな株価かぶか指数しすうの中なかで、最もっとも高たかくなっています。

▼日経にっけい平均へいきん株価かぶかに次ついで高たかいのがブラジルの主要しゅよう株価かぶか指数しすう、ボベスパで8％、▼IT関連かんれん銘柄めいがらの多おおいアメリカのナスダックとインドの代表だいひょう的てきな株価かぶか指数しすう、センセックスがいずれも4％、▼ドイツの主要しゅような株価かぶか指数しすうダックスは3％の上昇じょうしょう率りつとなっています。

SMBC日興にっこう証券しょうけんが旧きゅう東証とうしょう1部ぶ上場じょうじょう企業きぎょうを中心ちゅうしんに18日にちまでに発表はっぴょうをすませた全体ぜんたいの99.2％にあたる1423社しゃの昨年度さくねんどの決算けっさんを分析ぶんせきしたところ、54％にあたる769社しゃが最終さいしゅう的てきな利益りえきを前まえの年度ねんどよりも増ふやし増益ぞうえきとなりました。

経済けいざい活動かつどうがコロナ禍かから正常せいじょう化かし「空そら運うん」や「陸運りくうん」などの業績ぎょうせきが改善かいぜんしました。

また資源しげん価格かかくの上昇じょうしょうや円えん安やすの効果こうかなどで業績ぎょうせきが押し上おしあげられた商社しょうしゃを中心ちゅうしんとした「卸売おろしうり」などの株式かぶしきが買かわれ、株価かぶかが上昇じょうしょうしました。

東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょは東証とうしょう株価かぶか指数しすう・トピックスに採用さいようされている企業きぎょうを33の業種ぎょうしゅに分類ぶんるいし、それぞれの業種ぎょうしゅの株価かぶか指数しすうを算出さんしゅつしています。

それによりますとことし3月つき31日にちの終値おわりねと18日にちの終値おわりねを比くらべると今年度こんねんどに入はいってからは、全体ぜんたいの90％にあたる30の業種ぎょうしゅで株価かぶか指数しすうは上昇じょうしょうしています。

このうち、アメリカで銀行ぎんこうの経営けいえい破綻はたんが相次あいつぐなど、3月つきに急速きゅうそくに広ひろがった欧米おうべいの金融きんゆう不安ふあんがいくぶん後退こうたいしたことを受うけて、「保険ほけん業ぎょう」は12％、「銀行ぎんこう業ぎょう」は10％、それぞれ上昇じょうしょうしています。

また、アメリカの著名ちょめいな投資とうし家かのウォーレン・バフェット氏しが来日らいにちし、日本にっぽんの総合そうごう商社しょうしゃの株式かぶしきに積極せっきょく的てきに投資とうしする姿勢しせいを示しめしたことを受うけ、商社しょうしゃを中心ちゅうしんとした「卸売おろしうり業ぎょう」も11％上昇じょうしょうしています。

さらに、日本にっぽんのコロナ禍かからの経済けいざい活動かつどうの本格ほんかく的てきな再開さいかいへの期待きたいから、鉄道てつどうなどの「陸運りくうん業ぎょう」は13％、デパートなどの「小売こうり業ぎょう」も10％の上昇じょうしょうとなっています。

東京とうきょう株式かぶしき市場しじょうでは、1株かぶあたりの純資産じゅんしさんに対にたいして株価かぶかが何なん倍ばいかを表あらわすPBR＝株価かぶか純資産じゅんしさん倍率ばいりつと呼よばれる指標しひょうが1倍ばいを下回したまわる企業きぎょうが多おおく、市場しじょうでの評価ひょうかが低ひくいことが課題かだいとなっています。

東証とうしょうは、ことし1月つき、市場しじょうの評価ひょうかが低ひくい企業きぎょうに改善かいぜんを求もとめる方針ほうしんを明あきらかにし、3月つき下旬げじゅんには上場じょうじょう企業きぎょうに対応たいおうするよう通知つうちしました。

こうした中なか、大だい日本にっぽん印刷いんさつはPBR1倍ばい超こえを目標もくひょうに掲かかげ、3月つきにあわせて3000億おく円えんの自社じしゃ株かぶ買かいなどを発表はっぴょうすると、株価かぶかは上昇じょうしょうし、PBRが一時いちじ、1倍ばいを上回うわまわりました。

岡三おかさん証券しょうけんグループも3月つきにPBRが1倍ばいを超こえるまで年間ねんかん10億おく円えん以上いじょうの自社じしゃ株かぶ買かいを実施じっしすることを明あきらかにし、発表はっぴょうの翌よく営業えいぎょう日びには株価かぶかがストップ高すとっぷだかとなりました。

家電かでん量販りょうはん店てん大手おおてのケーズホールディングスも5月つき10日にち、1倍ばい割われが続つづくPBRの改善かいぜんを図はかるため、株主かぶぬし還元かんげんの強化きょうかを明あきらかにし、翌日よくじつの株価かぶかは大おおきく上昇じょうしょうしてことしの最さい高値たかねをつけました。

市場しじょう関係かんけい者しゃは「市場しじょうでは低ていPBRの銘柄めいがらへの注目ちゅうもくがかつてないほど高たかまっている。ただ、自社じしゃ株かぶ買かいだけでなく、成長せいちょうのための取り組とりくみも重要じゅうようだ」と話はなしています。

企業きぎょうがみずから会社かいしゃの株式かぶしきを買かう、いわゆる自社じしゃ株かぶ買かいをすると企業きぎょうがすでに発行はっこうした株式かぶしきの総数そうすうが減へり、1株かぶあたりの価値かちが高たかくなるため投資とうし家かからは株主かぶぬし還元かんげん策さくの1つとして考かんがえられています。

年度ねんどの決算けっさん発表はっぴょうが集中しゅうちゅうする5月つきは自社じしゃ株かぶ買かいの発表はっぴょうも増ふえ、東海とうかい東京とうきょう調査ちょうさセンターによりますと、今月こんげつに入はいってから17日にちまでにあわせて3兆ちょう900億おく円えんの自社じしゃ株かぶ買かいが発表はっぴょうされたということです。

5月つき中ちゅうに発表はっぴょうされた自社じしゃ株かぶ買かいの総額そうがくは去年きょねんの3兆ちょう1000億おく円えんがこれまでで最もっとも多おおく、ことしはすでにこの水準すいじゅんに迫せまっています。

東証とうしょうは、ことし1月つき、市場しじょうでの評価ひょうかが低ひくい企業きぎょうに改善かいぜんを求もとめる方針ほうしんを明あきらかにし、3月つき下旬げじゅんには上場じょうじょう企業きぎょうに対応たいおうするよう通知つうちしました。

これも自社じしゃ株かぶ買かいを後押あとおししていると見みられます。

市場しじょう関係かんけい者しゃは「5月つきの自社じしゃ株かぶ買かいの総額そうがくは過去かこ最高さいこうを更新こうしんするペースだが、企業きぎょう価値かちを高たかめるために企業きぎょうがどのような対応たいおうをとるか注目ちゅうもくされている」と話はなしています。