そのうえで妥協点を見いだせれば債務上限を引き上げることは可能だという認識を示しました。
また議会下院の予算委員長を務める共和党のジョディ・アリントン議員は21日、ABCテレビのインタビューでバイデン大統領の記者会見での発言について「上限を引き上げるための責任ある交渉に応じない言い訳をしているだけだ」と批判しバイデン大統領に対して交渉への姿勢を改めるよう求めました。
その上限を引き上げるには議会の承認が必要となります。 ことし1月、政府の借金が増えてその上限に達しました。 イエレン財務長官は臨時の対応として公務員や障害者の年金基金の中で直ちには必要のない資金を使ってやりくりする特別措置を始めたと発表しました。 イエレン長官はこの特別措置で確保できる資金が早ければ6月1日に底をつく可能性があると指摘。 議会に対して繰り返し上限の引き上げを求めてきました。 上限が引き上げられなければ信頼性が高く、安全な資産として世界中で取り引きされているアメリカ国債が史上初めて債務不履行=デフォルトに陥る可能性があります。 バイデン大統領は今月9日、16日と続けて野党・共和党のマッカーシー下院議長など議会の指導部と会談し、上限の引き上げに向けて協力を要請しましたが協議はまとまりませんでした。 バイデン大統領はG7広島サミット後に予定していたオーストラリアなどへの外国訪問をキャンセルし、帰国を早めて対応にあたることになりました。 バイデン大統領が日本を訪問している間も担当者レベルでの交渉は続けられ、マッカーシー下院議長は18日、「何も合意はしていないが、合意できるかもしれない。道筋は見えてきた」と述べて、話し合いが前向きに進んでいることを示唆しました。 しかし、19日になって事態は一転します。 交渉を担当する共和党の議員が「交渉が生産的ではない」と述べて協議が一時、中断しました。 これについてホワイトハウスのジャンピエール報道官は、20日午前、広島で行った記者会見で「双方のあいだに深刻な開きがあることは間違いない」と認め「共和党側はアメリカ経済を人質にしてはならない。経済不況を引き起こし、何百万人もの雇用が失われるおそれがある」と述べてけん制しました。 またマッカーシー下院議長は20日、「不幸なことだがホワイトハウスは交渉をひっくり返している。共和党はG7広島サミットからバイデン大統領が戻ってからでないと交渉には応じられない」と述べたと、アメリカの経済チャンネルCNBCは伝えています。 バイデン政権と野党・共和党との交渉が再び暗礁に乗り上げています。
また新たな税収が見込める6月15日までもたせることはできないのかと問われたのに対し、「その可能性は極めて低い」と述べて、厳しい認識を重ねて示しました。
これまでの経緯
イエレン財務長官「期限は今も6月1日」