この事件で亡くなった池内卓夫巡査部長(61)はことし3月の異動で中野署に配属されました。
パトロールカーに乗って地域の安全を見守りながら警察の音楽隊でドラムの演奏を担当し、孫も演奏を見に来ていました。
長男の池内将吾さん(34)は「父に憧れて警察官になりました。同じ仕事に就いたら喜んでくれました。私が小さいときは厳格な父でしたが、同じ職場だからこそ話せることもあり一気に距離が近づきました。仕事で相談することも増え、最近は優しい父親でした。憧れの父を超えたいと思っていましたが、このようなことになり、つらいです」と話しました。 父親の音楽隊の活動については「何十年もやっていて、自慢の父でした。仕事の面でもプライベートでも、何でも自慢できる父でした。仕事も子育ても、同じ趣味のつりだって教えてもらいたかったし、家庭菜園も教えてもらいたかったし、全部何でも教えてもらいたかったです」と話しました。 その家庭菜園でことし初めてトマトの苗を植えた時、池内巡査部長は「こうやってやるんだよ」と優しく声をかけながら教えてくれたということです。
父が作った最後のチャーハン。 将吾さんは「食べることができたことはよかったです。チャーハン作ってくれて、むちゃくちゃうまかったです」と振り返りました。 最後に将吾さんは自分の父親でもある警察官が立てこもり事件で殉職したことについて「警察官という仕事は常に危険と隣り合わせだと自分では心のどこかで分かっていたつもりでしたが、いざ身内がこのようなことになると、改めて強く感じます。気をつけたいし、まわりにもこういう経験を伝えて、殉職だとかそういう目にあってもらいたくないです。そのために、父親はもういないですが、警察という仕事を続けていきたい」と強く語りました。
夫の人柄について「若い頃は厳しい人でしたが、いまはたくさんの孫に囲まれ、優しいじぃじでした。警察の音楽隊ではドラムの担当で、後輩にも慕われていました。音楽隊の練習で、家でドラムスティックをたたいてました。孫たちと一緒に音楽隊の演奏会に行ってとてもうれしそうでした」と振り返りました。 佳代子さんは「ドラムの音をもう聞くことができないのは本当にさみしいです」と話していました。
長男の将吾さん「父に憧れて警察官に」
妻の佳代子さん「たくさんの孫に囲まれ優しいじぃじ」