かざみの名人めいじん

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Oct 12, 2023 07:10 0
Furigana
일본 신문

むかし料理りょうり上手じょうずなカカとケチな亭主ていしゅがいて、贅沢ぜいたくだからと美味うま料理りょうりつくらせなかった。

ある亭主ていしゅ遠出とおでし、これさいわとボタもちつくったが、亭主ていしゅ出掛でかけたフリをしてカカの様子ようすうかがっていただけだった。亭主ていしゅ何食なにくわぬかおで「いまかえったぞ」と戸口とぐちはいと、ボタもちいかけたカカは大慌おおあわて。ひつにボタもちかくし、素知そしらぬかお出迎でむかえた。「今日きょうはな?かざみというもんをならってきた。どれ…」と亭主ていしゅはじめ、ひつなかのぼたもちて、カカはおどろいた。

早速さっそく、カカは「うち亭主ていしゅなんでもてる」と村中むらなかれてまわり、そのはなしやがて大阪鴻池おおさかこうのいけ番頭ばんとうみみにもとどいた。ちょうど名刀めいとうぬすまれたこともあり、たのにやっきた。亭主ていしゅもさすがにそうとしたが、なるようになれとはらをくくった。

そして鴻池こうのいけ玄関げんかんをくぐると、下女げじょ亭主ていしゅあしあらた。しかしなにいたげに亭主ていしゅかおなんど亭主ていしゅたずねると、「御見通ごみとおしでしょうが、名刀めいとうぬすんだのはわたしです。いま台所だいどころかまなかに…」と白状はくじょうした。「わかっとる。まえのことはだれにもわんよ」といい、客間きゃくまとおされた亭主ていしゅはかざみのふりをして、下女げじょったこく場所ばしょげた。番頭ばんとう確認かくにんするとかたなはあり、亭主ていしゅはたんまりと褒美ほうびをいただいた。

さてとかえ支度したくはじめると、さむらがきて、「いまきょう公方様くぼうさまやまいふくしておる。その原因げんいんをかざんでもらいたい」とってきた。くに急用きゅうようがとってもれない。しぶしぶきょうかうが、道中どうちゅうれたので、八幡堂はちまんどうまることになった。

夜中よなかこえがして亭主ていしゅきると、八幡様やはたさまが「公方くぼうやまいどうじゃ」ととりいており、とりは「めかけ御殿ごてんはしらしたにガマ七匹ななひきとヘビ七匹ななひきにしのろころそうとしてる」とこれはイイことをと亭主ていしゅよろこんだ。翌日よくじつ御殿ごてんでかざむふりをした亭主ていしゅは、「はしらしたにこういうものがあるそれがよい」とげると、はしらしたからガマとヘビのはいったツボがてきた。がしてやると、公方様くぼうさま容体ようだい回復かいふくした。

亭主ていしゅたくさん褒美ほうびにし、かざみの名人めいじんとして評判ひょうばんたかくしたそうだ。

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