谷村新司さんは大阪府出身で、1972年にバンド「アリス」でデビューしました。
堀内孝雄さんらとともに力強いボーカルで「チャンピオン」や「冬の稲妻」などヒット曲を次々と発表しました。
またシンガーソングライターとして「昴」など長く歌い継がれる名曲を生み出したほか、「いい日旅立ち」を山口百恵さんに提供するなど長年、日本の歌謡界を牽引してきました。
また、谷村さんは、中国・上海にある音楽学院で教授を務めたこともあり、中国で人気の日本人歌手として知られていて、2017年には上海で日中国交正常化45年を記念したコンサートを開いています。
代表曲の「昴」は中国語でもカバーされるなど広く親しまれているということです。
2015年には日本だけでなく広くアジアに受け入れられる作品を数多く生み出し、芸術文化の発展に貢献したことが評価され紫綬褒章を受章しています。
事務所のホームページによりますと谷村さんは、ことし3月に腸炎のため手術を受け、予定されていたアリスの全国ツアーを延期して、療養していましたが、今月8日、亡くなりました。
葬儀は15日近親者で執り行われたということで、事務所では後日、しのぶ場を設けたいとしています。
堀内孝雄さん「ずっと一緒に音楽活動ができたことが幸せ」
谷村新司さんの訃報を受けて、堀内孝雄さんがコメントを発表しました。
この中で「突然の別れに驚きを隠せません。来年のツアーに向けて回復に向かっていると伺っていただけに、とても残念です。僕にとってのチンペイさんは、50年来の親友であり、『アリス』のリーダーであり、そして良きライバルでした。学生時代に、『プロにならないか?一緒にアリスをやろう』と、誘ってくれたとき、心の底からうれしかった。チンペイさんが、あの時誘ってくれなかったら、今の僕はありません。ずっと一緒に音楽活動ができたことが幸せでした。また、いつか空のほとりで一緒にライブをやろうね。もうちょっと待っていてね、キンちゃんと、もう少しだけ頑張るね。心から、ありがとう。安らかに。ご冥福をお祈り申し上げます」とつづりました。
矢沢透さん「時には抱き合い幾多の苦難も喜びも共有」
矢沢透さんがコメントを出しました。
この中で矢沢さんは「東京に住む僕と大阪に住む谷村と、何の因果か運命の出会いか堀内を紹介され3人アリスとして歩み始めました。時にはいがみ合い、時には抱き合い幾多の苦難も喜びも共有し、無我夢中で駆け抜けた。そして気が付けば51年という長きにわたって谷村と関わるとは・・・あの日からは想像もしませんでした」としています。
そして「若さの灰汁も抜け『これからは本当に音楽を楽しんでやっていこうね』と新しいアリスの始まりに胸躍らせていた矢先のことでした。谷村なら大丈夫、谷村ならきっと戻ってくる、根拠のない確信めいたものを感じておりました。でも谷村は戻ってきませんでした!もういないんです。悲しいというよりも悔しいんです。谷村はもう僕たちのみんなの心の中にしか住む場所がないのです。思い出せば必ず胸にやってきます、どうか谷村を忘れないで下さい。今まで谷村をアリスを応援してくださってありがとうございました」とつづっています。
清水アキラさん「力が抜けてしまった」
テレビ番組などで谷村新司さんのものまねを披露していたタレントの清水アキラさんは自身のブログで「爽やかな風、まっ青な空に雲、素晴らしい天気。そんな中、飛び込んだ谷村新司さんの訃報。力が抜けてしまった。ご冥福をお祈り致します」と心境をつづっています。
イルカさん「昴になられましたね」
シンガーソングライターのイルカさんは、旧ツイッターの「X」で「今まで沢山ご一緒に歌わせて頂いたチンペイさん!」と呼びかけ、イルカさんの亡き夫と「学生時代一緒にアメリカ、カナダ、メキシコでフォークを歌った仲間だったから」としていつも「大丈夫?」と声をかけてくれた思い出を振り返りました。
そして、谷村さんの代表曲にちなんで「昴になられましたね。御冥福をお祈り致します」と追悼のコメントを投稿しました。
加山雄三さん「永遠の『サライ』を谷村くんと共に」
谷村新司さんとともに「サライ」などの楽曲を制作した歌手の加山雄三さんが「谷村新司君の訃報に接して」というタイトルで自身のウェブサイトでコメントを発表しました。
その中で加山さんは「谷村君が亡くなったこと、先ほど知りました。ショックと悲しみで正直混乱しています。ちんぺいとは『サライ』をはじめたくさんの思い出があります。ヤンチャーズ楽しかったよな。たくさんの場所で一緒に歌ったよな!陶芸に誘ってくれた兄弟子でもあるし、いつもちんぺいには『加山さん勝負じゃないんだから!』って言われてたっけ。ほんとの兄弟のように慕ってくれて一緒にいる時は本当にいつも楽しかったよ。その兄想いの弟が先に逝ってしまった今、気持ちをまとめてくれと言われても、彼に伝えたいことはたくさんあって、言い切れないよ。一言だけ彼に伝えるなら、やっぱり『ありがとう』この感謝の言葉しか見当たりません。永遠の『サライ』を谷村くんと共に…」とつづっています。
また、コメントには去年谷村さんと共演したテレビ番組の控え室で、一緒に撮影した写真も添えられています。
事務所「皆さまの心にいつまでも残る事を願って心よりの感謝」
谷村新司さんの訃報を受けて所属していた事務所がホームページにコメントを出しました。
コメントでは「本人も回復に向けて頑張っておりましたので本当に残念に思います。葬儀は近親者のみにて10月15日に執り行いとても穏やかな顔で旅立ちました事をご報告申し上げます」としています。
そして去年、アリスが活動50年を迎えたことについて「記念ライブを開催し、メンバーの堀内孝雄・矢沢透と共にここからリスタートして10年続けようと目標を立てて本人も楽しみにしておりましたが残念ながらその夢は叶わず満75年の生涯を終える事となりました。後日には皆で集まって故人を偲ぶ場を設けたいと思っております」としています。
また「生前『歌と音楽は目に見えないからこそ海も空も超えていく』と沢山の国にも出掛けていきました。歌を創作し歌い伝える旅を続けてきた人生でした」と振り返り「歌と音楽にピリオドはなく皆さまの心にいつまでも残る事を願って心よりの感謝を深く申し上げたいと存じます。これまでに沢山の『愛』をいただき本当に有難うございました」とつづっています。
官房長官「多大なる社会貢献活動 これまでの功績に敬意」
松野官房長官は午後の記者会見で「長年にわたり、シンガーソングライターとしてわが国だけでなく広くアジアに受け入れられる作品を数多くつくり出し、音楽文化の発展に大きく貢献された。また『社会を明るくする運動』の旗振り役として協力を頂き、中国との交流にも尽力されるなど、多大なる社会貢献活動をされた。これまでの功績に改めて敬意を表するとともに、哀悼の意を表したい」と述べました。