ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、アメリカに供与を求めていた射程の長い地対地ミサイルATACMSについて「その能力を証明した」と述べ、軍のザルジニー総司令官もATACMSの発射の様子とみられる動画を投稿しました。
ウクライナ軍はロシア軍が占領している、南部ザポリージャ州のベルジャンシクと東部ルハンシク州のルハンシクのそれぞれの飛行場に対し攻撃を行い、ヘリコプターや弾薬庫などを破壊したと17日に発表し、この攻撃にATACMSが使われた可能性が指摘されています。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は17日「ATACMSで作戦上重要なロシアの飛行場を攻撃したことで、ロシア側は航空戦力を分散させ、一部は撤退させることになるだろう」と分析しました。
また「ATACMSは後方地域にあるロシアの弾薬庫にも重大な脅威をもたらしている」と指摘し、今後のロシア軍の作戦に影響を及ぼす可能性があるという見方を示しています。
一方、ロシア軍は東部ドネツク州のアウディーイウカで大規模な作戦に乗り出しているとみられています。
さらにイギリス国防省は18日、ロシア軍が過去2週間、東部のハルキウ州クピヤンシクからドネツク州リマンにかけての戦線で攻撃を大幅に強化していると指摘しました。
ウクライナ軍もこの戦線での防衛を維持しているとしていて、激しい攻防が続くとみられます。
プーチン大統領「戦況が劇的に変わることは全くない」
中国の北京を訪問しているロシアのプーチン大統領は記者団に対して、アメリカからウクライナ軍に新たに供与された射程の長い地対地ミサイルATACMSについて「われわれは、この攻撃を撃退できる。これによって戦況が劇的に変わることは全くない。ウクライナにとって何もいいことがなく、苦しみが長引くだけだ」と主張しました。
プーチン大統領「黒海上空でロシア空軍の活動強化」
中国の北京を訪問しているロシアのプーチン大統領は記者団に対して、ウクライナ軍による反転攻勢について「南部ヘルソン州でも反転攻勢が始まったが結果がでていない。南部ザポリージャ州でもだ」などと述べ、ウクライナ側が大きな損害を受けていると主張しました。
また「アメリカがこの紛争にますます関与していることは明らかだ」と述べウクライナへの支援を行うアメリカを非難しました。
そしてプーチン大統領は「私の命令によってロシア空軍は黒海の公海上空で常時のパトロールを開始した。われわれのミグ31戦闘機は極超音速ミサイル『キンジャール』を装備している」と述べ、黒海上空でロシア空軍の活動を強化したことを明らかにし、ウクライナやアメリカなどをけん制しました。