イラン大統領だいとうりょう選せん 改革かいかく派は勝利しょうりもハメネイ師し 路線ろせん継続けいぞくを求もとめる

5日にちに行おこなわれたイラン大統領だいとうりょう選挙せんきょの決選けっせん投票とうひょうでは、欧米おうべいとの対話たいわを重視じゅうしする改革かいかく派はで、イラン議会ぎかいの副ふく議長ぎちょうや保健ほけん相しょうを務つとめたペゼシュキアン氏しが53％あまりの票ひょうを獲得かくとくし、欧米おうべいとの対立たいりつをいとわない保守ほしゅ強硬きょうこう派はのジャリリ氏しの44％あまりの得票とくひょうを上回うわまわり、当選とうせんしました。

投票とうひょう率りつは49.8％と、6月つきの1回かい目めの選挙せんきょよりおよそ10％高たかくなり、現状げんじょうに不満ふまんを持もつ人ひとたちの受け皿うけざらとして支持しじを伸のばしたものとみられます。

ペゼシュキアン氏しは6日にち、勝利しょうり演説えんぜつを行おこない「私わたしたちの前まえには、大おおきな試練しれんが待ち構まちかまえている。人々ひとびとがよりよい生活せいかつを送おくれるよう、直面ちょくめんする困難こんなんを乗り越のりこえるための試練しれんだ」と述のべ、国民こくみんに団結だんけつを訴うったえました。

また「この選挙せんきょでは偽いつわりの約束やくそくはしなかった」と述のべ、選挙せんきょ戦せんで訴うったえた経済けいざい制裁せいさいの解除かいじょと核かく合意ごういの立て直たてなおしに向むけ、欧米おうべいとの関係かんけい改善かいぜんを目指めざしていくものとみられます。

首都しゅとテヘランでは、変革へんかくを期待きたいする声こえが聞きかれ、42歳さいの男性だんせいは「すぐにでも経済けいざい制裁せいさいの解除かいじょに取り組とりくんでほしい」と話はなしていたほか、42歳さいの女性じょせいは「社会しゃかいの状況じょうきょうを考慮こうりょしながら各国かっこくとの関係かんけいを築きずいていけるだろう」と話はなしていました。

ただ、最高さいこう指導しどう者しゃのハメネイ師しは声明せいめいで「ペゼシュキアン氏しには、ライシ大統領だいとうりょうの路線ろせんを継承けいしょうするなどして、国くにの発展はってんのために明あかるい未来みらいを見据みすえるよう勧すすめる」として、ことし5月つきにヘリコプター事故じこで亡なくなった保守ほしゅ強硬きょうこう派はのライシ大統領だいとうりょうの路線ろせん継続けいぞくを求もとめました。

また、イラン議会ぎかいは保守ほしゅ派はが掌握しょうあくしているため、ペゼシュキアン氏しが掲かかげる融和ゆうわ的てきな外交がいこう政策せいさくへの転換てんかんを実現じつげんできるかどうかが焦点しょうてんとなります。

米べい国務省こくむしょう 報道ほうどう担当たんとう者しゃ「自由じゆうでも公正こうせいでもなかった」

イランの大統領だいとうりょう選挙せんきょについて、アメリカ国務省こくむしょうの報道ほうどう担当たんとう者しゃは「自由じゆうでも公正こうせいでもなかった。その結果けっか、かなりの数かずのイラン国民こくみんが選挙せんきょに参加さんかしないことを選択せんたくした。今回こんかいの選挙せんきょが、イランの方針ほうしん転換てんかんや国民こくみんの人権じんけん尊重そんちょうにつながるものだとは期待きたいしていない」と批判ひはんしました。

また、イランの政策せいさくは最高さいこう指導しどう者しゃのハメネイ師しによって決定けっていされ、アメリカのイランへの懸念けねんは変かわらないとしたうえで「アメリカの利益りえきにつながるのであれば、外交がいこうに力ちからを尽つくす方針ほうしんを維持いじしていく」と強調きょうちょうしました。

【記者きしゃ解説かいせつ】政権せいけん運営うんえいの課題かだいは

(土屋つちや悠ゆう志こころざしテヘラン支局しきょく長ちょう)

当初とうしょ、選挙せんきょでは劣勢れっせいとみられた改革かいかく派はの政権せいけんの誕生たんじょうを後押あとおししたのは、変化へんかを求もとめる人々ひとびとの期待きたいでした。

しかし、ペゼシュキアン氏しが掲かかげる融和ゆうわ的てきな外交がいこう政策せいさくへの転換てんかんを実現じつげんするには、大おおきく2つの課題かだいがあります。

まず国内こくないでは、どうやって最高さいこう指導しどう者しゃハメネイ師しの理解りかいを得えるかです。当選とうせん直後ちょくご、ハメネイ師しにこれまでの路線ろせんの継続けいぞくを求もとめられたことで、いきなり難題なんだいに直面ちょくめんしている形かたちです。

もう1つは、関係かんけいを改善かいぜんしたい相手あいて、欧米おうべい側がわの信頼しんらいをどう得えるかです。

イランと欧米おうべいは、核かく開発かいはつだけでなく、ウクライナ情勢じょうせいやガザ地区ちくなどの中東ちゅうとう情勢じょうせいをめぐっても、対立たいりつを深ふかめてきただけにイラン側がわが一方いっぽう的てきにその気きになっても、距離きょりは縮ちぢまりません。

目めに見みえる変化へんかを実現じつげんできなければ、イランの人々ひとびとの期待きたいは失望しつぼうにも変かわるため、ペゼシュキアン氏しはスタートから重おもい課題かだいを背負せおっているといえます。