女郎じょろうぐものはなし

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Nov 7, 2023 07:11 6
Furigana
Journal japonais

そんなあるえないたびおんな一人ひとり庄屋様しょうやさまいえおとずれた。そうしてそのから庄屋様しょうやさま息子むすこひいちにち顔色かおいろわるくなり、おろえていったそうな。やがてむらには、毎晩まいばん丑三うしみどきになると息子むすこ部屋へやおとずれるおんながいるといううわさひろまった。

心配しんぱいした庄屋様しょうやさま息子むすこひろねると、息子むすこぼんやりと「もう婚礼こんれいなんてどうでもいいんじゃ。あのたびおんな毎晩まいばんおいらをおとずねてくる。おんなえないがゆっくりひらいておいらをつめると、ゆめのようにしあわ心地ここちなんじゃ。」とたそうな。

むらには、このあたやま一匹いっぴきものかいんでおって、おおきないえ婚礼こんれいあるときさとりてくるというはなしつたわっておった。ものかいはそのいえ跡取あとと息子むすこき、生血なまちってしまうというのじゃった。

庄屋様しょうやさま近在きんざい猟師りょうしあつめ、そのよる息子むすこ部屋へや猟師りょうしたちひそませた。丑三うしみどきになると、あのおんなあらわれた。息子むすこがうっとりとじると、おんなたちまちおおきな女郎蜘蛛じょろうぐもわり、息子むすこ生血なまちをすすりはじめた。

猟師達りょうしたちそのおそろしさにふるえ、女郎蜘蛛じょろうぐもかって一斉いっせいはなった。女郎蜘蛛じょろうぐも悲鳴ひめいげてげようとしたが、猟師達りょうしたちそうと女郎蜘蛛じょろうぐもかこんだ。

そのとき息子むすこが「ころのだけはやめてくれ!」と、おとろえたうで猟師りょうしあしにすがりつき懇願こんがんした。それはあまりに必死ひっし様子ようすじゃったので、庄屋様しょうやさま女郎蜘蛛じょろうぐもいのちだけはたすけてやることにしたそうな。女郎蜘蛛じょろうぐも息子むすこじっとつめていたが、やがてきずついたからだきずるようにしながらやまへとかえってった。

つぎ庄屋様しょうやさま息子むすこに、おとこてられてやまはいり、蜘蛛くもになってしまったあわおんなはなしをしてやった。女郎蜘蛛じょろうぐもそのうらから、婚礼前こんれいまえわかおとこくのじゃろうというのじゃった。

いのちすくってくれた息子むすこころそうとしたあさましさをはじじたのか、女郎蜘蛛じょろうぐもその二度にどさと姿すがたあらわことはなかったということじゃ。

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