一方で与党の代表は、党として弾劾に賛成する必要があるという考えを示し、近く再び提出される弾劾を求める議案をめぐって与党の動向が焦点となっています。
韓国のユン・ソンニョル大統領は12日、午前9時半過ぎから国民向けの談話を発表しました。
この中でユン大統領は、国会などでのこれまでの野党の対応を批判し、「野党が国政をまひさせてきた。このような人々こそ、反国家勢力ではないか」と述べました。
そして野党側の動きなどを理由に今回「非常戒厳」の宣言を決断したと説明し「大統領の『非常戒厳』を宣言する権利の行使は司法審査の対象にならない統治行為だ」と正当化しました。
その上で「弾劾であれ、捜査であれ、私はこれに対して堂々と立ち向かう」と強調しました。
与党「国民の力」のハン・ドンフン代表は「大統領の職務停止のために弾劾に賛成すべきだという話を国民に申し上げた」と述べ、党として弾劾に賛成する必要があるという考えを示しました。
ただ、党として弾劾に反対してきたこれまでの方針が実際に転換されるのかどうかは、明らかになっていません。
野党側は、弾劾を求める議案の採決を14日にも行いたい考えで、近く議案を国会に提出する予定で、弾劾を求める議案をめぐって与党の動向が焦点となっています。
【動画 15秒】「弾劾・捜査 堂々と立ち向かう」
記者解説 ユン大統領の談話の真意は
Q ユン大統領は、なぜこのタイミングで談話を発表したのでしょうか?
A ユン大統領への圧力が与党内からも強まっていることが、このタイミングでの談話の発表につながったと言えると思います。
ユン大統領は、先週7日にみずからの弾劾を求める議案が採決されるのを前に、談話を発表して「非常戒厳」について謝罪しましたが、短い内容の談話にとどまりました。
それ以来の発言となった12日の談話ではおよそ30分にもわたって「非常戒厳」を出した経緯などについて、力強い口調で国民に訴えました。国民からの批判が強まり、捜査機関の動きも進む中で、みずからの正当性を強調したものとみられます。
Q 弾劾を求める議案や捜査の行方はどうなりそうですか?
A 弾劾を求める議案は、近く提出される見通しで、野党側はあさっての採決を目指しています。先週の採決では、与党のほとんどの議員が議場を退席して投票に参加せず、弾劾の議案は廃案となりました。
ただ、11日までに、次回の弾劾を求める議案の採決で与党内から5人が賛成すると報じられました。12日には与党のハン・ドンフン代表が、「党として弾劾は賛成すべきだ」と述べていて、与党の方針がどうなるのかがカギとなります。
一方、捜査機関による捜査も進められていて、11日の警察などによる大統領府への捜索令状には、容疑者としてユン大統領の名前が明記されました。
検察は声明で「地位の高い、低いを問わず厳正に捜査する」と強調していて、ユン大統領をめぐる捜査の行方が引き続き注目されます。