【全国ぜんこくまとめ】クマ被害ひがい５ご道県どうけん10人にんに ことしの出没しゅつぼつどうなる？

４月しがつ以降いこうにクマに襲おそわれてけがをした人ひとは、全国ぜんこく５いつつの道県どうけんで少すくなくとも10人にんに（※本ほん文中ぶんちゅうに地図ちずでまとめています）。

去年きょねんは“大量たいりょう出没しゅつぼつ”となりましたが、ことしはどうなるのか。注意ちゅうい点てんは。専門せんもん家かに聞ききました。

24日にち朝あさも秋田あきたの山林さんりんで女性じょせいが

24日にち朝あさ早はやく、秋田あきた県けん仙北せんぼく市しの山林さんりんでわらびを採とっていた68歳さいの女性じょせいがクマに襲おそわれ、顔かおと両りょう腕うでにけがをしました。

警察けいさつによりますと24日にち午前ごぜん5時じすぎ、仙北せんぼく市し田沢たざわ湖こ田沢たざわの山林さんりんで、わらびを採とっていた68歳さいの女性じょせいが体長たいちょうおよそ1メートルのクマに襲おそわれました。

女性じょせいは顔かおと両りょう腕うでにけがをして病院びょういんに搬送はんそうされ、意識いしきはあるということです。

女性じょせいは夫おっととともに24日にち朝あさから山林さんりんに入はいり、別々べつべつの場所ばしょでわらびを採とっていたということです。

「山林さんりんでの捜索そうさくは危険きけんを伴ともない困難こんなん」

秋田あきた県けんでは去年きょねん、クマによる人身じんしん被害ひがいが過去かこ最悪さいあくの70人にんに上のぼっていて、ことしも５月ごがつに入はいってから被害ひがいが相次あいついでいます。

今月こんげつ18日にち、鹿角かづの市しでは、たけのこ採とりで山やまに入はいっていた男性だんせいが遺体いたいで見みつかり、運び出はこびだそうとした警察官けいさつかん2人にんがクマに襲おそわれて大だいけがをしています。

このため仙北せんぼく市しと仙北せんぼく警察けいさつ署しょは、遭難そうなんの対応たいおうについて「山林さんりんでの地上ちじょう捜索そうさく隊たいの動員どういんは危険きけんを伴ともなうため極きわめて困難こんなんだ」として、今後こんごはヘリコプターによる空そらからの捜索そうさくと車くるまを使つかった林道りんどうからの捜索そうさくを中心ちゅうしんとする方針ほうしんを示しめすとともに、入山いりやま禁止きんしの山やまに入はいらないよう強つよく要請ようせいする呼よびかけを今月こんげつ21日にちに行いっています。

また、秋田あきた県けんは全域ぜんいきに「ツキノワグマ出没しゅつぼつ警報けいほう」を出だし、クマとの鉢合はちあわせを避さけるためやぶなどの見通みとおしの悪わるい場所ばしょでは鈴すずやラジオなどで音おとを出だし人じんの存在そんざいをアピールすることや、山やまでは単独たんどく行動こうどうを避さけゴミを必かならず持ち帰もちかえることなどを呼よびかけています。

クマ被害ひがい 4月つき以降いこう少すくなくとも10人にんに

クマによる被害ひがいが過去かこ最悪さいあくとなった去年きょねんに続つづき、ことしも春はるから被害ひがいが出でています。

4月つき以降いこうにクマに襲おそわれてけがをした人ひとは全国ぜんこく5つの道県どうけんで少すくなくとも10人にんに上のぼっています。下したの地図ちずにまとめました。

クマは例年れいねん、3月つきから5月つきくらいに冬眠とうみんから目覚めざめて活動かつどうを始はじめますが、環境省かんきょうしょうがまとめたところ、4月つきは▼岩手いわて県けん▼石川いしかわ県けん▼奈良なら県けんの３みっつの県けんであわせて3人にんがクマに襲おそわれるなどしてけがをしたということです。

また、NHKが各かく地域ちいき局きょくの取材しゅざいをもとに集計しゅうけいしたところ、５月ごがつに入はいってからこれまでに▼秋田あきた県けんで5人にん、▼北海道ほっかいどう▼岩手いわて県けんでそれぞれ1人にん、あわせて7人にんがけがをしていて、4月つき以降いこうの被害ひがいは全国ぜんこく5つの道県どうけんで合あわせて10人にんに上のぼっています。

このほか秋田あきた県けん鹿角かづの市しで山林さんりんで遺体いたいで見みつかった男性だんせい1人にんがクマに襲おそわれた可能かのう性せいもあるとして、警察けいさつが慎重しんちょうに調しらべています。

目撃もくげき・出没しゅつぼつ 例年れいねんより多おおい地域ちいきも

「人ひとへの被害ひがい」は去年きょねんは5月つき末まつまでに22人にんに上のぼっていたので、去年きょねんと比くらべると少すくない水準すいじゅんですが、一方いっぽうでクマの「目撃もくげき」や「出没しゅつぼつ」の件数けんすうが例年れいねんより多おおくなっている地域ちいきもあります。

秋田あきた県けんでは4月つき、寄よせられたクマの目撃もくげき情報じょうほうが過去かこ5年間ねんかんの4月つきの平均へいきんと比くらべて1.5倍ばい以上いじょうになったほか、青森あおもり県けんでも先月せんげつ、クマの出没しゅつぼつが確認かくにんされた件数けんすうが例年れいねんの2倍ばい近ちかくとなり、過去かこ最多さいただった去年きょねんに次つぐ多おおさになっているということです。

東北とうほくや北海道ほっかいどう、北陸ほくりくの一部いちぶでは道みちや県けんが「注意報ちゅういほう」や「警報けいほう」などを出だして注意ちゅういや対策たいさくを呼よびかけています。

専門せんもん家かに聞きく「ことしの被害ひがい・目撃もくげき状況じょうきょうどう見みる？」

クマの生態せいたいに詳くわしい東京とうきょう農工のうこう大学だいがく大学院だいがくいんの小池こいけ伸介しんすけ教授きょうじゅに聞ききました。

「去年きょねん、多おおくのクマが人里ひとざとに出没しゅつぼつして社会しゃかい問題もんだいとなり、駆除くじょが進すすめられた結果けっか、これまでのところ比較ひかく的てき、人的じんてき被害ひがいは少すくなくなっているのではないか。一方いっぽうで、去年きょねんの状況じょうきょうを受うけてクマへの関心かんしんが高たかまり目撃もくげき件数けんすうが増ふえている可能かのう性せいがある」

そのうえで、この時期じきのクマの生態せいたいについて、

「この時期じきは、親しんグマから子離こばなれした若わかいクマが生息せいそく場所ばしょを探さがして動き回うごきまわることがあり、人ひとと鉢合はちあわせになるおそれがある」と指摘してきします。

山菜さんさい採とりなどのために山やまに入はいるときのほか、人ひとの生活せいかつエリアでもクマがいそうな茂しげみなどに近ちかづくときには、鈴すずや笛ふえなど音おとが鳴なるものを身みにつけるなど対策たいさくをとるよう呼よびかけています。

去年きょねんは“大量たいりょう出没しゅつぼつ年ねん”、ことしはどうなる？対策たいさくは

昨年度さくねんど、クマに襲おそわれてけがをするなどの被害ひがいにあった人ひとの数かずは、全国ぜんこくであわせて219人にんにのぼり、国くにが統計とうけいを取とり始はじめて以降いこう、過去かこ最悪さいあくとなりました。

さらに、出没しゅつぼつ件数けんすうは、北海道ほっかいどうや九州きゅうしゅう・沖縄おきなわをのぞいてあわせて2万まん4339件けんとこの15年間ねんかんでもっとも多おおく、過去かこに例れいをみない“大量たいりょう出没しゅつぼつ”の年としとなりました。

今年度こんねんどはどうなるのか。小池こいけ教授きょうじゅは次つぎのように指摘してきしています。

「去年きょねんのようにクマの餌えさとなるドングリなどが不作ふさくになれば、ことしもまた人ひとの住すむ地域ちいきに近ちかい場所ばしょでクマの出没しゅつぼつが増ふえると想定そうていされる。去年きょねんの秋あきに人里ひとざとに出でてきてカキやクリなどの食べ物たべものにありついたクマはその経験けいけんを覚おぼえている。たとえ山やまの中なかに食べ物たべものがあってもまた人里ひとざとに出でてくるおそれがあり、警戒けいかいが必要ひつようだ」

そのうえで、例年れいねん、クマの被害ひがいが1年間ねんかんで最もっとも多おおくなる秋あきごろに向むけて、こう呼よびかけています。

「クマが出でた地域ちいきでは何なにが誘因ゆういん物ぶつになったのか、どんな経路けいろをたどって人ひとの近ちかくまでやってきたのか去年きょねんの教訓きょうくんを踏ふまえて対策たいさくを検証けんしょうする必要ひつようがある。クマが生息せいそくする都道とどう府県ふけんであれば、どの地域ちいきであっても去年きょねんの秋田あきた県けんのような深刻しんこくな被害ひがいが出でてくるおそれがあり、自分じぶんごととして考かんがえてもらいたい」