将棋しょうぎ「名人めいじん戦せん」第だい5局きょく 藤井ふじい八はち冠かんが豊島としま九きゅう段だんに勝利しょうりし初はつ防衛ぼうえい

「名人めいじん戦せん」七なな番ばん勝負しょうぶは去年きょねん、最年少さいねんしょうで「名人めいじん」のタイトルを獲得かくとくした藤井ふじい八はち冠かんが、ここまで3勝しょう1敗はいと初はじめての防衛ぼうえいまであと1勝しょうに迫せまっていました。

第だい5局きょくは26日にちから北海道ほっかいどう紋別もんべつ市しで始はじまり、2日にち目めの27日にちは、先手せんての藤井ふじい八はち冠かんが26日にちの対局たいきょく終了しゅうりょう時じに次つぎの1手てを書かいた「封じ手ふうじて」を立会たちあい人じんが開封かいふうして対局たいきょくが再開さいかいしました。

対局たいきょくは藤井ふじい八はち冠かんが自陣じじんの守もりを固かためたのち攻せめを仕掛しかけると、豊島としま九きゅう段だんも応おうじて激はげしい攻せめ合あいになります。

しかし、藤井ふじい八はち冠かんが持ち駒もちごまの角かくや銀ぎんを活用かつようするなどして徐々じょじょに豊島としま九きゅう段だんの守もりを崩くずして玉たまを追い詰おいつめ、午後ごご7時じ49分ふんに豊島としま九きゅう段だんが99手てまでで投了とうりょうしました。

この結果けっか、藤井ふじい八はち冠かんが4勝しょう1敗はいで七なな番ばん勝負しょうぶを制せいして「名人めいじん」のタイトルを初はじめて防衛ぼうえいし、八はち冠かん独占どくせんを維持いじしました。

藤井ふじい八はち冠かんは、ことしすでに「王将おうしょう」と「棋王きおう」のタイトルも防衛ぼうえいしていますが、現在げんざい並行へいこうして行おこなわれている「叡あきら王おう戦せん」五ご番ばん勝負しょうぶでは、挑戦ちょうせん者しゃの伊藤いとう匠たくみ七なな段だん（21）にここまで1勝しょう2敗はいと、防衛ぼうえいに向むけて1敗はいもできない「角番かどばん」に追い込おいこまれています。

次つぎのタイトル戦せん「叡あきら王おう戦せん」の第だい4局きょくは今月こんげつ31日にちに千葉ちば県けん柏かしわ市しで行おこなわれます。

藤井ふじい八はち冠かん「防衛ぼうえいという結果けっか出だせてよかった」

勝利しょうりした藤井ふじい聡さとし太たい八はち冠かんは、豊島としま将之まさゆき九きゅう段だんが飛車ひしゃを横よこに移動いどうさせる「振ふり飛車ひしゃ」の戦型せんけいをとったことについて「考かんがえられる作戦さくせんの1つかなと事前じぜんに思おもっていました。ずっと手てが広ひろかったので、急所きゅうしょがつかめないまま指さしていたところが多おおかったと思おもいます。終盤しゅうばんはどういう寄よせ方かたがいいか分わかっていませんでしたが、金きんを打うって攻せめがつながりそうな形かたちかと思おもいました」と話はなしていました。

そのうえで、初はじめての「名人めいじん」防衛ぼうえいについて「いろいろ反省はんせい点てんもあったと思おもいますが、防衛ぼうえいという結果けっかを出だせてよかったと思おもいます。駒こま組くみの段階だんかいから1手て1手て、手探てさぐりになるような将棋しょうぎが多おおかったですが、形勢けいせい判断はんだんや構想こうそうの立たて方かたに課題かだいが残のこりました。これからも対局たいきょくが続つづくので引き続ひきつづき精せいいっぱい頑張がんばりたいと思おもいます」と話はなしていました。

一方いっぽう、敗やぶれた豊島としま九きゅう段だんは「端はじを突ついて受うけられなかったら『振ふり飛車ひしゃ』にしようと思おもっていました。封じ手ふうじての前まえのあたりで悪わるくなって、そのあとはかなりきつい展開てんかいでした。シリーズを通をとおして、序盤じょばんと中盤ちゅうばんで悪わるくなると厳きびしいと思おもっていましたが、全体ぜんたい的てきによくない手てが多おおかったと思おもいます。名人めいじん戦せんの経験けいけんを生いかして今後こんごも頑張がんばっていけたらと思おもいます」と話はなしていました。

藤井ふじい八はち冠かん「構想こうそう力りょくが問とわれる将棋しょうぎが続つづいた」

「名人めいじん」を初はじめて防衛ぼうえいした藤井ふじい聡さとし太たい八はち冠かんは、感想かんそう戦せんのあと、記者きしゃ会見かいけんに臨のぞみました。

この中なかで藤井ふじい八はち冠かんは豊島としま将之まさゆき九きゅう段だんとの対局たいきょくについて「これまでもタイトル戦せんで何なん度ども対戦たいせんしていますが、今回こんかいの名人めいじん戦せんは序盤じょばんから構想こうそう力りょくが問とわれる将棋しょうぎが続つづいたと感かんじています。内容ないようという点てんではうまくいかないところも多おおくて、前まえの名人めいじん戦せんと比くらべてそれほど手応てごたえがあったわけではないですが、いろいろな戦型せんけいや展開てんかいの将棋しょうぎを指さして、すごくいい経験けいけんができたと思おもっています」と振り返ふりかえりました。

そのうえで藤井ふじい八はち冠かんは今年度こんねんど、ここまでの対局たいきょくについて「対局たいきょくの結果けっかや内容ないようがよくなく、少すくなからずミスが出でてしまっている」と述のべたうえで、「要因よういんというのははっきり分わからないですが、少すこし読よみの精度せいどが下さがってしまっていることがあります。これまで経験けいけんの少すくない将棋しょうぎになることが多おおかったので、そういった局面きょくめんにおける判断はんだん力りょくがまだ十分じゅうぶんではないのかなと思おもいます」と話はなしていました。

そして、1勝しょう2敗はいとリードされて迎むかえる「叡あきら王おう戦せん」の第だい4局きょくについては「角番かどばんという状況じょうきょうで迎むかえることになりますが、臨のぞむ気持きもちや、やるべきことは今いままでと変かわらないと思おもっているので、対局たいきょくまでに準備じゅんびをして全力ぜんりょくを尽つくしたい」と意気込いきごみを語かたりました。