護衛ごえい艦かんの投稿とうこう動画どうが “実際じっさいに撮影さつえいの可能かのう性せいが高たかい” 防衛ぼうえい省しょう

自衛隊じえいたいの基地きちなどではドローンを許可きょかなく飛行ひこうさせることが法律ほうりつで禁止きんしされていて、防衛ぼうえい省しょうは、日本にっぽんの防衛ぼうえいに重大じゅうだいな支障ししょうを生しょうじかねないとして警備けいびに万全ばんぜんを期きすとしています。

ドローンで撮影さつえいしたとする映像えいぞう 中国ちゅうごくの動画どうが共有きょうゆうサイトに

ことし3月つき、神奈川かながわ県けんの海上かいじょう自衛隊じえいたい横須賀よこすか基地きちに停泊ていはくしていた護衛ごえい艦かんの「いずも」を、上空じょうくうからドローンで撮影さつえいしたとする映像えいぞうが中国ちゅうごくの動画どうが共有きょうゆうサイトなどに投稿とうこうされました。

防衛ぼうえい省しょうは、加工かこうやねつ造ねつぞうされた可能かのう性せいも含ふくめ、映像えいぞうの分析ぶんせきを進すすめてきましたが、9日にち、実際じっさいに撮影さつえいされたものである可能かのう性せいが高たかいとする分析ぶんせき結果けっかを公表こうひょうしました。

護衛ごえい艦かんの形状けいじょうや甲板かんぱんに記しるされた番号ばんごう、植生しょくせいなどの周辺しゅうへん環境かんきょうを総合そうごう的てきに分析ぶんせきした結果けっかだとしていて、横須賀よこすか基地きちの上空じょうくうを許可きょかなくドローンが飛行ひこうした可能かのう性せいがあるとしています。

実物じつぶつと投稿とうこうされた映像えいぞう 「いずも」の特徴とくちょうがほぼ一致いっち

「いずも」は海上かいじょう自衛隊じえいたいで最大さいだいの護衛ごえい艦かんで、戦闘せんとう機きの発着はっちゃくができるよう事実じじつ上じょう「空母くうぼ化か」される計画けいかくです。

実物じつぶつと投稿とうこうされた映像えいぞうを比くらべると特徴とくちょうがほぼ一致いっちしています。

特徴とくちょうの1つは甲板かんぱんの左側ひだりがわにある5か所かしょのヘリコプターの発着はっちゃくスポットです。

投稿とうこうされた映像えいぞうでは、甲板かんぱんの左側ひだりがわにスポットを示しめす白線はくせんの目印めじるしが5つあるのが確認かくにんできます。

また、「いずも」は戦闘せんとう機きやヘリコプターが発着はっちゃくできる場所ばしょを確保かくほするため、艦橋かんきょうが右側みぎがわに設置せっちされているのが特徴とくちょうで、投稿とうこうされた映像えいぞうでも艦橋かんきょうが右側みぎがわにあります。

一方いっぽう、一致いっちしていないのが甲板かんぱんの後部こうぶに記しるされた数字すうじです。

海上かいじょう自衛隊じえいたいによりますと、実物じつぶつの「いずも」では、艦艇かんていの番号ばんごうを示しめす「83」という数字すうじが記しるされています。

これに対にたいし、投稿とうこうされた映像えいぞうでは「8」は見みえますが「3」は確認かくにんできません。

海上かいじょう自衛隊じえいたいによりますと、「いずも」の甲板かんぱん上じょうの番号ばんごうは目立めだたなくさせるため、2021年ねんまでに灰色はいいろの塗料とりょうで塗ぬりつぶしたということですが、完全かんぜんには消きえておらず、うっすらと見みえる状態じょうたいだということです。

防衛ぼうえい省しょうは、投稿とうこうされた映像えいぞうでは「3」の数字すうじが見みえないことについて「光ひかりの反射はんしゃや撮影さつえいの角度かくどなど、さまざまな要因よういんで一部いちぶしか見みえないということもある。そうしたことも丁寧ていねいに検証けんしょうした結果けっか、不ふ自然しぜんさは基本きほん的てきにはないと判断はんだんした」としたうえで、総合そうごう的てきな分析ぶんせきの結果けっか、実際じっさいに撮影さつえいされたものである可能かのう性せいが高たかいとしています。

防衛ぼうえい省しょう “日本にっぽんの防衛ぼうえいに重大じゅうだいな支障ししょうも 警備けいびに万全ばんぜん期きす”

自衛隊じえいたいの基地きちや周辺しゅうへんではドローンを許可きょかなく飛行ひこうさせることが法律ほうりつで禁止きんしされていて、防衛ぼうえい省しょうは、ドローンによって危害きがいが加くわえられた場合ばあい、日本にっぽんの防衛ぼうえいに重大じゅうだいな支障ししょうを生しょうじかねないとして、今回こんかいの分析ぶんせき結果けっかを極きわめて深刻しんこくに受け止うけとめているとしています。

防衛ぼうえい省しょうは今回こんかい、ドローンの飛行ひこうを探知たんちしていたかについては、警備けいびにかかわる能力のうりょくを明あきらかにするおそれがあるため答こたえられないとしたうえで、ドローンを探知たんちするより能力のうりょくの高たかい装置そうちを早期そうきに導入どうにゅうするなどして警備けいびに万全ばんぜんを期きすとしています。

投稿とうこうした人物じんぶつ “映像えいぞうは本物ほんもの”

海上かいじょう自衛隊じえいたい横須賀よこすか基地きちに所属しょぞくする護衛ごえい艦かんの「いずも」をドローンで撮影さつえいしたとみられる映像えいぞうは、3月つき下旬げじゅんに中国ちゅうごくの動画どうが共有きょうゆうサイト「bilibili」に公開こうかいされました。

映像えいぞうはその後そのご、Xにも転載てんさいされ「生成せいせいAIで作つくられたフェイクではないか」などと日本にっぽんでも注目ちゅうもくを集あつめました。

一方いっぽう、「bilibili」に投稿とうこうした人物じんぶつは本人ほんにんのものとみられるXのアカウントでは、映像えいぞうが本物ほんものであると主張しゅちょう。

「偽物にせものだと思おもっている方ほうへ」という言葉ことばとともに、ドローンの飛行ひこう経路けいろとみられる画像がぞうや、別べつの角度かくどから「いずも」を空そら撮うつしたような複数ふくすうの画像がぞうを公開こうかいしました。

その飛行ひこう経路けいろでは、ドローンが海上かいじょう自衛隊じえいたい横須賀よこすか基地きちの北東ほくとうの対岸たいがん方面ほうめんからやってきて、停泊ていはくしていた「いずも」の手前てまえで進路しんろを変かえ、上空じょうくうを通過つうかしているように見みえます。

また、対岸たいがん方面ほうめんにはアメリカ海軍かいぐんの横須賀よこすか基地きちがありますが、ここを拠点きょてんとする原子力げんしりょく空母くうぼ「ロナルド・レーガン」を空そらから撮影さつえいしたような、真偽しんぎ不明ふめいの画像がぞうもこのアカウントで複数ふくすう投稿とうこうされていました。

さらに、NHKがいずもの映像えいぞうについて「本物ほんものの可能かのう性せい」と伝つたえた8日にちには「日本にっぽん軍ぐんが気きづくまでに1か月かげつかかりました」として、新あらたに複数ふくすうの同様どうようの映像えいぞうや画像がぞうを公開こうかいしています。

このアカウントでは、映像えいぞうの撮影さつえい・公開こうかいの目的もくてきは触ふれられていませんが、中国ちゅうごく本土ほんどで使つかわれる簡体たい字じが多おおく用もちいられているほか、英語えいごやフランス語ふらんすご、日本にっぽん語ごなどでも投稿とうこうがあり、「私わたしは国外こくがいにいる」「安全あんぜんです。捕つかまっていない」「これは未来みらいの戦争せんそうだ」などとも投稿とうこうされています。

新あらたな映像えいぞうも投稿とうこう 米べい海軍かいぐんの原子力げんしりょく空母くうぼか

「いずも」の映像えいぞうが投稿とうこうされたXのアカウントからは、8日にち、別べつの艦艇かんていとみられる映像えいぞうが新あらたに投稿とうこうされました。

映像えいぞうでは、上空じょうくうからふかんする形かたちで大型おおがたの艦艇かんていが映うつっていて、艦橋かんきょう部分ぶぶんにはアメリカ海軍かいぐんの原子力げんしりょく空母くうぼ「ロナルド・レーガン」の番号ばんごうと同おなじ「76」という数字すうじが見みえます。

甲板かんぱんの中央ちゅうおう部分ぶぶんや艦橋かんきょうにあるレーダーの周辺しゅうへんは、緑色りょくしょくのネットのようなもので囲かこわれ、何なんらかの整備せいびが行おこなわれているように見みえるほか、甲板かんぱんの上うえを複数ふくすうの人ひとが歩あるいているような姿すがたも伺うかがえます。

横須賀よこすか市しによりますと、「ロナルド・レーガン」は補給ほきゅうや整備せいびなどを目的もくてきとして去年きょねん11月つきに横須賀よこすか基地きちに入港にゅうこうし、今月こんげつ5日にちに出港しゅっこうしたということです。

関係かんけい者しゃによりますと、防衛ぼうえい省しょうもこの映像えいぞうが投稿とうこうされたことを把握はあくしているということです。

重要じゅうよう施設しせつの上空じょうくうなど 許可きょかなくドローンの飛行ひこうを禁止きんし

ドローンは小型こがた無人むじん機き等とう飛行ひこう禁止きんし法ほうで、重要じゅうよう施設しせつとその周辺しゅうへんの上空じょうくうを許可きょかなく飛行ひこうすることが禁止きんしされています。

飛行ひこうする場合ばあいは、施設しせつ管理かんり者しゃなどの同意どういを得えて、都道とどう府県ふけんの公安こうあん委員いいん会かいなどへの通報つうほうが必要ひつようとなります。

飛行ひこう禁止きんしの対象たいしょう施設しせつは▽皇居こうきょや首相しゅしょう官邸かんてい、国会こっかい議事堂ぎじどうなどの重要じゅうよう施設しせつや、▽外国がいこく公館こうかん、▽空港くうこう、▽原子力げんしりょく事業じぎょう所しょ、▽防衛ぼうえい関係かんけい施設しせつとなっています。

このうち、防衛ぼうえい関係かんけい施設しせつは防衛ぼうえい大臣だいじんが指定していした自衛隊じえいたい施設しせつと在日ざいにちアメリカ軍ぐん施設しせつで、具体ぐたい的てきには基地きちや演習えんしゅう場じょう、射撃しゃげき場じょうなどです。

対象たいしょう施設しせつの敷地しきちや区域くいきの上空じょうくうが「レッド・ゾーン」、その周囲しゅういの半径はんけいおよそ300メートルが「イエロー・ゾーン」とされ、「レッド・ゾーン」を飛行ひこうした場合ばあいには1年ねん以下いかの懲役ちょうえきまたは50万まん円えん以下いかの罰金ばっきんが科かせられます。

また、「イエロー・ゾーン」では、警察けいさつなどの退去たいきょ命令めいれいなどに違反いはんした場合ばあいに1年ねん以下いかの懲役ちょうえきまたは50万まん円えん以下いかの罰金ばっきんが科かせられます。

5年ねん前まえには、広島ひろしま県けん呉くれ市しにある海上かいじょう自衛隊じえいたい呉くれ地方ちほう総監そうかん部ぶの上空じょうくうでドローンを許可きょかなく飛行ひこうさせたとして、50代だいの介護かいご職員しょくいんが書類しょるい送検そうけんされました。

違法いほうなドローンへの対処たいしょ方法ほうほうは

防衛ぼうえい省しょうによりますと、ドローンを探知たんちするためには、レーダーや光学こうがくセンサーを用もちいるほか、操縦そうじゅう者しゃとドローンの間まで交かわされる電波でんぱを検知けんちする方法ほうほうが一般いっぱん的てきだということです。

そのうえで、違法いほうなドローンへの対処たいしょ方法ほうほうとしては、飛行ひこうを妨害ぼうがいする電波でんぱを出だして強制きょうせい的てきに着陸ちゃくりくさせる方法ほうほうや、網あみを投射とうしゃして捕獲ほかくする方法ほうほうなどがあるとしています。

防衛ぼうえい省しょうは今回こんかいの問題もんだいを受うけて、ドローンを探知たんちするより能力のうりょくの高たかい装置そうちを早期そうきに導入どうにゅうするほか、違法いほうな飛行ひこうを確認かくにんした場合ばあいには電波でんぱ妨害ぼうがいなどによる強制きょうせい着陸ちゃくりくを実施じっしするなど、法令ほうれいの範囲はんい内ないで速すみやかな対処たいしょを徹底てっていするとしています。

自民党じみんとう 国防こくぼう関係かんけいの合同ごうどう会議かいぎで基地きち警備けいびに厳きびしい意見いけん

9日にち開ひらかれた自民党じみんとうの国防こくぼう関係かんけいの合同ごうどう会議かいぎでは、出席しゅっせき者しゃから基地きちの警備けいびについて厳きびしい意見いけんが出だされました。

小野寺おのでら安全あんぜん保障ほしょう調査ちょうさ会長かいちょうは「防衛ぼうえい省しょうも含ふくめて、しっかりこの地域ちいきを監視かんししていたはずだと思おもうが、それにもかかわらず、このような写真しゃしんを撮とられてしまったことについて、しっかりと検証けんしょうして反省はんせいし、備そなえる大事だいじなテーマだ。安全あんぜん保障ほしょう上じょうの重要じゅうような問題もんだいだとぜひ重おもく受け止うけとめて、しっかり対処たいしょしてほしい」と述のべました。

また、出席しゅっせきした議員ぎいんからは「さまざまな技術ぎじゅつを導入どうにゅうして、ドローンの侵入しんにゅうを防ふせぐ措置そちを講こうじるべきだ」などといった意見いけんが出だされました。

一方いっぽう、防衛ぼうえい省しょうの担当たんとう者しゃからは、これまで基地きち周辺しゅうへんの不審ふしん者しゃは発見はっけんした自衛じえい官かんが警察けいさつに通報つうほうし、警察けいさつが対処たいしょしていましたが、今後こんごは自衛隊じえいたいが直接ちょくせつ対処たいしょする対策たいさく案あんが示しめされたということです。

専門せんもん家か「防衛ぼうえい省しょうは非常ひじょうに深刻しんこくに受け止うけとめるべき問題もんだい」

安全あんぜん保障ほしょうが専門せんもんで、ドローンの運用うんようなどに詳くわしい拓殖たくしょく大学だいがくの佐藤さとう丙午ひのえうま教授きょうじゅは「アメリカ軍ぐん基地きちが近接きんせつする自衛隊じえいたいの重要じゅうよう施設しせつの中なかにドローンの侵入しんにゅうを許ゆるして、重要じゅうような護衛ごえい艦かんを撮影さつえいされたことは極きわめて大おおきなショックだ。爆弾ばくだんなどを搭載とうさいして攻撃こうげきを行おこなうことも可能かのうだということを意味いみするので、防衛ぼうえい省しょうは非常ひじょうに深刻しんこくに受け止うけとめるべき問題もんだいだ」と指摘してきしています。

対策たいさくについては「各国かっこくにとってもドローンによる情報じょうほう探知たんちをどのように妨害ぼうがいしていくが大おおきな課題かだいとなっていて、多おおくの場合ばあい、部隊ぶたい単位たんいでドローンの飛行ひこうを妨害ぼうがいする電波でんぱを出だすなどの方法ほうほうがとられている。ドローンの探知たんちに人的じんてき資源しげんを割さくことはあまり効率こうりつ的てきではないので、機械きかい的てきな形かたちで対応たいおうするのが合理ごうり的てきな解決かいけつ策さくだろう。ドローンの接近せっきんがあった場合ばあいに警戒けいかい情報じょうほうを早期そうきに知しることができるなどの対応たいおうが今後こんご求もとめられていくと思おもう」と指摘してきしています。

そのうえで「技術ぎじゅつの変化へんかに伴ともなう安全あんぜん保障ほしょう上じょうの対応たいおうの変化へんかは常つねに発生はっせいするものなので、自衛隊じえいたいとしても技術ぎじゅつの動向どうこうの変動へんどうを細こまかくモニターして、それに対にたいしてどう効果こうか的てきかつ効率こうりつ的てきに対処たいしょしていくべきなのか、継続けいぞく的てきに検討けんとうしてもらいたい」話はなしています。