日本新聞: 脳死“診断” 可能性ある患者の約3割にとどまる厚労省調査

脳死のうし“診断しんだん” 可能かのう性せいある患者かんじゃの約やく3割わりにとどまる厚あつ労ろう省しょう調査ちょうさ

Jul 14, 2024 06:07 0

Furigana

脳死のうし状態じょうたいからの臓器ぞうき提供ていきょうを行おこなうためには医師いしが「脳死のうし」と診断しんだんした上うえで家族かぞくの同意どういを得えて、法的ほうてきな「脳死のうし判定はんてい」を行おこなう必要ひつようがありますが、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの研究けんきゅう班はんが全国ぜんこくおよそ900の医療いりょう機関きかんを対象たいしょうに調査ちょうさしたところ、実際じっさいに「脳死のうし」の診断しんだんが行おこなわれたのは脳死のうしの可能かのう性せいがある患者かんじゃのおよそ3割わりにとどまっていたことがわかりました。研究けんきゅう班はんは「脳死のうしの診断しんだんは治療ちりょうの継続けいぞくを判断はんだんするために重要じゅうようで、ひいては臓器ぞうき提供ていきょうの意思いしを尊重そんちょうすることにもつながる。診断しんだんに伴ともなう検査けんさなど、医師いしの負担ふたんを軽減けいげんし、適切てきせつな診断しんだんを行おこなうことが必要ひつようだ」と指摘してきしています。

脳死のうし状態じょうたいの患者かんじゃから臓器ぞうき提供ていきょうを実施じっしする前まえには家族かぞくの同意どういを得えて法的ほうてきな「脳死のうし判定はんてい」を行おこなう必要ひつようがありますが、判定はんていに進すすむ前まえに医師いしが「脳死のうし」と診断しんだんした上うえで家族かぞくに説明せつめいを行おこなうことが求もとめられています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの研究けんきゅう班はんは、意識いしきや呼吸こきゅうがなく瞳孔どうこうが開ひらいているほか、適切てきせつな治療ちりょうをしても病状びょうじょうの回復かいふくが見みられないなど脳死のうしの可能かのう性せいがある状態じょうたいから死亡しぼうした患者かんじゃのうち、実際じっさいに脳死のうしと診断しんだんされた患者かんじゃの割合わりあいを調しらべるため全国ぜんこくの大学だいがく病院びょういんや救命きゅうめい救急きゅうきゅうセンターなど895施設しせつを対象たいしょうにアンケート調査ちょうさを行おこない、601施設しせつから回答かいとうを得えました。

その結果けっか、2022年度ねんどの1年間ねんかんで脳死のうしの可能かのう性せいがある状態じょうたいから死亡しぼうした患者かんじゃは2978人にんいたのに対にたいし、実際じっさいに診断しんだんが行おこなわれたのは923人にんで、およそ3割わりにとどまりました。

このうち、家族かぞくに提供ていきょうの説明せつめいが行おこなわれたのは761人にんで、最終さいしゅう的てきに臓器ぞうきを提供ていきょうしたのは105人にんだったということです。

研究けんきゅう班はんの代表だいひょうで日本にっぽん医科いか大学だいがく付属ふぞく病院びょういん高度こうど救命きゅうめい救急きゅうきゅうセンターの横堀よこぼり將司つかさ部長ぶちょうは「診断しんだんに伴ともなう検査けんさや家族かぞくへの説明せつめいなど、医師いしの負担ふたんが大おおきく、脳死のうしとされうる状態じょうたいの患者かんじゃを積極せっきょく的てきに診断しんだんしないケースがあるのではないか」と指摘してきした上うえで「脳死のうしの診断しんだんは治療ちりょうの継続けいぞくを判断はんだんするために重要じゅうようなことだが、ひいては患者かんじゃや家族かぞくの臓器ぞうき提供ていきょうの意思いしを尊重そんちょうすることにもつながる。医師いしの負担ふたんを軽減けいげんして、適切てきせつな診断しんだんを行おこなうことが必要ひつようだ」と話はなしています。