石川県輪島市の中心部にある「朝市通り」をNHKがけさ7時すぎにドローンで撮影しました。通り沿いにはいまも黒く焦げた建物が並んでいます。
被災地した各地のいまをお伝えします。
《珠洲市》岸壁に漁船乗り上げたまま
石川県珠洲市をNHKが午前10時前にドローンで上空から撮影しました。
市の南部にある鵜飼漁港では今も岸壁に漁船が乗り上げたままとなっているほか、転覆している船もあります。この漁港では気象庁の現地調査で、津波の高さが2.7メートルに達したとみられています。
漁港の北側では海岸沿いの住宅が大きな被害を受けていて、壊れた建物の一部が周囲に散乱しています。
また、漁港の沖合にある石川県を代表する景勝地「見附島」は、島の東側が大きく崩落しているのがわかります。
《輪島市》 “長いようで短い1か月”
火災で大きな被害を受けた「朝市通り」では、風が強く吹く冷え込んだ朝を迎えました。
この通りや周辺では大規模な火災が発生し、国土交通省国土技術政策総合研究所と建築研究所によりますと、5万800平方メートルが消失したと推定されています。
地震と火災の直後からほとんど様子は変わっておらず、鉄骨がむき出しになった建物などはそのままになっていますが、亡くなった人を悼む白い花束が手向けられていました。
一部はブルーシートで覆われていますが茶色がかった焼け跡が目立ちます。
通りから離れた場所でも大きな被害が出ていて建物が焼け落ち基礎だけが残っているほかトタンや車がそのままになっているところもあります。
近くにある自宅が壊れ、金沢市の避難先と往復して暮らしているという67歳の男性は「これからどうやっていくか必死に考えている状況で、先のことをゆっくり考える余裕はありませんでした。町並みがこのような状態になってとても悲しく、どうやって復興していくのかが課題です」と話していました。
また、近くに住む65歳の男性は「長いようで短い1か月でした。歩いていても今までと街の景色が変わっていてさみしいです。生活再建の見通しもたたず不安ですが、毎日を生きていくしかないです」と話していました。
《珠洲市》 発生時刻で止まった時計
地震で被害を受けた、けさの珠洲市では、地震があった時刻の午後4時10分すぎで止まってしまったとみられる時計がありました。
周辺は壊れた家屋などのがれきが散乱したままの状態となっています。
“片づける気にもなれず”
101人が亡くなり、4人の安否が分かっていない石川県珠洲市にある飯田港の近くでは、けさも車が乗り上げたり、家が大きく崩れたりしている様子が見られました。
犬の散歩をしていた68歳の女性は、「地震が起きた時も海の近くで犬の散歩をしていて無我夢中で近くの高校まで避難しました。地震の発生以来、時間の感覚が分からなくなっていて、きょうまであっという間だったという気持ちと長かったなという気持ちがあります。自宅の1階は無事でしたが、2階は物が散乱して片づける気にもなれず、これからどうやって生きていこうか悩んでいます。町の面影がなくなり、近所の人も2次避難でいなくなって、悲しいような、むなしいような、何とも言えない気持ちです」と話していました。
《七尾市》 市場で1か月遅れの初競り
七尾市の公設地方卸売市場ではことしの初競りが行われ、競り人たちの掛け声が飛び交う中、県内で水揚げされたブリやなまこなどが次々と競り落とされていました。
七尾市の公設地方卸売市場は能登半島で唯一の公設の卸売市場で、初競りを先月4日に行う予定でしたが、地震によって休業を余儀なくされていました。
市場では地震の揺れや液状化現象で建物の入り口に段差ができたり駐車場に亀裂が入ったりして車の通行が難しくなったほか、魚を洗うための海水が通る配水管が壊れるなどの被害が出ました。
その後、被害が出た場所を応急的に補修し、建物が仮復旧したことなどから、けさから市場を再開できたということです。
競りに参加した業者は「市場が再開してよかったし、魚も鮮度がいい状態だ。ただ、断水で魚がさばけないことで魚を買いに来ている人も半分くらいになっているようだ」と話していました。
「七尾魚市場」営業第一部の細口守部長は「なんとか1か月で再開できたことはうれしく思っています。もっともっと水揚げを増やして魚を供給していきたい」と話していました。
《富山 氷見》立ち入り「危険」の住宅も
震度5強の揺れを観測し被害を受けた住宅が900棟余りにのぼる富山県氷見市の被災地では、いまも壊れた住宅が残されています。
氷見市中心部の栄町では、住宅の「応急危険度判定」で立ち入るのは「危険」と判定され、赤い紙が貼られた住宅が複数あります。こうした住宅には、1階の壊れた部分にブルーシートが貼られて、そのまま残されているものもあります。
また、道路脇には土砂が噴き出した液状化とみられる跡が残っています。
氷見市役所によりますと、今回の地震で被害を受けた市内の住宅は、1月31日までに全壊が89棟、半壊が140棟など、あわせて943棟にのぼるということです。
石材店を経営している70代の男性は「地震の後からは何をしていたのかはっきり覚えていないが、壊れた多数の墓石の後片付けを依頼されて今はくたびれている。壊れた自宅の窓や戸は開きっぱなしのままで、家財も散乱したままだが片付ける気持ちにならない。自宅を修理するのか再建するのかはまだ決めておらず、なるようにしかならないと思っている」と話していました。