雑誌ざっし発売はつばい前まえに漫画まんがをネット投稿とうこう “早はやバレ”行為こうい疑うたがいで2人にん逮捕たいほ

逮捕たいほされたのは、いずれも外国がいこく籍せきで、東京とうきょう 北きた区くにある「Japan Deal World合同ごうどう会社かいしゃ」を経営けいえいするムサ・サミル容疑ようぎ者しゃ（36）ら2人にんで、この法人ほうじんも著作ちょさく権けん法ほう違反いはんの疑うたがいで検挙けんきょされました。

熊本くまもと県けん警察けいさつ本部ほんぶなどの調しらべによりますと、2人にんは、▽去年きょねん3月つき、集英社しゅうえいしゃの雑誌ざっし「週刊しゅうかん少年ジャンプしょうねんじゃんぷ」で連載れんさいされている人気にんき漫画まんがの画像がぞうデータを発売はつばいの数すう日にち前まえに無断むだんでインターネット上じょうに投稿とうこうし閲覧えつらんできるようにしたほか、▽先月せんげつ31日にちには、発売はつばいされる5日にち前まえの漫画まんがの画像がぞうをスマートフォンで撮影さつえいし複製ふくせいしたとして、著作ちょさく権けん法ほう違反いはんの疑うたがいがもたれています。

こうした行為こういはいわゆる「早はやバレ」と呼よばれ、これまでの調しらべによりますと、2人にんは雑誌ざっしを発売はつばい日びより前まえに都内とないの店舗てんぽで入手にゅうしゅしていたということです。

警察けいさつは、ほかにも関かかわっていた人物じんぶつがいるとみて、運営うんえいの実態じったいを詳くわしく調しらべることにしています。

警察けいさつによりますと、調しらべに対にたいし2人にんは「画像がぞうは公開こうかいしていない」などと容疑ようぎを一部いちぶ否認ひにんしているということです。

集英社しゅうえいしゃ「今後こんごの被害ひがい抑止よくしにつながることを期待きたい」

被害ひがいを受うけた集英社しゅうえいしゃは、容疑ようぎ者しゃが逮捕たいほされたことについて「警察けいさつによる『早はやバレ』のルートの解明かいめいが、今後こんごの被害ひがい抑止よくしにつながることを期待きたいしています。これからも、著者ちょしゃが心血しんけつを注そそいで作り上つくりあげた作品さくひんとその権利けんりを守まもり、読者どくしゃの皆みなさまに漫画まんがを適正てきせいな形かたちで楽たのしんでいただくことができるよう、あらゆる対策たいさくを積極せっきょく的てきに講こうじてまいります」とコメントしています。

“早はやバレ”とは

漫画まんが雑誌ざっしが発売はつばいされる前まえに、作品さくひんの画像がぞうをインターネット上じょうに投稿とうこうし公開こうかいする、いわゆる「早はやバレ」と呼よばれる行為こうい。

警察けいさつや被害ひがいを受うけた出版しゅっぱん社しゃによりますと、「早はやバレ」によって投稿とうこうされた作品さくひんの画像がぞうの多おおくは、雑誌ざっしのデジタル版ばんの電子でんしデータではなく、誌面しめんを撮影さつえいしたり、スキャナーなどで読み取よみとったりしたものだとみられるということです。

なぜ、発売はつばい前まえの誌面しめんを撮影さつえいすることができるのか。

雑誌ざっしが全国ぜんこくに流通りゅうつうし、販売はんばいされるまでの流ながれをみると、出版しゅっぱん社しゃは雑誌ざっしを正規せいきの発売はつばい日びに全国ぜんこくの書店しょてんで一斉いっせいに販売はんばいしてもらうため、発売はつばい日びよりも前まえに書店しょてんに雑誌ざっしを届とどけています。

この際さい、出版しゅっぱん社しゃ側がわは正規せいきの発売はつばい日びに販売はんばいを始はじめてもらうよう書店しょてん側がわに要請ようせいしているということですが、雑誌ざっしを取り扱とりあつかう店舗てんぽのなかには、このルールを守まもらず、正規せいきの発売はつばい日びより前まえに販売はんばいしているケースもあるということです。

読み取よみとった画像がぞうに修正しゅうせいを加くわえることで、紙かみの雑誌ざっしを読み取よみとったものではないように加工かこうされたケースもあったということですが、出版しゅっぱん社しゃ側がわが確認かくにんしたところ、出版しゅっぱん社しゃから電子でんしデータなどが流出りゅうしゅつしたものではなかったということです。

出版しゅっぱん社しゃ「業界ぎょうかいの仕組しくみを揺ゆるがしかねない行為こうい」

被害ひがいを受うけた大手おおて出版しゅっぱん社しゃによりますと、こうした「早はやバレ」によって画像がぞうがSNSに投稿とうこうされた場合ばあい、利用りよう者しゃの興味きょうみに基もとづいた投稿とうこうが「おすすめ」などとして表示ひょうじされるSNSの性質せいしつ上じょう、好すきな漫画まんがの「早はやバレ」の投稿とうこうが勝手かってに表示ひょうじされてしまい、利用りよう者しゃが意図いとせず続つづきの展開てんかいを読よまされるケースがあるということです。

出版しゅっぱん社しゃには読者どくしゃから「定期ていき購読こうどくをやめる」などといったクレームが、1週間しゅうかん近ちかくで1000件けんを超こえたこともあるということです。

集英社しゅうえいしゃ知的ちてき財産ざいさん課かの冨とみ重実しげざね也課長かちょうは「SNSの運営うんえい側がわに削除さくじょ要請ようせいを行おこない、画像がぞうを消けしてもらうといった対応たいおうを取とっていますが、要請ようせいする前まえに投稿とうこう主ぬしが画像がぞうを削除さくじょするなどして、アカウントの停止ていしや凍結とうけつを逃のがれることも多おおく、対応たいおうが追おいついていない」と話はなしています。

そのうえで「作品さくひんがただで読よまれてしまうことで、作者さくしゃに正当せいとうな対価たいかが入はいらない状況じょうきょうになっている。漫画まんがの作品さくひんを勝手かってに撮影さつえいしてSNSに投稿とうこうすることは、著作ちょさく権けんの侵害しんがいにあたると考かんがえており、そうした行為こういはやめていただきたい。業界ぎょうかいの仕組しくみ自体じたいを揺ゆるがしかねない許ゆるしがたい行為こういだ」と話はなしています。