静岡しずおか 川勝かわかつ知事ちじ 辞職じしょくの意向いこう表明ひょうめい 不適切ふてきせつ発言はつげんの批判ひはん受うけた会見かいけんで

静岡しずおか県けんの川勝かわかつ知事ちじは1日にち、県けんの新人しんじん職員しょくいんに訓示くんじし、この中なかで、「県庁けんちょうというのは別べつのことばで言いうとシンクタンクです。毎日まいにち野菜やさいを売うったり、牛うしの世話せわをしたりするのとは違ちがって、基本きほん的てきに皆みなさんは知性ちせいが高たかい方かたたちです」などと発言はつげんしました。

この発言はつげんが、職業しょくぎょう差別さべつ発言はつげんとも捉とらえられかねないとして波紋はもんが広ひろがり県けんには、批判ひはんや苦情くじょうなどが殺到さっとうしました。

県けんの広ひろ聴広報こうほう課かによりますと、2日にち午後ごご5時じまでに電話でんわやメールなどで430件けん、寄よせられ、「発言はつげんは許ゆるせない」とか「農業のうぎょうをばかにしているのではないか」など、すべて否定ひてい的てきな意見いけんだということです。

記者きしゃ会見かいけんでの発言はつげん 詳くわしく

こうした状況じょうきょうを受うけて、川勝かわかつ知事ちじは2日にち午後ごご6時じから、静岡しずおか県庁けんちょうで記者きしゃ会見かいけんしました。

川勝かわかつ知事ちじは冒頭ぼうとうで、1日にちに発言はつげんした内容ないようの真意しんいを問とわれたのに対にたいし、「職業しょくぎょう差別さべつは皆無かいむです。職業しょくぎょうに貴きせんはないというのは基本きほん的てきな考え方かんがえかたです。新規しんき職員しょくいんとして入にゅう庁ちょうした方々かたがたへの歓迎かんげいと励はげましのことばが、何なにか問題もんだい発言はつげんがあったかのごとき状況じょうきょうになって　本当ほんとうに驚おどろいています」と述のべました。

そして、「公務員こうむいんとして人ひとの役に立やくにたつようなことを考かんがえなくてはいけない、しっかり知性ちせいを磨みがいてくださいという意味いみのことを言いった。県知事けんちじになり、どの職業しょくぎょうの方かたたちも大切たいせつで、県民けんみんすべてが大切たいせつであるということでやってきたので、もし不愉快ふゆかいな思おもいをされた方ほうがいれば誠まことに申し訳もうしわけなく思おもいます」と話はなしました。

さらに、発言はつげんの一部いちぶを切り取きりとられたという認識にんしきを繰り返くりかえし示しめし、「ジャーナリズムやメディアの質しつの低下ていかも感かんじるようになった。まことに残念ざんねんなことです」と述のべました。

そして最後さいごに、今後こんご、勘違かんちがいを生うむような表現ひょうげんをしないための対応たいおうについて問とわれると、川勝かわかつ知事ちじは「こういう風潮ふうちょうには憂うれいをもっています。どうしたらいいかなと思おもいよく考かんがえたが、ことし6月つきの議会ぎかいをもって職しょくを辞じそうと思おもう」と述のべ、来年らいねん7月つき4日にちまでの任期にんきの途中とちゅうで辞職じしょくする意向いこうを表明ひょうめいしました。

川勝かわかつ知事ちじは、これまでも　不適切ふてきせつな発言はつげんを繰り返くりかえしていました。

去年きょねん7月つきの県議会けんぎかいで不信任ふしんにん決議けつぎ案あんが否決ひけつされた後のちには、「今後こんご、不適切ふてきせつな言動げんどうがあったら辞やめる」と述のべていました。

川勝かわかつ知事ちじ リニア中央ちゅうおう新幹線しんかんせん巡めぐり国こくに反発はんぱつ 着工ちゃっこう認みとめない状況じょうきょう続つづく

川勝かわかつ知事ちじといえば、“夢ゆめの超ちょう特急とっきゅう”リニア中央ちゅうおう新幹線しんかんせんに異ことを唱となえる知事ちじとして知しられています。リニア中央ちゅうおう新幹線しんかんせんのトンネルが南みなみアルプスの地下ちか深ふかくで地元じもとでは「命いのちの水みず」とも呼よばれる大井おおい川がわの源流げんりゅうの下したを貫つらぬくように計画けいかくされていることから、2017年ねんに水みず資源しげんや自然しぜん環境かんきょうなどへの影響えいきょうを懸念けねんして着工ちゃっこうに異論いろんを唱となえ始はじめました。

その後そのごは静岡しずおか県内けんないでの着工ちゃっこうを認みとめず、静岡しずおか特産とくさんの茶ちゃの生産せいさん者しゃなど大井おおい川がわ流域りゅういきの人ひとたちの暮くらしを守まもり南みなみアルプスの環境かんきょうを保護ほごすると訴うったえ、県知事けんちじ選挙せんきょでは県民けんみんの圧倒的あっとうてきな支持しじを得えて、舌鋒ぜっぽう鋭するどく国くにやJR東海とうかいをへの反発はんぱつを繰り返くりかえしてきました。

JR東海とうかいや国土こくど交通こうつう省しょうは事態じたいの打開だかいを探さぐってきました。2020年ねん6月つきにはJR東海とうかいの当時とうじの金子かねこ社長しゃちょうが川勝かわかつ知事ちじと初はじめて会談かいだんし、十分じゅうぶんな対策たいさくを行おこなうとして理解りかいを求もとめましたが、川勝かわかつ知事ちじは「リニアに反対はんたいしているわけではない。しかし、水みずの問題もんだいについては、流域りゅういきの市町しちょうや静岡しずおか県民けんみん、井戸水いどみずに頼たよっている全国ぜんこくの方かたたちが同おなじ思おもいを持もっており、トンネルを取とるか、水みずを取とるかといったら、結果けっかは分わかっている」などと述のべていました。

国土こくど交通こうつう省しょうも有識者ゆうしきしゃ会議かいぎを設もうけ、去年きょねん12月つきまでにJR東海とうかいがとるべき水みず資源しげんや環境かんきょう保全ほぜんの対策たいさくをまとめましたが、この際さいも、川勝かわかつ知事ちじは今後こんごも議論ぎろんが必要ひつような課題かだいが残のこされていて遺憾いかんだという考かんがえを示しめしていました。

6年ねん以上いじょうにわたって静岡しずおかでの工事こうじに着手ちゃくしゅできない状況じょうきょうが続つづいているため、JR東海とうかいは先月せんげつ29日にち、目指めざしてきた2027年ねんの開業かいぎょうを断念だんねんしたと明あきらかにしています。

今後こんご、静岡しずおか県けん側がわのスタンスに変化へんかが出でるのかなどリニア中央ちゅうおう新幹線しんかんせんをめぐる動向どうこうが注目ちゅうもくされます。

JR東海とうかい “コメントする立場たちばにありません”

JR東海とうかいは「報道ほうどうは承知しょうちしているがコメントする立場たちばにありません」としています。

国土こくど交通こうつう省しょう関係かんけい者しゃ “事態じたいを注視ちゅうし”

国土こくど交通こうつう省しょう関係かんけい者しゃは事態じたいを注視ちゅうしするとし、状況じょうきょうを慎重しんちょうに見極みきわめる考かんがえです。

川勝かわかつ知事ちじのもと副ふく知事ちじ務つとめた静岡しずおか市長しちょう “コメント控ひかえる”

静岡しずおか市しの難波なんば喬司たかし市長しちょうは「本人ほんにんの政治せいじ家かとしての決断けつだんだと思おもうのでコメントは差し控さしひかえさせていただきます」とするコメントを出だしました。

静岡しずおか市民しみん “突然とつぜんでびっくり” “失言しつげんまたか”

静岡しずおか市しの60代だいの男性だんせいは「突然とつぜんのことでびっくりしました。どういう考かんがえで辞職じしょくを決断けつだんしたのか分わからないが知事ちじの置おかれた立場たちばは厳きびしかったと思おもう」と述のべました。知事ちじが職業しょくぎょう差別さべつとも捉とらえられかねない発言はつげんをしたことについては、「今回こんかいの発言はつげんに限かぎらず、いろんなところで失言しつげんが多おおかったのでまたかと思おもっていました」と話はなしていました。

静岡しずおか市しの60代だいの女性じょせいは「知事ちじの言葉ことばによってリニア中央ちゅうおう新幹線しんかんせんの工事こうじが遅おくれていたと思おもうので辞職じしょくの意向いこうの表明ひょうめいはよかったです。これを機会きかいに工事こうじが早はやく進すすめばいいと思おもいます」と話はなしていました。

川勝かわかつ平太へいた氏しとは

川勝かわかつ平太へいた氏しは、京都きょうと府ふ出身しゅっしんの75歳さい。

早稲田わせだ大学だいがく政治せいじ経済けいざい学部がくぶ教授きょうじゅや浜松はままつ市しにある静岡しずおか文化ぶんか芸術げいじゅつ大学だいがくの学長がくちょうなどを務つとめたあと、2009年ねんの静岡しずおか県知事けんちじ選挙せんきょで初はつ当選とうせんし、現在げんざい4期き目めです。

川勝かわかつ知事ちじは2021年ねん6月つきの県知事けんちじ選挙せんきょ期間きかん中ちゅうの集会しゅうかいで、みずからが学長がくちょうを務つとめていた大学だいがくの学生がくせいについて「8割わりぐらい女の子おんなのこなんです。11倍ばいの倍率ばいりつを通とおってくるんですから、皆みなきれいです」などと、女性じょせいの学力がくりょくと容姿ようしを結び付むすびつけるような発言はつげんをしていたことが明あきらかになり、その後そのご、謝罪しゃざいして発言はつげんを撤回てっかいしました。

また、この年としの10月つきの参議院さんぎいん補欠ほけつ選挙せんきょの応援おうえん演説えんぜつで、対立たいりつ候補こうほが御殿場ごてんば市長しちょうを務つとめていたことに関連かんれんし「あちらはコシヒカリしかない」などと発言はつげんしたことを受うけて、県議会けんぎかいで辞職じしょく勧告かんこく決議けつぎが可決かけつされ、川勝かわかつ知事ちじはその年としの12月つきの給料きゅうりょうとボーナスの合あわせて440万まん円えん余あまりを返上へんじょうする意向いこうを示しめしていました。

しかしその後そのご、給与きゅうよなどを返かえしていなかったことが明あきらかになり、去年きょねん7月つきには県議会けんぎかいで50年ねんぶりとなる不信任ふしんにん決議けつぎ案あんが出だされ1票ひょう差さで否決ひけつされる事態じたいにまで至いたりました。

川勝かわかつ知事ちじは、この月つきの定例ていれい会見かいけんで、自身じしんの不適切ふてきせつな発言はつげんがたびたび問題もんだい視しされることについて「私わたしの不徳ふとくのいたすところだ。常つねに公人こうじんの立場たちばでいる。今度こんど、迷惑めいわくをかければ辞職じしょくする」と述のべていました。