子こどもたちの心こころのケア 身近みぢかなあなたにしかできない4つのこと

子こどもの命いのちや権利けんりを守まもる活動かつどうをしているユニセフ＝国連こくれん児童じどう基金ききんは、「災害さいがい時じの子こどもの心こころのケア 4つのポイント」を示しめしました。

専門せんもん家かやボランティアではなく、ふだんから一番いちばん身近みぢかにいる大人おとなのあなたにしかできないことがあると呼よびかけています。

（国際こくさい部ぶ記者きしゃ 小島こじま明あきら）

子こどもの心こころのケア 4つのポイントとは？

「あらゆる自然しぜん災害さいがいで最もっとも困難こんなんな状況じょうきょうにおかれてしまうのは子こどもたち」ー

世界せかい各地かくちで子こどもたちのために活動かつどうを続つづけるユニセフは、日本にっぽんの被災ひさい地ちの子こどもたちの心こころの傷口きずぐちを少すこしでも小ちいさくしたいとの思おもいから、子こどもの心こころのケアの4つのポイントをまとめました。

1 「安心あんしん感かん」を与あたえる

2 「日常にちじょう」取り戻とりもどすことを助たすける

3 被災ひさい地ちの映像えいぞう繰り返くりかえし見みせないで

4 子こどもは自分じぶんで回復かいふくする力ちからを持もっている

1「安心あんしん感かん」を与あたえる

子こどもたちに寄り添よりそうことを大切たいせつにしてほしいと呼よびかけています。

いつもよりも少すこし意識いしきして、だといいます。

子こどもが不安ふあんがったときは訴うったえに耳みみを傾かたむけ、「いまはもう大丈夫だいじょうぶだよ」とか「みんなが守まもってあげるから大丈夫だいじょうぶだよ」と伝つたえながら、としています。

答こたえが分わからないときも、「分わからないけれど、様子ようすを見みてみようね」などと大人おとなの側がわがということです。

また、ことばを使つかったコミュニケーションができない子こどもにも同おなじように声こえをかけることで、表情ひょうじょうやしぐさが子こどもたちの安心あんしん感かんにつながるとしています。

2「日常にちじょう」取り戻とりもどすことを助たすける

どんなささいなことでもいいので、が子こどもたちを安心あんしんさせることにつながるとしています。

具体ぐたい的てきには食事しょくじや歯磨はみがき、着替きがえや睡眠すいみん時間じかん、それにをあげています。

特とくに遊あそびに関にかんしては、安全あんぜんが確保かくほできる場所ばしょであればどこであっても、おもちゃや遊あそびに使つかえるものを用意よういし、そうしたものがなければ、体からだを使つかいながら歌うたったり、指相撲ゆびずもうをしたりするなど、道具どうぐを使つかわない遊あそびも楽たのしさや、やすらぎにつながるということです。

3 被災ひさい地ちの映像えいぞう 繰り返くりかえし見みせないで

乳幼児にゅうようじは映像えいぞうや画像がぞうの伝つたえる事実じじつを十分じゅうぶんに把握はあくできず、大おおきな衝撃しょうげきを受うける可能かのう性せいがあるほか、過去かこのできごとを、いま起おこっているととらえてしまい、「同おなじようなことが自分じぶんの近ちかくでもすぐに起おきるのではないか」とか、「自分じぶんのせいでこの災害さいがいが起おこってしまったのではないか」と思おもってしまうことがあるということです。

また、自発じはつ的てきに情報じょうほうを得えることができるようになる小学しょうがく3年生ねんせいから4年生ねんせい以上いじょうの子こどもでも、コントロールできないほど感情かんじょう移入いにゅうしてしまうことがあり、注意ちゅういが必要ひつようです。

とアドバイスしています。

4 子こどもは自分じぶんで回復かいふくする力ちからを持もっている

一方いっぽう、も大事だいじだと指摘してきしています。

災害さいがいを経験けいけんしたり、被災ひさい地ちの映像えいぞうを繰り返くりかえし見みた子こどもの中なかには次つぎのような様子ようすがみられるといいます。

＜子こどもの変化へんか＞

・いつもより元気げんきがない

・イライラしたり、興奮こうふんしやすくなる

・好すきなことをしなくなる

・災害さいがいのことばかり気きにする

・怖こわい夢ゆめを見みたり、眠ねむれなくなる

・食事しょくじをとらない

・頭痛ずつうや腹痛はらいたなど体からだの不調ふちょうが現あらわれる

・学校がっこうなどに行いきたがらない

・家族かぞくと離はなれたがらず、甘あまえがちになる

こうした行動こうどうや様子ようすは、近ちかくにいる大人おとなにとっては「病気びょうきではないか」と不安ふあんになってしまいがちですが、ユニセフでは一時いちじ的てきなものであれば、自然しぜんで正常せいじょうなことだと説明せつめいしています。

子こどもが信頼しんらいできる身近みぢかな大人おとなに働はたらきかけて、だとしていて、大人おとなは一時いちじ的てきなものであれば見守みまもってほしいとしています。

ただ、数すう週間しゅうかん続つづくようであれば、専門せんもん家かの助たすけを求もとめるよう呼よびかけています。

「ごっこ遊あそび」も気持きもちの整理せいり方法ほうほう

また、子こどもが地震じしんや避難ひなんの絵えを描えがいたり、被災ひさいした様子ようすの「ごっこ遊あそび」をすることもあるそうですが、これも遊あそびを使つかって気持きもちを整理せいりしたり、表現ひょうげんしたりするために必要ひつようなことなのだそうです。

とアドバイスしています。

“安やすらぎ”が回復かいふく力りょく左右さゆうする

この4つのポイントの作成さくせいに関かかわった元もとユニセフ職員しょくいんで、臨床りんしょう心理しんり士しの本田ほんだ涼子りょうこさんは次つぎのように話はなしています。

本田ほんだ涼子りょうこさん

「子こどもたちの日常にちじょうが一変いっぺんしたこと、友達ともだちや先生せんせいといった今いままでの『つながり』が切きれてしまい、いつ再会さいかいできるか分わからないことは、被災ひさい地ちも世界せかい各地かくちの紛争ふんそうや災害さいがいの現場げんばも似にています」

子こどもたちは大人おとなが余裕よゆうがないことも気付きづいていて、その分ぶん、我慢がまんしてしまうこともあるといいます。

余裕よゆうがなく、話はなしを聞きいてあげられないときも、遮さえぎるのではなく、「今いまは聞きけないけど、夜よるご飯ごはんのあとに話はなしてね」などと具体ぐたい的てきに説明せつめいするなど、子こどもたちを尊重そんちょうしてほしいといいます。

そして、本田ほんださんは大変たいへんな状況じょうきょうの中なかでも、大人おとな同士どうしも「疲つかれているよね、休やすんでいてね」となどと声こえをかけあい、フォローしあうこと、自分じぶん自身じしんをケアすることを忘わすれないでほしいと訴うったえています。

そうしたやりとりの中なかから生うまれる小ちいさな余裕よゆうが、子こどもたちに安心あんしん感かんを与あたえることにつながるというのです。

世界せかいの紛争ふんそうの場ばで見みてきたからこそ

ユニセフは世界せかい各地かくちで起おきる紛争ふんそうや災害さいがいで苦くるしむ子こどもたちに向き合むきあっています。

パレスチナのガザ地区ちくでは子こどもたちに栄養えいよう補助ほじょ食品しょくひんを提供ていきょうしたり、飲料いんりょう水すいや毛布もうふを配布はいふしたりしています。

能登のと半島はんとう地震じしんで厳きびしい状況じょうきょうに置おかれている子こどもたちを少すこしでも支援しえんしたいとして、次つぎのようにコメントしています。

「安やすらぎは心こころのケアの第だい一いち歩ほであり、その第一歩だいいっぽが子こどもたちの回復かいふく力りょくを左右さゆうする。大人おとなであるあなたの力ちからで子こどもたちに安やすらぎを与あたえてほしい」