あすから共通きょうつうテスト 痴漢ちかんあおる投稿とうこう相次あいつぐ 受験生じゅけんせい守まもる行動こうどうを

“痴漢ちかんチャンスデーは共通きょうつうテスト”と投稿とうこう

警視庁けいしちょうによりますと、数すう年ねん前まえから受験じゅけんシーズンになると、SNSに「痴漢ちかんし放題ほうだい」などと、受験生じゅけんせいを狙ねらった痴漢ちかんをあおるような投稿とうこうが相次あいついでいて、例たとえば、今月こんげつ8日にちには旧きゅうツイッターの「X」に「痴漢ちかんチャンスデーは共通きょうつうテスト」と投稿とうこうされました。

痴漢ちかんに遭あっても受験じゅけんを優先ゆうせんしようと被害ひがいを申告しんこくしづらい受験生じゅけんせいの心理しんりにつけこんだものとみられ、警視庁けいしちょうはサイバーパトロールを行おこなってこうした投稿とうこうを見みつけしだい、「痴漢ちかんは重大じゅうだいな犯罪はんざい行為こういで許ゆるされない。犯罪はんざいに対にたいして警察けいさつは検挙けんきょの措置そちを講こうじる」などと返信へんしんする形かたちで警告けいこくしています。

警視庁けいしちょうが去年きょねん検挙けんきょした痴漢ちかんは11月末げつまつの時点じてんで759件けんに上のぼり、このうち65％が電車でんしゃの中なかでの被害ひがいでした。

検挙けんきょ件数けんすうは、2021年ねん1年間ねんかんの434件けんに比くらべておよそ1.7倍ばいに増加ぞうかしていて、新型しんがたコロナの5類るい移行いこうに伴ともない、人ひと流りゅうが回復かいふくしたことで大幅おおはばに増ふえているとみられます。

また、時間じかん帯たい別べつでは午前ごぜん7時じ台だいと8時じ台だいの朝あさの通勤つうきん通学つうがくの時間じかんが最もっとも多おおく、警視庁けいしちょうは、受験じゅけん会場かいじょうに向むかう混雑こんざつした電車でんしゃ中ちゅうでの被害ひがいが特とくに懸念けねんされるとしています。

被害ひがいに遭あった女性じょせい「被害ひがいの確率かくりつ下さげるため自衛じえいを」

高校生こうこうせいのときに痴漢ちかんの被害ひがいに遭あったという25歳さいの女性じょせいが当時とうじの経験けいけんを語かたってくれました。

殿岡とのおかたか子たかこさん（仮名かめい・25）が最初さいしょに被害ひがいに遭あったのは高校こうこうに入学にゅうがくして2日にち目めの朝あさ、通学つうがく中ちゅうの電車でんしゃ内ないでした。

そのときの状況じょうきょうについて「手てがずっとぶつかってくるな、満員まんいん電車でんしゃで揺ゆれてるからこういうこともあるのかなと思おもっていたら、手の甲てのこうだったのが手てのひらになってきて、だんだんお尻しりをつかむような動うごきをしてきたので、初はじめて痴漢ちかんだと気付きづきました。まさか自分じぶんが痴漢ちかんに遭あうとは思おもっていなかったですし、恐怖きょうふで頭あたまが真っ白まっしろになってしまいました」と話はなしました。

学校がっこうの教諭きょうゆに相談そうだんし、登校とうこう時じは「女性じょせい専用せんよう車両しゃりょう」に乗のるようにしましたが、下校げこう時じは「女性じょせい専用せんよう車両しゃりょう」がなく、ほぼ毎日まいにちのように被害ひがいに遭あったといいます。

殿岡とのおかさんは「痴漢ちかんがあまりにも続つづくと、だんだん自分じぶんの心こころを守まもるために傷きずつくのをやめたくなってしまい、自分じぶんの体からだはそんなに大事だいじではないと思おもったり、自分じぶんは痴漢ちかんの道具どうぐになったんだと思い込おもいこんで、心こころを守まもろうとしたこともありました」と振り返ふりかえりました。

警察けいさつにも相談そうだんし、自衛じえいのために防犯ぼうはんブザーや「痴漢ちかんです。やめてください」と自分じぶんの声こえを録音ろくおんしたぬいぐるみを持もったりしましたが、怖こわくて鳴ならせませんでした。

そうしたなかで「一方いっぽう的てきに痴漢ちかんされるのではなく絶対ぜったいに捕つかまえてやるんだ」と考かんがえ、実際じっさいに高校こうこう2年ねんの春はるごろに初はじめて痴漢ちかんを取り押とりおさえることができましたが、警察けいさつに事情じじょうを聞きかれる時間じかんや再現さいげん写真しゃしんを撮とる時間じかんが苦痛くつうで、そもそも痴漢ちかんに遭あわないようにすることが大切たいせつだと思おもうようになったといいます。

受験じゅけんシーズンは「遅刻ちこくしたくない」と被害ひがいを申告しんこくしづらい受験生じゅけんせいの心理しんりにつけ込つけこんだ痴漢ちかんの被害ひがいが懸念けねんされていることについては「受験生じゅけんせいは特とくに人生じんせいの大事だいじな局面きょくめんで、何なににも邪魔じゃまされたくないと思おもいますが、痴漢ちかんはそうした状況じょうきょうをわかって被害ひがい者しゃを襲おそう、すごくひきょうな手口てぐちです。本来ほんらいなら被害ひがい者しゃが頑張がんばることではないですが、少すこしでも被害ひがいに遭あう確率かくりつを下さげるためにできる自衛じえいをしてほしい」と話はなしていました。

痴漢ちかんに遭あわないために

殿岡とのおかたか子たかこさんは高校生こうこうせいのときに痴漢ちかんの被害ひがいに遭あった経験けいけんから「痴漢ちかんに遭あいたくない」「痴漢ちかんに遭あったら絶対ぜったいに泣き寝入なきねいりしない」という意思いしを示しめしてかばんなどに付つける「痴漢ちかん抑止よくしバッジ」を考案こうあんし、現在げんざいは「痴漢ちかん抑止よくし活動かつどうセンター」でバッジの普及ふきゅうを進すすめています。

殿岡とのおかさんに、電車でんしゃで試験しけん場じょうに向むかう際さいのポイントを聞ききました。

被害ひがいに遭あわないためにできる対策たいさくとしては

▽電車でんしゃに乗のる前まえに周囲しゅういを確認かくにんする

▽電車でんしゃ内ないの立たち位置いちに気きをつける

▽できれば制服せいふくではない服装ふくそうで行いくことを心こころがけてほしいといいます。

電車でんしゃに乗のる前まえには

▽女性じょせい専用せんよう車両しゃりょうがないか確認かくにんしたり

▽痴漢ちかんは駅えきのホームでターゲットを選えらぶケースがあるため

　ホーム上じょうに不審ふしんな人ひとがいたら離はなれた車両しゃりょうを選えらんだりすること。

また、電車でんしゃ内ないでは、ドア付近ふきんや座席ざせき横よこの角かくになる場所ばしょは避さけて、できるだけ人目ひとめにつきやすい座席ざせきエリアまで進すすんだうえで、立ち姿たちすがたにも気きをつけてほしいといいます。

殿岡とのおかさんは「私わたし自身じしんもそうでしたが、怖こわくて自信じしんをなくすと猫背ねこぜになってしまいます。痴漢ちかんは抵抗ていこうしなさそうな人ひとを選えらぶので『私わたしは抵抗ていこうするぞ』というのを姿勢しせいから示しめすのが有効ゆうこうで、背筋せすじを伸のばして立たつということを意識いしきしてほしい」と話はなしました。

さらに、制服せいふくを着きていると受験生じゅけんせいだと思おもわれる可能かのう性せいがあるため、可能かのうなら私服しふくで試験しけん会場かいじょうに向むかってほしいとしています。

殿岡とのおかさんも、制服せいふくと私服しふくで痴漢ちかんの被害ひがいに遭あう頻度ひんどが違ちがったといい、制服せいふくを着きる場合ばあいは、スカートの下したに運動うんどう着ぎを履はくことも有効ゆうこうだということです。

痴漢ちかんに遭あってしまったら

では、被害ひがいに遭あってしまったときはどうすればいいのか。

殿岡とのおかさんは恐怖きょうふを感かんじて動うごかないと行為こういがエスカレートするため、手てで振り払ふりはらったり、声こえを出だしたりしてほしいといい「もし偶然ぐうぜん当あたっているのであれば振り払ふりはらわれたら基本きほん的てきには二度にどと触さわってこない。『あたっています』とか『やめてください』と言いってそれでも偶然ぐうぜんを装よそおって触さわってくるのであれば確実かくじつに痴漢ちかんです。満員まんいん電車でんしゃではなかなか難むずかしいですが、距離きょりを取とれるのであれば取とってほしい」と話はなしました。

また、乗のっている車両しゃりょうや時間じかん、立たっていた位置いちを覚おぼえておくと、警察けいさつから被害ひがいの状況じょうきょうを聞きかれる際さいに役に立やくにたつということです。

殿岡とのおかさんは受験じゅけん生せいに対にたいして「受験じゅけんに行いく途中とちゅうで痴漢ちかんの被害ひがいに遭あってしまったら絶望ぜつぼうしてしまうかもしれませんが、受験じゅけんに関にかんしては救済きゅうさい措置そちもあることを頭あたまに入いれておいてほしいです。被害ひがいに遭あわないように対策たいさくをして、もし被害ひがいに遭あったときのことも事前じぜんにシミュレーションして会場かいじょうに向むかうことが大切たいせつだと思おもいます」と話はなしていました。

警視庁けいしちょう 見回みまわりの人員じんいん増ふやすなど警戒けいかい強化きょうか

受験じゅけんシーズンに懸念けねんされる痴漢ちかんを防ふせごうと、警視庁けいしちょうは鉄道てつどう各社かくしゃと連携れんけいして駅えき構内こうないや電車でんしゃ内ないでの見回みまわりの人員じんいんを増ふやすなどして警戒けいかいを強つよめています。

今月こんげつ9日にちに東武とうぶ東上とうじょう線せん・池袋いけぶくろ駅えきで行おこなわれたイベントでは、警視庁けいしちょうの二宮にのみや健けん生活せいかつ安全あんぜん総務そうむ課長かちょうが「昨今さっこん、受験生じゅけんせいに対にたいする痴漢ちかん行為こういをあおる書き込かきこみが多おおく確認かくにんされていて、痴漢ちかん撲滅ぼくめつの機運きうんを高たかめて高校生こうこうせいを守まもる必要ひつようがある。誰だれでも被害ひがいに遭あうおそれがあり、周囲しゅういが痴漢ちかんに遭遇そうぐうした際さいには声こえをかけて被害ひがい者しゃを守まもる行動こうどうを取とってほしい」と呼よびかけました。

痴漢ちかんの被害ひがい者しゃから「怖こわくて声こえが出でない」とか「逃にげることもできない」といった声こえが寄よせられたことを踏ふまえ、警視庁けいしちょうでは、防犯ぼうはんアプリ「Digi Police」に声こえを出ださなくても痴漢ちかんの被害ひがいを周囲しゅういに訴うったえられる機能きのうを設もうけています。

具体ぐたい的てきには「痴漢ちかんです助たすけてください」という文字もじを画面がめんに表示ひょうじさせて周囲しゅういに示しめすことができるほか、画面がめんをタップすれば「やめてください」と自動じどうで音声おんせいが流ながれる仕組しくみです。

このアプリを利用りようすることで犯人はんにんの検挙けんきょにつながったケースもあるということで、警視庁けいしちょうは、痴漢ちかんの被害ひがい者しゃや目撃もくげき者しゃになった場合ばあいに備そなえて「お守おまもり代かわり」としてアプリをダウンロードしてほしいと呼よびかけています。

一方いっぽう、大学だいがく入学にゅうがく共通きょうつうテストを実施じっしする大学入試センターだいがくにゅうしせんた-は、試験場しけんじょうに向むかう途中とちゅうに痴漢ちかんの被害ひがいに遭あった場合ばあいは追試験ついしけんの対象たいしょうとなることから、受験じゅけん票ひょうに記載きさいされている「問い合といあわせ大学だいがく」に、速すみやかに電話でんわで連絡れんらくしてほしいとしています。

加藤かとうこども相しょう「被害ひがいなら追試ついし対象たいしょう 相談そうだんを」

加藤かとうこども政策せいさく担当たんとう大臣だいじんは、閣議かくぎのあとの記者きしゃ会見かいけんで「痴漢ちかんは重大じゅうだいな犯罪はんざいだ。個人こじんの尊厳そんげんを踏ふみにじる行為こういで決けっして許ゆるされるものではない。もし共通きょうつうテストの会場かいじょうに行いく途中とちゅうに被害ひがいに遭あった場合ばあいは追試験ついしけんの対象たいしょうになる。被害ひがいに遭あったり目撃もくげきしたりしたときはちゅうちょせず周まわりの人ひとに助たすけを求もとめるなどして110番ばんしてほしい。被害ひがい者しゃは決けっして悪わるくないので、　1人にんで悩なやまず相談そうだんしてほしい」と述のべました。