日本新聞: 袴田巌さん再審の弁護団長西嶋勝彦さん死去 82歳

袴田はかまだ巌いわおさん再審さいしんの弁護べんご団長だんちょう西嶋にしじま勝彦かつひこさん死去しきょ 82歳さい

Jan 13, 2024 22:01 3

Furigana

静岡しずおか県けんで一家いっか4人にんが殺害さつがいされた事件じけんで死刑しけいが確定かくていし、再審さいしん＝やり直やりなおしの裁判さいばんが行おこなわれている袴田はかまだ巌いわおさんの弁護べんご団長だんちょうで、数々かずかずのえん罪えんざい事件じけんの弁護べんごに携たずさわってきた弁護士べんごしの西嶋にしじま勝彦かつひこさんが1月つき7日にちに亡なくなりました。82歳さいでした。

西嶋にしじまさんは福岡ふくおか市しの出身しゅっしんで1965年ねんに弁護士べんごし登録とうろくし、日弁連にちべんれん＝日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごう会かいの常務じょうむ理事りじなどを務つとめました。

刑事けいじ事件じけんでは数々かずかずのえん罪えんざい事件じけんの弁護べんごに携たずさわり、1954年ねんに静岡しずおか県けん島田しまだ市しで当時とうじ6歳さいの女の子おんなのこが殺害さつがいされた「島田しまだ事件じけん」では、弁護べんご団だんの事務じむ局長きょくちょうとして再審さいしんでの無罪むざいを勝ち取かちとりました。

1966年ねんに今いまの静岡しずおか市し清水しみず区くで一家いっか4人にんが殺害さつがいされた事件じけんで死刑しけいが確定かくていした袴田はかまだ巌いわおさん（87）の弁護べんご団だんでは、およそ20年ねんにわたって団長だんちょうを務つとめてきました。

去年きょねん3月つきに袴田はかまださんの再審さいしんを認みとめた東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょの決定けっていについて、検察けんさつが特別とくべつ抗告こうこくしないことを決きめたあとの記者きしゃ会見かいけんで西嶋にしじまさんは「一いち日にちも早はやく再審さいしんを開ひらいて巌いわおさんの無実むじつを明あきらかにしたい」とことばをつまらせながら話はなしていました。

西嶋にしじまさんは5年ねん前まえほど前まえから間はざま質ただし性せい肺炎はいえんを患わずらい、酸素さんそをチューブで吸入きゅうにゅうする装置そうちを使つかいながら、車くるまいすに乗のって袴田はかまださんの再審さいしんの審理しんりに臨のぞんでいました。

1月つき5日にちには、日弁連にちべんれんで開ひらかれた弁護べんご団だん会議かいぎに出席しゅっせきしていましたが、2日にち後ごの1月つき7日にちの朝あさに、東京とうきょう都内とないの自宅じたくで倒たおれているのを同居どうきょしている家族かぞくが発見はっけんし、搬送はんそう先さきの病院びょういんで死亡しぼうが確認かくにんされました。

82歳さいでした。

袴田はかまださんの姉あねひで子ひでこさん「無罪むざい判決はんけつ聞きいていただきたかった」

西嶋にしじまさんが亡なくなったことを受うけて、袴田はかまだ巌いわおさんの弁護べんご団だんと支援しえん者しゃが会見かいけんを開ひらきました。

袴田はかまださんの姉あねのひで子ひでこさん（90）はオンラインで参加さんかし「とても優やさしくていい方ほうで、長ながい間ま本当ほんとうにお世話おせわになりました。ありがとうございますということしかできません。巌いわおの無罪むざい判決はんけつを聞きいていただきたかった」と涙なみだを浮うかべながら話はなしました。

弁護べんご団だんの事務じむ局長きょくちょうの小川おがわ秀世ひでよ弁護士べんごしは「判断はんだんが的確てきかくで重おもみがあり、弁護べんご団だんを引っ張ひっぱっていただきました。西嶋にしじま先生せんせいは再審さいしん開始かいしが確定かくていしたときから袴田はかまださんのために早はやく無罪むざい判決はんけつをもらいたいと何なん度ども言いっていたので、本当ほんとうに残念ざんねんですし、ご本人ほんにんとしても悔くやしかったと思おもいます」と述のべました。

今後こんごの弁護べんご団だんの態勢たいせいはこれから検討けんとうするということで、小川おがわ弁護士べんごしは「みんなと力ちからを合あわせて早はやく無罪むざいを勝ち取かちとりたい」話はなしていました。

長年ながねん、袴田はかまださんの支援しえん活動かつどうを続つづけている山崎やまざき俊樹としきさんは「体調たいちょうが悪わるい中なかでも東京とうきょうから静岡しずおかに来きたられて審理しんりに臨のぞんでいたので、本当ほんとうに無念むねんだったと思おもいます。再審さいしん無罪むざいの声こえを聞きかせてあげられなかったのが残念ざんねんでなりません」と話はなしていました。