ロシアのプーチン政権への批判を続けた反体制派の指導者、ナワリヌイ氏について、ロシアの当局は16日、収監されていた刑務所で死亡したと発表しました。
ナワリヌイ氏の支援団体の広報担当者は19日、SNSで当局がナワリヌイ氏の母親らに対して遺体の検査を行うためさらに14日間、遺体は引き渡せないと通告したと明らかにし、遺族側が死因を検証できない状態が続いています。
これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は遺族への遺体の返還について「われわれはこの問題に関与していない。これは政権の職務ではない」と述べました。
一方、ロシアの人権団体のもとには市民から遺族に遺体を返還するよう連邦捜査委員会に求める意見が6万件以上寄せられるなど、真相究明を求める声が高まっています。
ナワリヌイ氏の妻、ユリアさんは19日、ビデオメッセージを公開し「ウラジーミル・プーチンが私の夫を殺害した。遺体を引き渡さないのは毒物の痕跡が消えるのを待っているからだ」と述べ、ナワリヌイ氏の死亡にプーチン政権が関与したとして強く非難しました。
そのうえで「祖国のために闘い続ける」と述べ、ナワリヌイ氏に代わってプーチン政権を批判する運動を続けていく考えを示しました。
バイデン大統領「ロシアへの追加の制裁を検討」
ナワリヌイ氏が死亡したことを受けてアメリカのバイデン大統領は19日、ホワイトハウスで記者団からロシアに制裁を科す考えがあるのかを問われると「われわれは追加の制裁を検討している。そのとおりだ」と答えました。
バイデン大統領は16日、ナワリヌイ氏の死亡をめぐり、ロシアのプーチン大統領を厳しく非難するとともに、今後、何らかの対抗措置を取る考えを示していました。
また、バイデン大統領は、野党・共和党の反対でウクライナへの軍事支援を盛り込んだ緊急の予算案が議会で暗礁に乗り上げていることについて「共和党は大きな過ちを犯している。彼らはロシアによる脅威に背を向けようとしている」と述べて、野党側の対応を改めて批判しました。