原発げんぱつ処理しょり水すい放出ほうしゅつ開始かいしから半年はんとし 基準きじゅん値ち下回したまわるもトラブル相次あいつぐ

また、放出ほうしゅつに反発はんぱつした中国ちゅうごくによる日本にっぽん産さん水産物すいさんぶつの輸入ゆにゅう停止ていし措置そちが長期ちょうき化かし、影響えいきょうが大おおきくなる中なか、水産すいさん事業じぎょう者しゃにとっては、中国ちゅうごくに代かわる輸出ゆしゅつ先さきや新あらたな販売はんばい先さきの確保かくほが課題かだいとなっています。

福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつでは、汚染おせん水すいを処理しょりしたあとに残のこるトリチウムなどの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを含ふくむ処理しょり水すいが1000基き余あまりのタンクに保管ほかんされ、東京とうきょう電力でんりょくは政府せいふの方針ほうしんに従にしたがい、去年きょねん8月つき24日にちから基準きじゅんを下回したまわる濃度のうどに薄うすめたうえで海うみへの放出ほうしゅつを始はじめました。

これまでに3回かいの放出ほうしゅつが行おこなわれ、目立めだったトラブルはなく、タンク30基きに入はいっていた合あわせて2万まん3351トンを放出ほうしゅつしたということです。

東京とうきょう電力でんりょくや国くになどは、原発げんぱつ周辺しゅうへんで海水かいすいを採取さいしゅしトリチウムの濃度のうどを分析ぶんせきしていますが、これまでで最大さいだいの値ねは1リットルあたり22ベクレルと、東京とうきょう電力でんりょくが自主じしゅ的てきに放出ほうしゅつの停止ていしを判断はんだんする基準きじゅんの700ベクレルやWHO＝世界せかい保健ほけん機関きかんが定さだめる飲料いんりょう水すいの基準きじゅん1万まんベクレルを、大おおきく下回したまわっています。

計画けいかくの安全あんぜん性せいを検証けんしょうしているIAEA＝国際こくさい原子力げんしりょく機関きかんは1月つきに、放出ほうしゅつの開始かいし後ご、初はじめてとなる報告ほうこく書しょを公表こうひょうし、国際こくさい的てきな安全あんぜん基準きじゅんに合致がっちしていることを再さい確認かくにんしたと評価ひょうかしました。

来年度らいねんどは7回かいに分わけて、タンクおよそ50基き分ぶんにあたる5万まん4600トンを放出ほうしゅつするとしていて、空そらになった20基き余あまりのタンクの解体かいたいに着手ちゃくしゅする計画けいかくです。

ただ、汚染おせん水すいを処理しょりする過程かていでは、去年きょねん10月つきに放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを含ふくむ廃液はいえきを浴あびた作業さぎょう員いんが一時いちじ入院にゅういんしたほか、ことし2月つき7日にちにも浄化じょうか装置そうちから放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを含ふくむ水みずが漏もれ出だし、トラブルが相次あいついでいます。

処理しょり水すいの放出ほうしゅつが続つづく中なかでのトラブルに、地元じもとの福島ふくしま県けんなどからは厳きびしい目めが向むけられていて、東京とうきょう電力でんりょくの安全あんぜん管理かんりが改あらためて問とわれています。

相次あいつぐ処理しょり作業さぎょうでのトラブルに地元じもとでは

福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょでは、この5か月かげつで、汚染おせん水すいの処理しょり作業さぎょうでのトラブルが相次あいつぎ、地元じもとからは不安ふあんや疑念ぎねんの声こえがあがっています。

2023年ねん10月つきには、汚染おせん水すいの処理しょり設備せつびで行おこなわれていた配管はいかんの洗浄せんじょう作業さぎょう中ちゅうにホースが外はずれて、作業さぎょう員いんに放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを含ふくむ廃液はいえきがかかり、皮膚ひふに汚染おせんが確認かくにんされた男性だんせい2人にんが一時いちじ、入院にゅういんしました。

また、2024年ねん2月つき7日にちには、別べつの浄化じょうか装置そうちで作業さぎょう員いんが装置そうち内ないの配管はいかんの弁べんが開ひらいたままになっているのを見落みおとしたまま水みずを通とおす作業さぎょうを行おこない、放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを含ふくむ水みずが屋外おくがいに漏もれ出だしました。

2月つき19日にちに開ひらかれた原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいの会合かいごうでは、地元じもと住民じゅうみんの代表だいひょうとして出席しゅっせきした福島ふくしま県けん大熊おおくま町まち商工しょうこう会かいの蜂須賀はちすか禮子れいこ会長かいちょうが「東京とうきょう電力でんりょくには、地元じもとの住民じゅうみんに失望しつぼうを与あたえたことを認識にんしきしてほしい。処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつについて世界せかい各国かっこくから注目ちゅうもくというか監視かんしの目めがあるにもかかわらず、確認かくにんすれば防ふせげるようなトラブルが起おきたことはすごく残念ざんねんに思おもう。東京とうきょう電力でんりょくは、本気ほんき度どというものを私わたしたち県民けんみん、町民ちょうみんに示しめしていただきたい。お願おねがいですから、私わたしたちに心配しんぱいをかけないでください」などと述のべました。

また、双葉ふたば町まち復興ふっこう推進すいしん協議きょうぎ会かいの田中たなか清一郎せいいちろう理事りじ長ちょうは「もっと改善かいぜん策さくを深ふか掘ほりして考かんがえなければいけないと思おもわされるほどトラブルが頻繁ひんぱんに起おきている。社長しゃちょうがみずから先頭せんとうに立たって廃はい炉ろを進すすめるから安心あんしんしてほしいと発言はつげんしていたが、今いま、そのような状況じょうきょうにはなっていないと感かんじる」と指摘してきしました。

こうした声こえに対にたいし、東京とうきょう電力でんりょく福島ふくしま第だい一いち廃はい炉ろ推進すいしんカンパニーの小野おの明あきら代表だいひょうは「心配しんぱいをかけないでほしいという声こえに対にたいし、簡単かんたんにわかったとは言いえない。安全あんぜん、安心あんしんな状態じょうたいになるかは、今後こんごのわれわれの取り組とりくみしだいだ。確実かくじつに廃はい炉ろ作業さぎょうを進すすめながら安全あんぜんの実績じっせきを積み重つみかさねたい」などと話はなしていました。

中国ちゅうごくに代かわる水産物すいさんぶつの輸出ゆしゅつ先さき確保かくほなど今いまも課題かだいに

処理しょり水すいの海うみへの放出ほうしゅつに反発はんぱつした中国ちゅうごくによる日本にっぽん産さん水産物すいさんぶつの輸入ゆにゅう停止ていし措置そちは、半年はんとしたったいまも続つづいています。

去年きょねん9月つき以降いこう、中国ちゅうごく向むけの水産物すいさんぶつは、真珠しんじゅやサンゴなど食用しょくようではない品目ひんもくの輸出ゆしゅつにとどまり、去年きょねん1年間ねんかんの中国ちゅうごく向むけの水産物すいさんぶつの輸出ゆしゅつ額がくは、前まえの年としより29％減へっています。

特とくに中国ちゅうごく向むけの割合わりあいが大おおきかったホタテは前まえの年としから213億おく円えん、率りつにして43％減へっています。

東京とうきょう電力でんりょくは、風評ふうひょう被害ひがいによる価格かかくの下落げらくや、海外かいがいの禁輸きんゆ措置そちへの対応たいおうにかかった費用ひようなどを賠償ばいしょうする方針ほうしんで、今月こんげつ20日にちまでに、受け付うけつけた賠償ばいしょう請求せいきゅうの書類しょるいはおよそ260件けん、すでに賠償ばいしょう金きんを支払しはらったのはおよそ40件けんであわせて42億おく円えんに上のぼるということです。

日本にっぽん政府せいふは、中国ちゅうごくに対にたいし「科学かがく的てき根拠こんきょに基もとづかない」として、規制きせいの即時そくじ撤廃てっぱいを求もとめていますが、輸出ゆしゅつ再開さいかいの見通みとおしは立たっていません。

影響えいきょうが長期ちょうき化かする中なか、水産すいさん事業じぎょう者しゃにとっては、中国ちゅうごくに代かわる輸出ゆしゅつ先さきや新あらたな販売はんばい先さきの確保かくほが課題かだいとなっていて、政府せいふも海外かいがいからバイヤーを招まねくなど新あたらしい市場しじょうの開拓かいたくを支援しえんしていくことにしています。