2月つき29日にちは「円満えんまん離婚りこんの日ひ」 “離婚りこん式しき”挙あげる夫婦ふうふも

こんな事実じじつを知しっていますか？その3月つきを前まえに、2月つき29日にちは「2人にんに福ふく（29）あれ」の語呂合ごろあわせから「円満えんまん離婚りこんの日ひ」とされています。

「離婚りこんのことなど考かんがえたくない」という方ほうもいるかもしれません。一方いっぽうで、前向まえむきに離婚りこんと向き合むきあい、幸しあわせに生いきるための新あらたな門出かどでとしようとしている人ひとたちもいます。

3月つきは “離婚りこん最多さいたの月つき”

去年きょねん1年間ねんかんの月つきごとの離婚りこん届とどけの届け出とどけで件数けんすうです。ほかの月つきは1万まん4312組くみ～1万まん6606組くみなのに対にたいして、3月つきは2万まん1239組くみと突出とっしゅつして多おおくなっています。

過去かこのデータをさかのぼると、1980年ねん以降いこう毎年まいとし3月つきが最もっとも多おおくなっていて、28年間ねんかんにわたってこの傾向けいこうが続つづいていることがわかりました。

なぜ3月つきに離婚りこんの届け出とどけでが多おおくなるのか？

婚姻こんいんや離婚りこんをめぐる問題もんだいに詳くわしい専門せんもん家かは、子こどもの卒業そつぎょうや進学しんがく、本人ほんにんの転職てんしょくに合あわせて離婚りこんを選択せんたくする人ひとが多おおいと指摘してきしています。

ニッセイ基礎研究所にっせいきそけんきゅうしょ 人口じんこう動態どうたいシニアリサーチャー 天野あまの馨かおる南みなみ子こさん

「3月つきは新しん年度ねんどの直前ちょくぜんで、4月つきのお子おこさんの進学しんがくに合あわせて名字みょうじを変かえる、転校てんこうするなど、子こどもの進学しんがくタイミングに合あわせて離婚りこんする人ひとが一定いってい数すういると思おもいます。また、経済けいざい力りょくをつけて転職てんしょくと同時どうじに離婚りこんする人ひともいると思おもいます。新しん年度ねんどに向むけて3月つきに区切くぎりをつける人ひとがいると考かんがえられます」

結婚けっこん指輪ゆびわにハンマー 「離婚りこん式しき」って？

「せーの！」

少すこしくすんだ結婚けっこん指輪ゆびわに笑顔えがおでハンマーを振ふり下おろす男女だんじょ。

参列さんれつした親族しんぞくや友人ゆうじんが見守みまもる中なか、署名しょめいをするのは「離婚りこん届とどけ」です。

両手りょうてを重かさねて入にゅう刀かたなするケーキには「HAPPY DIVORCE（幸しあわせな離婚りこん）」の文字もじが…。

2月つき29日にちの「円満えんまん離婚りこんの日ひ」を前まえに、27日にちに都内とないで開ひらかれた「離婚りこん式しき」の体験たいけん会かいでの光景こうけいです。

結婚式けっこんしきでは「新郎しんろう・新婦しんぷ」ですが、離婚りこん式しきでは「旧きゅう郎ろう・旧きゅう婦ふ」になります。

「2人にんの間まに亀裂きれつが入はいったのは昨年さくねんの秋あきごろでございます。そろそろ子こどもがほしい『旧きゅう婦ふ』さまと、まだまだ仕事しごとにまい進まいしんしたい『旧きゅう郎ろう』さま。すれ違すれちがいが生しょうじるようになりました」

司会しかいが粛々しゅくしゅくと読み上よみあげる離婚りこんに至いたった経緯けいいを、離婚りこんを考かんがえている人ひとや夫婦ふうふ生活せいかつに悩なやんでいる人ひとなど、参列さんれつしたおよそ20人にんが神妙しんみょうな面持おももちで聞きいていました。

離婚りこん後ごの関係かんけいに好こう影響えいきょう 踏ふみとどまる夫婦ふうふも

「離婚りこん式しき」を提案ていあんしているプランナーの寺井てらい広樹ひろきさんによると、離婚りこん式しきは結婚けっこん生活せいかつに区切くぎりをつけて新あらたな門出かどでを祝いわうセレモニーで、これまでに700組くみ以上いじょうが式しきを挙あげるなど“円満えんまん離婚りこん”を目指めざす夫婦ふうふにとって選択肢せんたくしの1つになっているということです。

費用ひようは5万まん5000円えんから20万まん円えんほどで、申し込もうしこみの8割わり以上いじょうは「未練みれんを断ち切たちきりたい」と男性だんせいだそうですが、なかなか聞ききづらい離婚りこんの原因げんいんを夫婦ふうふの“公式こうしき声明せいめい”として親戚しんせきや友人ゆうじんにもオープンにすることで、離婚りこん後ごもよい関係かんけいを保たもったり、引き続ひきつづき協力きょうりょくして子こどもを育そだてることを参列さんれつ者しゃの前まえで誓ちかうことで、養育よういく費ひが円滑えんかつに支払しはらわれるなどの効果こうかもあるそうです。

中なかには、離婚りこん式しきを通をとおして改あらためてお互おたがいと向き合むきあったり、友人ゆうじんから励はげましを受うけたりして心境しんきょうが変かわり、式しきの帰り道かえりみちに2人にんで話し合はなしあった結果けっか、離婚りこんを取とりやめた夫婦ふうふもいたということです。

離婚りこん式しきを見学けんがくした、離婚りこん予定よていの40代だいの女性じょせいは、3人にんの子こどものことを思おもいながら体験たいけん会かいを見守みまもりました。

「離婚りこんって暗くらくてじめっとしたイメージで、離婚りこんされたら身みを小ちいさくして生いきていかないといけないっていう風かぜに思おもわれがちですが、そういうイメージが払拭ふっしょく（ふっしょく）されるいい式しきだったなと思おもいます。自分じぶんの子こどもを思い浮おもいうかべながら見学けんがくしていましたが、参列さんれつした人ひとたちからも愛情あいじょうとか応援おうえんのエネルギーをいただけたり、両親りょうしんが笑顔えがおでいる姿すがたを見みたりしたら、子こどもたちも喜よろこぶし大切たいせつな記憶きおくになると思おもいます」

離婚りこんを経験けいけんした男性だんせい

「離婚りこん後ごも話し合はなしあいができたり子こどもと毎週まいしゅう会あえたり、自分じぶんも比較的ひかくてき円満えんまんだったとは思おもいますが、みなさんにお披露目おひろめというのはなかなか難むずかしいのかなと思おもいます。離婚りこん式しきを挙あげられるくらい円満えんまんに離婚りこんができたら次つぎへのステップを幸しあわせに踏み出ふみだせるのかなと思おもいます」

「離婚りこん式しき」プランナー 寺井てらい広樹ひろきさん

「ほとんどの場合ばあいはだいたい泥沼どろぬまになってしまうので、円満えんまんに離婚りこんできる人ひとって本当ほんとうに数少かずすくなくて、4年ねんに1度どの2月つき29日にちくらい珍めずらしいケースだと思おもいます。勢いきおいで離婚りこんしてしまう人ひとも多おおいと思おもうんですけど、結婚けっこんも離婚りこんも幸しあわせになるためにするものなので、前向まえむきにとらえて新あたらしいステージに進すすんでもらいたいなと思おもいます」

離婚りこん件数けんすうは5年ねん前まえ以来いらいの増加ぞうか

今月こんげつ27日にち、離婚りこんの件数けんすうについて厚生こうせい労働ろうどう省しょうから最新さいしんの発表はっぴょうがありました。

去年きょねん2023年ねんの1年間ねんかんの離婚りこんの件数けんすうは、速報そくほう値ちで18万まん7798組くみ。

おととしの2022年ねんよりも4695組くみ（2.6％）増ふえ、5年ねん前まえの2019年ねん以来いらいの増加ぞうかに転てんじたことが分わかりました。

離婚りこん件数けんすうは国くにが統計とうけいを取とり始はじめた1899年ねん以降いこう、2002年ねんのおよそ29万まん組くみをピークに減少げんしょう傾向けいこうが続つづいていました。

過去かこ5年ねんのデータをみると、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが拡大かくだいした2020年ねんは19万まん3253組くみで、前まえの年としより1万まん5243組くみと大おおきく減少げんしょうし、その後そのごは減へり続つづけ、去年きょねんは5年ねん前まえ以来いらいの増加ぞうかに転てんじました。

背景はいけいには、夫婦ふうふのあり方ありかたの変化へんかや女性じょせいの経済けいざい的てきな自立じりつなどがあるということです。

ニッセイ基礎研究所にっせいきそけんきゅうしょ 人口じんこう動態どうたいシニアリサーチャー 天野あまの馨かおる南みなみ子こさん

「婚姻こんいん件数けんすうが大おおきく減へっていることに伴ともなって離婚りこん件数けんすうも減へっていますが、婚姻こんいん件数けんすうに対にたいする離婚りこんの割合わりあいは増ふえてきていて、直近ちょっきん10年ねんほどで見みると35％に達たっしています。バブル崩壊ほうかい後ごに夫婦ふうふの在り方ありかたに対にたいする価値かち観かんが大おおきく変化へんかしたことに加くわえ、育児いくじ休業きゅうぎょう法ほうの整備せいびや女性じょせい活躍かつやく推進すいしんが進すすみ、女性じょせいが経済けいざい的てきに自立じりつできるようになったことなどが背景はいけいにあると考かんがえられます。

決けっして、離婚りこんをネガティブな捉とらえ方かただけで見みてはいけないと思おもいます。離婚りこんは新あらたな自分じぶんの成長せいちょうの機会きかいでもあると思おもうので、自分じぶんの未来みらいのためにも、離婚りこんに至いたった理由りゆうに向き合むきあい、前向まえむきに受け止うけとめてリスタートしていただきたいと思おもいます」

3月つきは立ち止たちどまって考かんがえる時間じかんに

「円満えんまん離婚りこんなんて本当ほんとうに存在そんざいするの？」という疑問ぎもんを抱だいて始はじめた、今回こんかいの取材しゅざい。

円満えんまん離婚りこんだという人ひとたちも、最初さいしょは言いい争あらそいをしたり険悪けんあくな状態じょうたいがあったそうです。

「せっかく結婚けっこんしたんだから、お互おたがいに納得なっとくがいくまで話し合はなしあって、円満えんまんな状態じょうたいになってから離婚りこんしたい」という言葉ことばが印象いんしょうに残のこりました。

結婚けっこん生活せいかつも、離婚りこんに至いたる理由りゆうも、人ひとによってさまざまです。

離婚りこんの届け出とどけでが多おおくなる3月つきは、この先さきの自分じぶんの生き方いきかたについて立ち止たちどまって考かんがえる時間じかんになればいいなと思おもいました。

（ネットワーク報道ほうどう部ぶ 藤ふじ目め琴きん実み 谷口たにぐち碧あおい）