つらい気持きもち抱かかえる人ひとへ ネット上じょうの「かくれが」話題わだいに

いまのつらさに耐たえられないのなら、一度いちど隠かくれてしまいましょうと、自殺じさつ防止ぼうしの対策たいさくに取り組とりくむNPO法人ほうじんが、オンライン上じょうに「かくれが」をつくりました。

公開こうかいから3日にちで30万まん以上いじょうのアクセスを集あつめ、話題わだいになっています。

ヨシタケシンスケさんが描えがいた「かくれが」

ウェブサイトは「かくれてしまえばいいのです」と名付なづけられています。自殺じさつ防止ぼうしの対策たいさくに取り組とりくむ東京とうきょうのNPO法人ほうじん「ライフリンク」が今月こんげつ1日にちに開設かいせつしました。

サイトの中なかには絵本えほん作家さっかのヨシタケシンスケさんによる優やさしいタッチの絵えで描えがかれた「かくれが」があり、匿名とくめいのキャラクターになってコーナーに入はいっていきます。

このうち、「むかんけいばあちゃんの部屋へや」では、家族かぞくともクラスメートとも無む関係かんけいのおばあちゃんからのつらい気持きもちに寄り添よりそうメッセージを読よむことができます。

また、「ロボとおしゃべりコーナー」では、気持きもちを打ち込うちこむと人工じんこう知能ちのう＝AIと会話かいわでき、周まわりの人ひとなどに相談そうだんできない場合ばあいでも気持きもちを吐き出はきだすことができます。

さらに相談そうだん窓口まどぐちにつながるコーナーなども用意よういされています。

ライフリンクの清水しみず康之やすゆき代表だいひょうは「相談そうだんできない人ひと、したくない人ひとも『死しにたい気持きもち』をやりすごしたり、安心あんしんして打ち明うちあけたりできる場ばにしていきたい。こうした気持きもちを抱かかえながらも生いきていていいし生いきていけるということを感かんじてほしい」と話はなしています。

SNSで反響はんきょう

ウェブサイトは今月こんげつ1日にちに公開こうかいされた直後ちょくごから、旧きゅうツイッターのXなどで話題わだいとなり、4日にち午前ごぜん9時じまでに35万まん以上いじょうのアクセスがあったということです。

「アイデアがすごい」

「温あたたかみを感かんじられるサービスだ」

「掲示板けいじばんみたりミニゲームしたりしたら一いち日にち過すぎてた」

「しんどいと思おもっていいと思おもえる場所ばしょがあるだけで救すくわれることがある」

優やさしいタッチのイラストや苦くるしい思おもいを抱かかえる人ひとへの寄り添よりそい方かたについての投稿とうこうのほか、実際じっさいに苦くるしい思おもいを抱かかえていると見みられる人ひとからの投稿とうこうも。

「必要ひつような人ひとに届とどきますように」などと記しるして共有きょうゆうする人ひとも出でています。

どんなことができるの？

サイトでは自分じぶん自身じしんがキャラクターとなっておばあちゃんのキャラクターの案内あんないで「かくれが」に入はいります。

「しにたいきもちとむきあうエリア」と「しにたいきもちをやりすごすエリア」で、

▽気持きもちを吐き出はきだすように書き込かきこむことができる、

▽苦くるしい思おもいを抱かかえた他ほかの人ひとが考かんがえていることを知しることができる、

▽ゲームができる、

▽SNSや電話でんわでの相談そうだんにつながるなどといった

9つのコーナーを利用りようすることができます。

このうち「むかんけいばあちゃんの部屋へや」では、絵本えほん作家さっかのヨシタケシンスケさんが描えがいたおばあちゃんのキャラクターが悩なやみを抱かかえる人ひとに伝つたえたいメッセージを読よむことができます。

例たとえば、苦くるしい気持きもちの相談そうだんについて「つらい気持きもちを言いいたくない人ひとには言いわなくても大丈夫だいじょうぶ。でもあなたにむかんけいの専門せんもん家かにだったら相談そうだんしてもいいんじゃない」とか、まわりの環境かんきょうについて「あなたの気持きもちも、あなたの環境かんきょうも、服ふくのようにとりかえることができるんです」などといったメッセージが見みられるようになっています。

また、「ロボとおしゃべりコーナー」は気持きもちを打ち込うちこむと「むかんけいロボ」が人工じんこう知能ちのう＝AIで応答おうとうしてくれるコーナーで、ユーザーはこうしたコーナーで自分じぶんの気持きもちに向き合むきあったり、気持きもちをやり過やりすごしたりできるようになっているということです。

一方いっぽう、「かくれが」には話はなしかけると反応はんのうするキャラクターやほかのユーザーもいて常つねに誰だれかがいることを確認かくにんできますが、お互おたがいに影響えいきょうしあわないよう、ユーザー同士どうしのコミュニケーションは取とれないようにしているということです。

なぜ、この場所ばしょをつくったの？

3月つきは生活せいかつ環境かんきょうが大おおきく変化へんかしストレスを受うけやすい時期じきのため、対策たいさく強化きょうか月間げっかんと位置いちづけられています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうのデータによりますと小学生しょうがくせいから高校生こうこうせいまでの年代ねんだいの自殺じさつ者しゃ数すうは、1990年代ねんだい前半ぜんはんには年間ねんかん200人にんほどでしたが、増加ぞうか傾向けいこうが続つづき、おととしには過去かこ最多さいたの514人にんとなり、去年きょねんも暫定ざんてい値ちで500人にんを超こえました。

「ライフリンク」が設もうけているSNSの相談そうだん窓口まどぐちには毎月まいつき1万まん人にん前後ぜんごがアクセスしていて、10代だいから20代だいまでの子こどもや若者わかものが相談そうだん者しゃの半数はんすう以上いじょうを占しめているということです。

ライフリンクでは相談そうだん体制たいせいの強化きょうかを進すすめていますが、対応たいおうしきれないケースもあるほか、相談そうだんすることをためらう子こどもや若者わかものも少すくなくないということで、受け皿うけざらとなる場ばとしてサイトを開設かいせつしたとしています。

NPO代表だいひょう「相談そうだんできない人ひとも心地ここちいい場ばを」

NPO法人ほうじん「ライフリンク」の清水しみず康之やすゆき代表だいひょうにサイトを開設かいせつした背景はいけいを聞ききました。

清水しみずさん

「想像そうぞう以上いじょうに反響はんきょうが大おおきく、行き場いきばがないと感かんじてる人ひとがたくさんいるということで、こういう場ばをより充実じゅうじつさせていく必要ひつようがあると感かんじました。特とくに子こどもや若者わかものの場合ばあいは、自分じぶんから相談そうだんしようと思おもう人ひとが少すくないと感かんじています。相談そうだんしない、できない、したくないという人ひとたちにも、アプローチするにはどうしたらいいかと考かんがえた時ときに、『心地ここちがいい場ばを作つくる』ことだと思おもい、この場ばを実現じつげんしました」

清水しみずさん

「人ひとには相談そうだんできなくても、AIであれば遠慮えんりょせずに自分じぶんの思おもいを語かたれるという声こえが若わかい世代せだいから聞きかれました。相談そうだんして変へんに思おもわれてしまうのではないか、迷惑めいわくをかけてしまうのではないかという思おもいで、相談そうだんをちゅうちょする人ひとも少すくなくないので、相談そうだんの練習れんしゅうをするつもりで、そうした人ひとたちにも利用りようしてもらいたいです。1人にんじゃないと感かんじてもらいつつ、しんどい気持きもちとどう向き合むきあっていくか、どうやり過やりすごしていけばいいかということにつながることを大事だいじにしていきたい」