米べいトランプ次期じき大統領だいとうりょう 新しん政権せいけん主要しゅようポスト 多おおくを固かためる

トランプ氏しは22日にち、重要じゅうようポストの財務ざいむ長官ちょうかんに、ヘッジファンドのCEOで自身じしんを強つよく支持しじするスコット・ベッセント氏しを起用きようすると発表はっぴょうしました。

さらに、労働ろうどう長官ちょうかんと住宅じゅうたく都市とし開発かいはつ長官ちょうかんの人事じんじも発表はっぴょうし、連邦れんぽう政府せいふの15の省しょうを率ひきいる閣僚かくりょうのうち、これまでに14のポストを決きめました。

このうち外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょう分野ぶんやでは国務こくむ長官ちょうかんにルビオ上院じょういん議員ぎいんを起用きようしたのをはじめ、政権せいけんの中心ちゅうしんメンバーには対たい中ちゅう強硬きょうこう派はがそろっていて、中国ちゅうごくに厳きびしい態度たいどで臨のぞむ姿勢しせいをうかがわせています。

さらに移民いみん政策せいさくの分野ぶんやでは、国境こっきょう沿ぞいの南部なんぶの州しゅうへの支援しえんだとして現地げんちに州兵しゅうへいを派遣はけんしたことがある、サウスダコタ州しゅうのノーム知事ちじを国土こくど安全あんぜん保障ほしょう長官ちょうかんにあてるなど、不法ふほう移民いみんに対にたいして厳きびしい姿勢しせいをとる人物じんぶつを相次あいついで起用きようしています。

また、実業じつぎょう家かのイーロン・マスク氏しを政府せいふ支出ししゅつの削減さくげん策さくを検討けんとうする組織そしきを率ひきいるポストにあてるほか、保守ほしゅ系けいテレビ局てれびきょくの司会しかい者しゃを務つとめてきた人物じんぶつを主要しゅよう閣僚かくりょうに起用きようするなど、政治せいじ経験けいけんにこだわらない人選じんせんも特徴とくちょうとなっています。

トランプ氏しの前まえの政権せいけんでは、意見いけんの対立たいりつなどから閣僚かくりょうや側近そっきんが相次あいついで、更迭こうてつされたり辞任じにんしたりする事態じたいとなりました。

トランプ氏しは1期き目めと異ことなり、外交がいこうや移民いみん、それに経済けいざい分野ぶんやで、自身じしんの主張しゅちょうを支持しじしていることが明確めいかくなメンバーを起用きようしていて、選挙せんきょで訴うったえた公約こうやくを推し進おしすすめようという姿勢しせいを鮮明せんめいにしています。

不法ふほう移民いみん対策たいさくに強硬きょうこうな姿勢しせいとる人物じんぶつ 相次あいついで起用きよう

トランプ次期じき大統領だいとうりょうは、最さい優先ゆうせん課題かだいと位置いちづける国境こっきょう管理かんりを担当たんとうする人事じんじで、不法ふほう移民いみんに強硬きょうこうな姿勢しせいをとることで知しられる人物じんぶつの起用きようを相次あいついで発表はっぴょうしています。

このうち国境こっきょう管理かんりの責任せきにん者しゃには、1期き目めのトランプ政権せいけんで移民いみん関税かんぜい執行しっこう局きょくの局長きょくちょう代行だいこうを務つとめたトム・ホーマン氏しを起用きようすると発表はっぴょうしました。

ホーマン氏しは、1期き目めの政権せいけんで、不法ふほう入国にゅうこく者しゃを厳格げんかくに取締とりしまり、拘束こうそくすればすべて裁判さいばんにかけて刑事けいじ責任せきにんを問とう「ゼロ・トレランス」＝「不ふ寛容かんよう政策せいさく」を主導しゅどうしたことで知しられます。

トランプ氏しは起用きようを発表はっぴょうした声明せいめいでホーマン氏しについて「国境こっきょうの皇帝こうてい」と呼よび、メキシコとの国境こっきょうだけでなく、北部ほくぶ国境こっきょうや海上かいじょう警備けいび、航空こうくう警備けいびなどを包括ほうかつ的てきに担当たんとうすると説明せつめいし「国境こっきょうを取り締とりしまり、管理かんりするのにこれ以上いじょうの適任てきにん者しゃはいない」と強調きょうちょうしました。

さらに、ホーマン氏しについて、不法ふほうに入国にゅうこくした外国がいこく人じんを強制きょうせい送還そうかんする責任せきにん者しゃを兼かねるとしています。

またトランプ氏しは、国土こくど安全あんぜん保障ほしょう長官ちょうかんに中西部ちゅうせいぶ、サウスダコタ州しゅうのクリスティ・ノーム知事ちじを起用きようすると発表はっぴょうしました。

トランプ氏しは声明せいめいのなかで、ノーム知事ちじがメキシコと国境こっきょうを接せっする南部なんぶテキサス州しゅうの支援しえんのために州兵しゅうへいを派遣はけんした最初さいしょの知事ちじだったとして評価ひょうかしています。

このほか、ホワイトハウスの大統領だいとうりょう次席じせき補佐ほさ官かんには、前まえのトランプ政権せいけんで上級じょうきゅう顧問こもんを務つとめ、トランプ氏しのスピーチライターでもあったスティーブン・ミラー氏しを起用きようするとしています。

ミラー氏しも1期き目めの際さい、メキシコとの国境こっきょうの壁かべの建設けんせつや厳きびしい入国にゅうこく制限せいげん措置そちをめぐり、主導しゅどう的てきな役割やくわりを果はたしたことで知しられます。

トランプ氏しは、不法ふほうに入国にゅうこくした外国がいこく人じんを強制きょうせい送還そうかんするために非常ひじょう事態じたい宣言せんげんを出だすことを示唆しさしていて、就任しゅうにん直後ちょくごから不法ふほう移民いみん対策たいさくに最さい優先ゆうせんで取り組とりくむ考かんがえを強調きょうちょうしています。

外交がいこうや安全あんぜん保障ほしょうは対たい中ちゅう強硬きょうこう派はが要職ようしょくに

外交がいこうや安全あんぜん保障ほしょうをめぐってトランプ氏しの次期じき政権せいけんでは、ロシアとウクライナの戦闘せんとうの早期そうき終結しゅうけつを訴うったえたり、中国ちゅうごくに強硬きょうこう路線ろせんをとったりするメンバーが要職ようしょくに選えらばれています。

このうちホワイトハウスのNSC＝国家こっか安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎを束たばねる大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんに起用きようされるマイク・ウォルツ氏しは、中国ちゅうごく軍ぐんに対抗たいこうするためアメリカ海軍かいぐんの艦船かんせんや装備そうびを増強ぞうきょうすべきと訴うったえるなど、対たい中ちゅう強硬きょうこう派はです。

ウォルツ氏しはウクライナへの軍事ぐんじ支援しえんの継続けいぞくに反対はんたいする立場たちばをとっていて、今月こんげつはじめイギリスの経済けいざい誌し「エコノミスト」への寄稿きこうで「ウクライナや中東ちゅうとうでの争あらそいを速すみやかに終おわらせ、中国ちゅうごく共産きょうさん党とうの脅威きょういへの対応たいおうに焦点しょうてんをあてるべきだ」と主張しゅちょうしています。

また、外交がいこうを担になう国務こくむ長官ちょうかんに起用きようされるマルコ・ルビオ氏しも、中国ちゅうごくの人権じんけん状況じょうきょうを厳きびしく非難ひなんするなど、中国ちゅうごくに強硬きょうこうな姿勢しせいで知しられています。

外交がいこうや安全あんぜん保障ほしょうを担になう中心ちゅうしんメンバーが対たい中ちゅう強硬きょうこう派はである一方いっぽう、政府せいふの支出ししゅつの削減さくげん案あんを検討けんとうする組織そしきを率ひきいることになった実業じつぎょう家かのイーロン・マスク氏しは、ことし4月つきに中国ちゅうごくを訪おとずれて李り強つよし首相しゅしょうと会談かいだんするなどしています。

外交がいこう関係かんけい者しゃは「トランプ氏しと関係かんけいが良好りょうこうなマスク氏しが、対たい中ちゅう政策せいさくを含ふくめ、外交がいこう面めんでもトランプ氏しに影響えいきょうを及およぼさないか注視ちゅうしする必要ひつようがある」と話はなしています。

一方いっぽう、中東ちゅうとうについては、トランプ氏しはイスラエル大使たいしに南部なんぶアーカンソー州しゅうの元もと知事ちじでキリスト教きりすときょう福音ふくいん派はのマイク・ハッカビー氏しの起用きようを発表はっぴょうしています。

ハッカビー氏しは、イスラエルによるヨルダン川よるだんがわ西岸せいがんでの入植にゅうしょく活動かつどうを容認ようにんする立場たちばで、アメリカの一部いちぶのメディアは「イスラエルとパレスチナの和平わへいを望のぞむ人ひとにとってよい兆きざしには見みえない」と伝つたえています。

経済けいざい閣僚かくりょうも熱心ねっしんな支持しじ者しゃ 公約こうやく実現じつげんを強力きょうりょくに推進すいしんする布陣ふじん

経済けいざい閣僚かくりょうもトランプ氏しの熱心ねっしんな支持しじ者しゃで固かためられ、関税かんぜい措置そちの導入どうにゅうや化石かせき燃料ねんりょうの最大限さいだいげんの活用かつようなどトランプ氏しの公約こうやくの実現じつげんを強力きょうりょくに推進すいしんする布陣ふじんになっています。

このうち財務ざいむ長官ちょうかんに起用きようされるヘッジファンドのCEO スコット・ベッセント氏しは、名門めいもんのイェール大学だいがくを卒業そつぎょうしたあと、日本にっぽんでもよく知しられたアメリカの投資とうし家かジョージ・ソロス氏しが率ひきいるファンドに入社にゅうしゃしました。

1992年ねんにはイギリスの通貨つうかポンドに大量たいりょうの売うり注文ちゅうもんを仕掛しかけ、ポンドを切り下きりさげに追い込おいこんで巨額きょがくの利益りえきをあげたほか、日本にっぽん円えんの空売からうりやアルゼンチンの債務さいむの再編さいへんなど、ヘッジファンドの歴史れきしで最もっとも利益りえきをあげた取り引とりひきにも関かかわったとされています。

ベッセント氏しはその後そのごみずからヘッジファンドを創業そうぎょうし、今いまでは金融きんゆう界かいで最もっともトランプ氏しを支持しじする人物じんぶつのひとりと伝つたえられています。

今月こんげつ10日にちには有力ゆうりょく紙し「ウォール・ストリート・ジャーナル」への寄稿きこうで「トランプ氏しには規制きせい緩和かんわと税制ぜいせい改革かいかくを通をつうじてアメリカ経済けいざいを再ふたたび民間みんかんに戻もどし、1期き目めで実現じつげんした供給きょうきゅうサイドの成長せいちょうを促進そくしんするという使命しめいがある」と述のべ、バイデン政権せいけんが進すすめてきた気候きこう変動へんどう対策たいさくへの支援しえんなどを見直みなおして、小ちいさな政府せいふの実現じつげんを目指めざすべきだという考かんがえを示しめしました。

また商務しょうむ長官ちょうかんに起用きようされる実業じつぎょう家かのハワード・ラトニック氏しは、トランプ氏しの政権せいけん移行いこうチームで共同きょうどう議長ぎちょうを務つとめています。

ラトニック氏しは、イギリスの経済けいざい紙し「フィナンシャル・タイムズふぃなんしゃるたいむず」のインタビューで、閣僚かくりょうはトランプ氏しの公約こうやくやトランプ氏しへの忠誠ちゅうせい心しんを示しめす必要ひつようがあるとしたうえで、トランプ氏しの2期き目めの政権せいけんでは「かつて誰だれも行おこなったことのないスピードで公約こうやくを実行じっこうする」と強調きょうちょうしました。

また先月せんげつ27日にちニューヨークでおこなった演説えんぜつでは「アメリカが偉大いだいだったのはいつだったか。19世紀せいきから20世紀せいきにかわろうとしていたときであり、アメリカ経済けいざいは躍動やくどうしていた。それは125年ねん前まえであり、当時とうじ、所得しょとく税ぜいはなく、あったのは関税かんぜいだけだった」と述のべました。

ラトニック氏しは関税かんぜいと通商つうしょう政策せいさくを主導しゅどうし、USTR＝アメリカ通商つうしょう代表だいひょう部ぶにも直接ちょくせつの責任せきにんを負おうとされていて、関税かんぜい措置そちの導入どうにゅうで中心ちゅうしん的てきな役割やくわりを担になうことになります。

エネルギー政策せいさくをめぐっては、連邦れんぽう政府せいふが所有しょゆうする土地とちの利用りようについての許認可きょにんかなどの権限けんげんを持もつ内務ないむ長官ちょうかんに、全米ぜんべいでも有数ゆうすうの化石かせき燃料ねんりょうの資源しげんを抱かかえる中なか西部せいぶノースダコタ州しゅうのダグ・バーガム知事ちじが起用きようされます。

バーガム知事ちじは新あらたに設立せつりつされる「国家こっかエネルギー会議かいぎ」の議長ぎちょうも務つとめ、トランプ氏しが訴うったえてきた化石かせき燃料ねんりょうの増産ぞうさんなどに取り組とりくむことになります。

また、エネルギー省えねるぎ-しょうの長官ちょうかんには、石油せきゆや天然てんねんガスの採掘さいくつを手てがける会社かいしゃのCEOのクリス・ライト氏しが起用きようされます。

トランプ氏しは声明せいめいの中なかでライト氏しについて「アメリカのシェール革命かくめいを推進すいしんしたパイオニアの1人にんだった」と紹介しょうかいしています。

ライト氏しは、去年きょねんSNSに投稿とうこうした動画どうがで気候きこう変動へんどう危機ききに否定ひてい的てきな考かんがえを示しめしていたと伝つたえられています。

人事じんじの一部いちぶに共和党きょうわとう内ないからも起用きようを疑問ぎもん視しする声こえ 辞退じたいも

トランプ氏しの次期じき政権せいけんの人事じんじには、一部いちぶ、身内みうちの共和党きょうわとう内ないからも起用きようを疑問ぎもん視しする声こえが上あがっています。

今月こんげつ13日にちに司法しほう長官ちょうかんへの起用きようが発表はっぴょうされたマット・ゲーツ前ぜん下院かいん議員ぎいんは、発表はっぴょうから1週間しゅうかん後ごの21日にち、指名しめいを辞退じたいすると表明ひょうめいしました。

ゲーツ氏しは未み成年せいねんの女性じょせいに金銭きんせんを支払しはらって性的せいてきな関係かんけいを持もった疑うたがいなどで当局とうきょくの捜査そうさを受うけたことがあることから、閣僚かくりょう人事じんじに必要ひつような議会ぎかい上院じょういんでの承認しょうにんが難航なんこうするとの見方みかたが出でていました。

21日にち、トランプ氏しは新あらたにフロリダ州しゅうの前ぜん司法しほう長官ちょうかんのパム・ボンディ氏しを司法しほう長官ちょうかんに起用きようすると発表はっぴょうしました。

また、国防こくぼう長官ちょうかんへの起用きようが発表はっぴょうされた元もと軍人ぐんじんで保守ほしゅ系けいテレビ局てれびきょくで司会しかい者しゃを務つとめてきたピート・ヘグセス氏しも、過去かこに女性じょせいからの性的せいてき暴行ぼうこうの訴うったえで、警察けいさつの捜査そうさを受うけたことがあり、訴追そついされていないものの党内とうないで懸念けねんの声こえがあります。

このほか、厚生こうせい長官ちょうかんに起用きようすると発表はっぴょうされたロバート・ケネディ・ジュニア氏しをめぐっても、科学かがく的てき根拠こんきょを欠かいているとされる情報じょうほうをもとにワクチンの安全あんぜん性せいに疑問ぎもんを呈ていしてきたワクチン懐疑かいぎ派はとして知しられていることなどから、資質ししつを疑問ぎもん視しする人ひとがいます。