家宝かほうさら

Easy Japanese news
Jan 20, 2025 07:01 21
Furigana
日本報紙

むかしあるところに大金持おおがねもおとこがいました。このいえには、先祖代せんぞだいだい々、唐土もろこし(もろこし)の青磁せいじといわれるあおさらが、家宝かほうとしてがれていました。

このおとこもこのさら大切たいせつにして、さらはこからしてながめてはうっとりする毎日まいにちごしていました。

あるとき友人ゆうじん大阪おおさかちょっとれたところへ食事しょくじかけました。そこでは、大切たいせつ客様きゃくさまには特別とくべつなおさらで、馳走ちそうしてくれました。

おとこは、された馳走ちそう舌鼓したつづみっていましたが、ご馳走ちそうけてあったおさらが、わが家宝かほうさらまったおなさらであることにきました。おとこ大慌おおあわてで、自宅じたく家宝かほうさら確認かくにんしにもどりましたが、わがにはきちんときりはこおさまった状態じょうたい保管ほかんされていました。

おとこは、「天下てんかふたとない名器めいきある家宝かほうさらが、なかふたつもあるとわがいえ名前なまえきずがつく」とおもい、店主てんしゅさら30りょうゆずってくれるように懇願こんがんしました。店主てんしゅは「どんながくでも家宝かほうさらゆえゆずれない」とことわりましたが、おとこ強引ごういん30りょうげよこし、さらげてにわけだしました。

そしておとこにわいしさらげつけ、こなごなくだいてしまいました。おとこは「これで、さらなかひとだけになった」と、安心あんしんして自宅じたくかえりました。

いえかえったおとこは、いつものように大切たいせつ家宝かほうさらながめてたのしもうとおもい、きりはこのふたをけてみました。すると不思議ふしぎなことに、さらこなごなくだけていて、きりはこうらからあのとき30りょうちてきました。

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