きつねのくれた文福茶釜ぶんふくちゃがま

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Jan 3, 2025 07:01 65
Furigana
Journal japonais

むかし米沢よねざわ常慶院じょうけいいん(じょうけいいん)というてらでのはなし

そのころ、このてら裏山うらやまにはたくさんきつねんでいて、そのなかでも弥八郎やはちろうというきつね一番いちばん上手じょうずだった。

あるのこと、弥八郎やはちろうギツネが若者わかものけておてら和尚おしょうさんのことろにやってた。京都きょうと稲荷いなりをもらいにあいだ大切たいせつ巻物まきものあずかってほしいというのだ。和尚おしょうさんこころよけ、弥八郎やはちろうギツネがかえってくるまで、大切たいせつ管理かんりしてやった。

京都きょうとからやっとかえってきた弥八郎やはちろうギツネは、れいにとめずらしい茶釜ちゃがま和尚おしょうさんした。それは、べいつぶ一晩ひとばん茶釜一杯ちゃがまいっぱいえるというありがたい茶釜ちゃがまだった。

あるばんこと、ひょっこりとまた弥八郎やはちろうギツネがたずねてきた。茶釜ちゃがま使つかって、キツネの綱渡つなわたげいせてあげるのだ。

その綱渡つなわたげい素晴すばらしさにとれていた和尚おしょうさんは、おもわず「これは素晴すばらしい!」とこえをだした。その途端とたん弥八郎やはちろうギツネはつなはずしてつなからちてしまった。おまけにちた拍子ひょうしに、茶釜ちゃがまのふたがになってしまい、それから茶釜ちゃがまべいえなくなってしまった。

いまでもその茶釜ちゃがまは、常慶院じょうけいいん宝物ほうもつとしてのこっているそうだ。

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